コラム

永住者VISAの取得

2020.09.30[VISA]




【永住ニーズの高まり】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
VISAの申請には、
認定証明書の交付はやVISA変更、VISA期間の更新
といったもののほかに、永住申請があります。

この永住申請については、
新型コロナウイルスの感染拡大が起こった今年の春以降、
例年よりもさらに増えているように、肌で感じます。

以前、日本政府により、

「永住権や定住者VISAを持つ外国人に対しては、
 特段の事情に該当する外国人とみなし、
 入管難民法に基づく入国拒否はおこなわない。」


との発表がありました。
西日本新聞による特例措置についての記事

こうした報道をうけて、在留外国人の皆さまが、

取得しているVISAや在留目的について見直し
永住者VISAのニーズが高まっている


のではないかと考えています。


【永住者VISA】

永住者VISAは、外国人が、

今後、日本を生活拠点にするライフプランがある
高度人材外国人の入国・在留を促進するための切り札

を前提として、付与されるべきVISAです。

また、ほかのVISAと比べると、
永住者VISAは、
在留活動や在留期間に制限がなく、
在留資格変更申請や、在留期間更新申請を
する必要がなくなります


その分、審査基準も、
ほかのVISA申請より厳しくなっています。

まさに、出入国管理局としては、
究極のVISA審査
とも言えます。

永住VISAと混同されやすい制度として、
帰化制度がありますが、
趣旨や要件、手続きが異なり、
以下のように比較することができます。

※帰化については、以前のコラムでもご紹介しています。
 ご参考ください。
 ⇒
日本への帰化
  帰化申請の許可状況

また、この通常の要件以外にも
次の要件を満たす場合は
特例として
10年間在留なしの永住申請OK
であることがあります。



ちなみに、日本の永住制度では、
永住者VISAのほかに、

「特別永住者」
というVISAもあります。
これは、

「日本国との平和条約に基づき
 日本の国籍を離脱した者等の
 出入国管理に関する特例法」

という法律に規定される

「他の法律に特別の規定がある場合」
に該当するものであり、
法務大臣が認める永住者とは少し異なる立場にあります。




【永住者VISAの要件】

永住者VISAの許可を受けるにあたっては、

日本での在留状況が優良であるか
将来も問題なく日本の在留が継続できそうか


という点を、
具体的に証明できるかがポイントとなります。

要件としては、以下の3つが挙げられます。

要件1 素行善良要件
在留生活において、素行不良な面がないこと。
以下のすべてを満たすことが必要です。

また、2021年10月1日からは、
永住許可申請をしてから
審査結果が出るまでの間に、
事情の変更があったにもかかわらず、
出入国在留管理局に連絡をせず
永住許可を受けた場合、
永住許可が取り消される場合がある
旨の
「了解書」の運用もスタートしました。

<了解書のイメージ>


要件2 独立生計要件
自立して、日常生活を送るのに十分な資産またはスキルがあること。
以下のすべてを満たすことが必要です。


要件3 国益適合要件
法務大臣が、日本の利益に適合する外国人であると認めること。
以下のすべてを満たすことが必要です。
日本居住歴について詳しくお知りになりたい方は、
是非、WINDS行政書士事務所までお問い合わせください。

難民認定を受けている外国人は、
 要件1素行善良要件と要件3国益要件を満たす必要があります。

※次の
身分系VISAを持つ外国人は、
 要件3国益要件を満たす必要があります。
  ・
日本人の配偶者
  ・日本人の子
  ・永住者の配偶者
  ・永住者の子
  ・特別永住者の配偶者
  ・特別永住者の子
※日本での出生を理由に永住者VISAを取得したい場合は、
 出生後30日以内に在留資格取得申請をおこないます。



【永住申請についての注意ポイント】

永住申請は、
その趣旨や目的が特殊であることから、
ほかのVISA申請のルールと比べて、
違いも多く存在することに
注意しなければなりません。

①申請者の家族のVISA
 たとえば、申請者のご家族が
 「家族滞在」VISAを持つ場合、
 申請者が永住者に変わることによって、
 「家族滞在」VISAの要件
 (就労VISA取得者から扶養を受けているなど)
 を満たさなくなり、
 ご家族の方もVISAの変更をしなければ
 ならなくなります

②申請者の出国
 ビジネスでの長期出張など、
 申請者が申請中に、
 出国せざるを得ない事情が発生した場合、
 申請がリセットとならないために、
 出国の経緯や期間はもちろん、
 過去の入出国履歴、家族の生活状況、
 出国以降の在留について
 合理的に説明しなければなりません


③特例期間がない
 ほかのVISA申請は、
 在留期限を経過して審査結果が下りなくても
 特例期間によって
 在留期間の延長が認められますが、
 永住申請は、この特例期間が認められません
 申請中に在留期限が過ぎる前に
 状況に応じてVISA申請をしなければなりません
 ※VISA申請における「特例期間」は、原則2か月です。
  現在はコロナウイルスの事態を考慮され、
  
当面の間は3か月となっています。
  ⇒出入国在留管理庁の通達


④審査基準
 永住申請に対する審査は、
 法務大臣の自由裁量で決められるため、
 明確な基準がありません。
 そのため、
 社会情勢や外国人自身の活動状況を基準に、
 永住者として在留する必要性があるのか、
 総合的に判断されます。
 場合によっては、
 要件をある程度満たしていたとしても、
 許可が得られないということも
 珍しくはありません

 ※永住申請の許可/不許可事例は、
  法務省でもガイドラインを紹介しています。
  ⇒
ガイドライン

⑤永住申請できないVISA
具体的には、

 留学
 技能実習


などがあげられます。

VISAの制度は、その種類に合わせて、
原則のルールと特例ルールがそれぞれ存在し、
リアルタイムに変更が重ねられています。
VISAの申請をするときは、
最新状況をふまえて、申請準備をすることが大切です。

永住申請をはじめ、
VISAの各申請につきまして、
WINDS行政書士事務所は、
最新情報をキャッチアップしており、
全面的にサポートをいたします。
VISA申請で迷われる場合は、
是非ご相談、お問い合わせ下さい。