コラム

技能実習の対象国

2020.09.09[VISA]




【日本で増える技能実習生】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
以前のコラムで、
特定技能外国人の推移についてご紹介しましたところ、
非常に多くのご意見やお問い合わせをいただきました。
※以前のコラム⇒こちら

その中で、技能実習VISAについても推移を知りたい
というご要望がございましたので、
出身国という切り口から、
その推移を見てみたいと思います。


日本に在留している外国人は、
現在のコロナウイルス感染拡大の影響は
多少出てはいますが、年々増加の傾向です。
日本における外国人労働者数もまた、増加しています。

<法務省:在留外国人データより参照>


この中で、
技能実習VISAを持つ外国人数
2015年にはおよそ19万人であったのが、
2019年にはおよそ41万人と大きく増加しており、
ひとつのVISAとしては十分に確立されていると
考えることができます。

<法務省:在留外国人データより参照>



【技能実習生の出身国】

外国人が来日して、
技能実習VISAを取得するためには、
日本とその外国との間で、
技能実習を適切に、円滑に実施するための
二国間協定(協力覚書)を結ばれていることが必要です。

日本が二国間協定を結んでいる国は、
次の14か国となります。

14か国中、実習生の送り出し数のトップは、
ベトナム
です。

<法務省:在留外国人データより参照>


技能実習VISAが創設される前は、
特定活動VISA
その在留目的を果たすものとされていました。
また、中国をはじめとするアジア諸国からの外国人は、
研修VISAを取得することが多かったです。
しかし、技能実習制度が創設されて以降は、
日本企業は技能実習VISAに着目し、
現在は特に、
ベトナムから実習生を多く受け入れています。

ベトナムが、
多くの実習生の送り出しに成功している理由として、
次の3つがあげられます。

①経済的な大躍進
 ベトナムは、直近10年間の経済成長率が平均6%を超え、
 経済成長率は日本を抜くまでになりました。
 日本企業側でも、ベトナムへの関心は高まっており、
 インドや中国に次いで、
 海外投資面においての有望国のひとつとして
 注目されています。
 国際協力銀行:2017年度海外直接投資アンケート
 
②日本文化の浸透
 ベトナムは、アジアの中でも有数の親日国であり、
 現地では日本の製品やアニメなどをよく見かけるほど、
 日本文化の人気が非常に高いです。
 日本の文化や価値観を事前に把握している方が、
 日本の会社のオペレーションやコミュニケーションに
 すぐなじめる
強みがあります。

③国民性
 ベトナムの皆さまは、誠実で順応性が高い、
 また手先も器用で、のみこみが早い方が多いと言われています。
 実際に、
 ベトナム人実習生を受け入れている法人さまからは、
 非常にまじめで柔軟性に富んでいると、
 高い評価があがっています。
 技能実習における職種は、建設や食品製造、縫製など、
 多様な実習へ早くフィットできる
 
メリットなのかもしれません。


【協定を結んでいない国からの実習】

それでは、二国間協定を結んでいる、
14か国以外の国出身の外国人は、
技能実習を受けられないのでしょうか。


結論としては、
以下のいずれかの条件を満たせば、
実習生を受け入れることができます


 ◎新制度以前から協定を結んでいる
  
(例:中国、ネパールなど)

  ※技能実習制度は、2010年7月に開始、
   2017年11月に新制度に改定されました。

 日本の協同組合が、
  
外国の政府や行政機関と直接契約を締結している





【実習生送り出しの今後】


これから、実習生はどのくらい増えるでしょうか
今後は、次のような課題の整備、見直しをすれば、
さらに増える見込みはあると考えます。

①労働環境、待遇
 技能実習の対象職種は、
 建設や機械産業に代表されるように、
 体力的にハードな現場の仕事が多いです。
 また、在留目的である
 「国際貢献における技能の伝授」にしたがって、
 実習の範囲をこえた仕事は原則認められず、
 待遇が薄いことが課題としてあげられています。

<厚生労働省:技能実習の対象職種>



②特定技能VISAの存在
 昨年4月より創設された特定技能VISAは、
 日本語と技能スキルを試験で証明することによって、
 取得します。
 また最長5年の在留や転職が可能で、
 待遇も日本人と同等以上、
 技能実習2号から移行できる職種も多いなど、
 技能実習よりもメリットが多いのが特徴です。
 実際、当事務所へも、特定技能VISAについて、
 外国人個人単位での問い合わせは多く、
 このVISAに魅力を感じる外国人は多いと実感しています。
 ※以前のコラムで、
  技能実習と特定技能について比較しています。
  ⇒
こちら

③他国との受入競争
 韓国台湾は、日本の技能実習に似た制度を創設して
 労働力の受け入れを計画しており、
 外国人材の獲得競争となる可能性が高くなる
 と予想します。
 2014年出入国管理政策懇談会レポート

外国人人材から、

他の国ではなく、日本に来て、
日本の会社に入社して
実習を受けたい


と思っていただけるような仕組み作りや、
ルールの整備をおこなう余地はたくさんあり、
技能実習制度はもっと良くなっていける。
私は、そう感じています。

日本と協定を結んでいない国から
実習生を受け入れるために
提出が必要な書類は多岐に渡り、
また手続きも煩雑になります。

WINDS行政書士事務所は、
実習生の受入れに関する手続きや、
実習実施前後の届出について、
企業さまや実習生さんたちの
サポートをさせて頂いております。
ご不明点や、手続きに関してのご要望なども、
随時お受けしておりますので、是非ご相談ください。