コラム

事業の承継

2021.01.13[事業支援]




【事業を「承継」する】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。

事業者の皆さまは日々、
非常にたくさんの労力や資金をもって、
法人の事業や経営自体を
続けていらっしゃるかと思いますが、

後継者がいない
事業実績が芳しくない


といった場合、

事業や経営を誰かにバトンタッチする

という選択肢、いわゆる、

事業を承継する

があります。

事業を承継するとは、
会社の経営権や資産を
信頼できる第三者に引き継がせて
その事業の継続を図る

ことを言います。

事業承継を検討する場面としては、
次のようなケースが想定されます。
事業経営におけるリスクを徹底的に管理し、
幅広い要素を考慮しながら進めていくことが大切です。

 ・経営者の死亡、相続
 ・相続や贈与における納税負担
 ・会社の後継者探しや育成



【事業承継のパターン】

事業の承継先は、以下パターンが想定されます。
承継先によって、承継の性格やリスクが違うことに
注意したいところです。




さらに、承継者パターン別に、
次のポイントにも着目すべきと考えます。

①家族・親族

承継方法としては、相続贈与があげられます。
事業主が高齢であれば、
迅速な承継計画の策定や手続き
をおこなう必要もあります。
※相続手続きにて遺言書がない場合、
法定相続発生により会社の資産が分散するため、
事業承継が成立しなくなります


家族や親族内でトラブルがないことはもちろん、
後継者ご本人が、承継を納得していなければなりません。

親族を含めた身内から後継者を選ぶこと、
特に同位の法定相続人がいる場合には、
相続人間で不公平とならないよう配慮が大切です。

②社内従業員

一般的には、
株式買い取りの手続きをとり、
社内で株主総会や取締役会の承認を得ます。

また、
後継者の気力や資金力、ノウハウなど、
安心して会社の経営を任せられる存在
かを確認することが大切です。
後継者に資金がない場合は、
 無償譲渡や資金調達の手続きによって、
 事業承継できる場合があります。


権利義務の関係上、
利害関係者にご理解頂くことも大切です。

③社外(M&A)


会社の資産を社外に売却させる方法で、
買い手企業に売却を打診し、
合意に至る場合は、基本合意契約を締結して
詳細な情報を開示していきます。
仲介機関に売却手続きのサポート依頼も可能です。

条件面のマッチング
や承継先の見極めが大切です。
また、売却するにあたっての事前説明など、
社内への配慮は必要となります。

売却後は、
現在の経営者の親族には財産権を残して、
後継者には一定の株式を集約させるなど、
財産と経営は区別
できるようにしたいところです。




【事業承継の計画】

事業承継をスムーズにおこなうためには、
数年以上の期間が理想
と一般的に考えられています。
また、事業主が承継したいと思っていても、
希望通りに進まない事例も多いことから、
なるべく早く事業承継の計画を立てる
ことをおすすめしています
※承継にかかる期間が10年以上
 となるケースもあります。


事業承継の計画は、
以下の手順で進めていきます。

①会社の現状把握
たとえば、
直近の決算書類やマンパワーなどの稼働状況、
業界でのシェアなどを参考にして、
自社の現状を把握しておきます。
同時に、
なるべく企業価値を高めておことによって、
事業承継がしやすくなります。

②近親者や関係者への周知
対外的な事業承継の手続きを
トラブルなく円滑にするため、
事業主は、事前に、
親族や社内後継者候補、金融機関、取引先など
利害関係者にも承継の意思を伝えておきます

③承継先の選定
後継者候補の能力や資質を確認し、
事業主にとって
本当にベストと思える承継先を選びます。
※検討した結果、適切な候補者がいない場合は、
 会社の売却を検討することもできます。



【事業承継の実施】

承継先と承継内容が決定したら、事業承継を実施します。
必要と思われる手続きを以下のようにまとめてみました。
ご参考ください。

※税金関係の書類作成や相談業務は、
 税理士の業務となります。



【事業承継のための制度活用】

事業承継を円滑に進めるために、
日本の法律にのっとった方法や、
外部機関の制度を活用することができます。

①「遺言書作成」「生前贈与」
 経営者が死亡すると、相続が発生します。
 そのときに自社株式や事業用資産を相続した相続人が、
 事業承継に対して同意をしてくれない場合、
 事業の経営が難航する可能性が高まります。
 経営者が所有している資産を後継者に集約させる方法として、
 生前贈与遺言書の制度を活用できます。

②後継者の「資産買い取り」
 事業承継を進める段階で、
 経営者の資産がすでに他人の手元に渡り分散
 してしまうことも想定されます。
 この場合は、
 自社株買い
 事業用資産の買戻し
 
などの制度の活用によって、
 後継者が経営権をキープできます。

③「会社法の活用」
 事業承継でも、
 相続発生などによる自社株式の分散防止のため、
 また将来の会社買収リスクに備えて、
 株式の譲渡制限
 相続人に対する売り渡し請求
 議決権制限株式
 拒否権付株式
 発行した新株の指定割り当て

 などの対策をとることができます。

④「経営承継円滑化法の民法特例」
 経営承継円滑化法の規定によって、
 経営者から生前贈与された自社株式は、
 遺留分算定基礎財産から除外することが可能です。
 この制度を活用すれば、
 兄弟姉妹以外の相続人に認められる
 「遺留分」の主張対象から、自社株式を外せるため、
 事業承継を円滑に進めることができます。

⑤「専門家の活用」
 
事業承継に関連して、たとえば、
 
許認可申請法人まわりの手続き
 
行政の対応や業種の許認可に詳しい行政書士に、
 
また、事業承継を贈与によって実施した場合、
 事業承継に関する税制や精算課税措置については
 税理士に相談することをおすすめします。
 専門家を最大限に活用することによって、
 スムーズな事業承継を実現できます。
 ※税金関係の書類作成や相談業務は、
  税理士の業務となります。


事業承継は、
承継パターン別に手続きの内容が変わるため、
準備を想定する書類の種類は幅広くなっています。
スムーズに問題なく承継を進めるためにも、
ケース別に様々な手続きを把握しながら、
計画的に実施することが必要です。

WINDS行政書士事務所は、
計画の策定や手続きにあたって、
ご相談者さまの現在の状況や
ご希望をおうかがいしながら、
コンサルティングをおこなっております。

事業承継をご検討されている事業者の皆さまが
スムーズな承継ができるよう、
専門家である当事務所を、最大限にご活用ください。