技術・人文知識・国際業務VISAの取得
2020.11.25[VISA]
【就活生からのVISAのご相談が増えてきました】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
6月以降、
留学生で大学を卒業見込みの皆さまは
就職活動のシーズンに入り、
会社さまからの内定を受けたので
就労VISAに変更したい
というご相談が、
今年も少しずつ増えてくる季節となりました。
外国人の皆さまが日本で仕事をするためには、
就労VISAを取得しなければなりません。
現在認められている就労VISAは、全部で19種類。
その中でも代表的なもののひとつが、
「技術・人文知識・国際業務」VISAです。
留学していた学校を卒業される留学生の皆さまが
就職するにあたって、
最も多く取得されるVISAでもあります。
私たち行政書士の間では、このVISAを
「技人国(ぎじんこく)」と呼ぶことが多いです。
※当事務所ホームページで、
VISAの種類をご紹介しています。
⇒こちら
【就労VISAの代表格】
「技術・人文知識・国際業務」VISAは、
日本にある企業や団体と契約を結ぶことを前提として、
いわゆるオフィスワークにほぼあてはまる業務
にあたる就労VISAです。
このVISAは、
理系のVISA=技術
文系のVISA=人文知識・国際業務
が一緒になっていますが、
VISA申請においては、区別されて審査されます。
3種類それぞれの業務について、
具体例をあげてみました。
現在は、日本国内の企業で就業している外国人の
8割以上が、このVISAを取得されています。
肉体労働や単純作業の仕事は、
このVISAを取得することはできません。
※企業や団体と結ぶ契約としては、
雇用のほか、委任、委託、嘱託も該当します。
⇒派遣契約もOKです
※派遣社員の場合は
正規社員としての雇用契約に比べると、
雇用の安定性に欠けるという理由から、
VISAの許可を得られる可能性が
低くなることがあります。
【技人国VISAを取得するための要件】
技術・人文知識・国際業務VISAを取得するにあたっては、
外国人個人のパーソナリティが審査されるのではなく、
その人の仕事の内容が重点的に審査されます。
具体的な要件としては、以下のものがあげられます。
①学歴
一定の教育機関に
所属または卒業していることが必要です。
この要件については、毎年非常に多くのご相談、
お問い合わせをいただいています。
この要件を満たさない場合は、
②の実務経験を求められます。
必要な学歴要件については、
当事務所での許可実績をもとに、
チャートに示してみました。
<フロー①最終学歴場所が日本>
<フロー②最終学歴場所が現地または他の外国>
日本の短大・大学・大学院への進学歴は、
要件を満たします。
日本語学校は、
日本語の専門課程を修了していなければ、
原則としてこの学歴要件は満たしません。
専門学校は、
日本の専門課程を修了し、
また仕事内容の関連が認められれば、
要件を満たします。
※理美容業務に関しては、
現在就労VISAは用意されていませんが、
国家戦略特区での就労が認められる方針が
発表されています。
⇒首相官邸ホームページ
※日本の大学を中退、退学している場合でも、
そのほかの学歴によって要件を満たす場合があります。
当事務所までご相談ください。
②実務経験
仕事の内容によって、
3年または10年以上の経験が必要です。
企業で実際に仕事をした期間に加えて、
仕事内容に関連した学校での専攻期間も加算できます。
③内定先の企業の規模、経営状態
就労VISAの申請においては、
外国人本人だけではなく、
勤務先の会社も審査対象になります。
勤務先は、その事業の安定性や継続性を求められ、
事業規模別にカテゴリー分けされた範囲内で、
提出書類の種類も変わります。
※カテゴリー別要件は、今年1月にリニューアルされ、
以前のコラムでご紹介しています⇒こちら
※会社が赤字の場合でも、
それだけで不許可となるわけではなく、
現在の経営状況や事業ビジョン、対応策を提示して
合理的な説明をすることが求められます。
④日本人社員と同待遇
その会社で仕事をしている日本人社員と同じか、
それ以上の待遇の約束が必要とされます。
国籍の違いによって格差をつけることは許されません。
※通勤費や扶養手当、弁償手当は、
給与には含まれません。
⑤申請者の素行
外国人本人に前科やペナルティ歴がない
ことが求められます。
留学生の場合、
特に気を付けるべき点は、アルバイトです。
就業状況は出入国管理局によって厳しく審査され、
オーバーワークが発覚した場合は、許可が出ない
と考えてよいです。
※行政書士をはじめとする申請取次者、申請代理人が
虚偽の申請、報告をした場合も、
行政処分の対象となります。
⑥学校の専攻科目と職務内容の関連性
原則は、
学校で専攻科目が仕事内容と関連がある
ことが必要です。
ただし、大学を卒業していれば、
専攻内容と仕事の内容が十分に関連がなくても、
柔軟に審査対応してもらえるケースも増えています。
(実際に当事務所の申請でも許可事例あり)
専門学校卒業の場合は、
仕事との関連性は完全一致が求められます。
⑦雇用の必要性、業務量
勤務先の会社においての、
外国人人材のニーズが求められます。
その会社で仕事をする必要性がなかったり、
空き時間が多いなど、
十分な業務量が見込めないと判断される場合は、
許可要件を満たさない場合があります。
※コンビニエンスストアでの勤務については
技人国VISAの取得は難しいと考えますが、
現在、特定技能VISAの対象職種に加える構想があります。
⇒朝日新聞の記事
【技人国VISAからのキャリアパス】
外国人の皆さまが
技術・人文知識・国際業務VISAの取得によって、
日本に在留するうえでの将来的なビジョンは
たくさんえがくことができると考えます。
具体的なプランとしては、たとえば、
より専門的な知識を習得⇒「特定技能」VISA
実績や経験を積んで起業⇒「経営管理」VISA
在留歴や実績ポイントの獲得⇒「高度専門職」VISA
優良な在留と就労年数の主張⇒「永住者」VISA
などをあげることができます。
どのように日本で生活されたいのか
キャリアパスや将来を意識する
ことによって、
取得するべきVISAは変わり、
各VISA申請要件や提出書類の違いに気を付けて
手続きを済ませることが必要です。
WINDS行政書士事務所は、
VISA申請の観点から、
外国人の皆さまや、勤務先の企業さまとと一緒に、
在留する外国人の皆さまの
ライフプランニングのお手伝いをさせていただきます。
ご不明点のお問い合わせやご相談をお待ちしております。