コラム

人の往来のスタートライン

2021.01.20[VISA]




【緊急事態宣言の影響】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
新型コロナウイルスが世界で猛威を振るい始めてから、
早くも1年経ちますが、
最近では変異株も新たに確認され、
引き続き世界中が不安を抱えています。

日本でも、
年明けの緊急事態宣言が再発令となり、
飲食店やレジャー施設は営業時間を短縮、
公共交通機関の運行も見直されるなど、
私たちの日常生活に大きな影響が出ています。
※再発令の緊急事態宣言と救済策については、
 以前のコラムでも詳しくご紹介しています。
 ⇒
こちら

海外の渡航に関しても例外ではなく、
入国スキームなどの緩和措置を含めて、
すべての国から、すべての渡航者の入国が制限
14日間待機措置が徹底
されています。


<内閣官房:水際対策措置の強化>


そんな現在、
こういった政府のメッセージから、
人の往来の再開に向けての
政府の新たなスタンスが見えてきます。



【水際対策の強化】

年明けの厚生労働省の通達には、
対外国によっては免除されていた、

陰性証明書の提出
待機措置や位置情報の保存


などが、
ここにきて完全徹底されることが
示されています。

<厚生労働省:水際対策に係る新たな措置>




ここで目を引くのは、
「誓約書の提出」についての次のメッセージです。

『誓約に違反した場合は、
 氏名(外国人の場合は、氏名及び国籍)
 や感染拡大の防止に資する情報が公表

 されることがあります。
 外国人の場合は出入国管理法に基づく
 在留資格取消手続及び退去強制手続
 の対象となることがあります。』


これは、すなわち、

隔離措置の違反者は
名前や国籍などの個人情報が公表され得る
外国人違反者にいたっては、
強制退去も辞さない


と、
対応が一歩強く踏み込んだもの
と解釈できます。


政府は今まで、
「ウイズコロナ」をキーワードに、
ウイルス感染縮小と同時に
日本経済活動の再生を探ってきたものの、
ウイルスの感染状況は収まらず、
経済政策とバランスをとることが厳しくなった結果、


法を整備して
強制力を持つなど条件を加えなければ、
日本の経済が立ち行かなくなる
日本は今、
そこまでの段階まで追い込まれている


という状況を国民全体にはっきりと示した
と言えます。


これまでの往来防疫措置は、
ペナルティの対象が
法人などの組織を中心となっていましたが、
ペナルティの矛先が個人にも向き始めてきている
ことがはっきり見え、
今後の対応における政府の方針が
より明確になっていることが特徴的です。




【「隔離」と「停留」】

新型コロナウイルスは現在、
新型コロナウイルス感染症法上では指定感染症
検疫法上では検疫感染症

に指定されています。
これは、以前騒ぎになった
SARS(重症急性呼吸器症候群)と同じ扱い
です。

これらの法律に基づいて、
政府は、

隔離:入院の強制
停留:指定の期間と場所に留まるよう指示


といった措置をとることができます。

これを、検疫法上の、

違反者や逃走者は、懲役や罰金に処する
(35条から39条)


というルールで、
強制力の行使をバックアップしているのです。
※e-GOV:検疫法

水際措置については、
台湾でも、
ホテルで隔離措置中だったフィリピン人が、
無断で部屋から8秒間外出したとして、
当局が過料として10万元(約36万円)の支払いを命じた
という厳しい措置が話題になりました。
今後は日本も、
このような海外の強制隔離措置に
ならっていくことになります。

※台湾:8秒間だけ部屋から出た者が隔離違反罰金36万円


憲法上、
人権を尊重している日本ですが、
このような、
思い切った厳しい措置が取れるのか。
また、新政権が掲げ続けてきた、
経済回復はどうするのか。
また一方、
強制力のある法律があるなら、
どうしてもっと早く措置を強めなかったのか。

など、
さまざまなご意見があるのではないでしょうか。



【本当の往来再開はこれから?】


私は、
今回、政府が示した方向性から、
また元の自粛モードに戻って経済が停滞する
外国人の往来ができなくなり、VISAが取れなくなる

というよりは、むしろ、

人の往来の再開に向けて
ようやく本当のスタートラインに立った


と感じています。

政府は、収まらないウイルス感染から、
強制的なルールを課して国を守り、
国との間の往来を再開させていくことに
舵を取り始めました、
そういうメッセージなのではないかと、
理解していけたらと考えています。

皆さまの中には、日常生活において、
外出や活動を控えられ、
また大切な人に会うことができなかったり、
ストレスの溜まる毎日をお過ごしかと思いますが、
今が、まさに正念場であり、
取り組みの先に、ここから必ず希望の光が見える
と信じて、
一緒に日々を乗り越えてまいりましょう。

WINDS行政書士事務所も、
ビジネスや外国人の在留においてお悩みの
個人や事業者の皆さまにとって
少しでもプラスになれるような情報をご紹介し、
資金繰りや許認可申請など、
手続きにおいてしっかりサポートをさせていただきます。