【広い活動範囲】特定活動VISA
2021.08.11[VISA]
【ベールに包まれたVISA「特定活動」】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
現在、日本には、
40種類を超えるVISA(在留資格)が存在します。
VISAは、
日本に在留する外国人が、滞在目的や職業などで
取得するものが分かれます。
※当ホームページでも、
在留資格の種類をご紹介しています。
⇒こちら
この中でも、
活動目的の定義が多岐に渡り過ぎて
なかなか把握するのが難しい
と言われているのが、
今回ご紹介する、
「特定活動」VISA
です。
【特定活動VISAとは】
外国人の活動が、
もともと創設されているVISAに
マッチしない場合、
法務大臣が、特別に、
その外国人の活動を指定して認めてくれ、
VISAを付与してくれます。
このVISAが、特定活動VISAとなります。
特定活動VISAの対象となる在留活動は、
次の3つのカテゴリーに分けられます。
ちなみに、告示とは、
国や自治体が、
あることがらについての意思決定や決定事項を
広く国民に知らせることをいいます。
官報や都道府県報への掲載が一般的で、
法律の公布や施行、選挙でも
この方法が使われています。
【①規定の特定活動】
出入国管理及び難民認定法に規定されている
特定活動は、次の3種類に分けられます。
上記の①と②に該当する
特定活動VISAを取得するためには、
次の2つの要件を満たすことが必要です。
※専門課程の修了に関しては、
法務大臣が告示した要件に該当する場合に限ります。
※法務大臣が告示する情報技術に関する試験に合格し、
資格を取得している場合は、
下記の1に該当しなくてもOKです。
【②告示特定活動】
2019年5月30日まで最新施行された告示活動です。
現在、その種類は、
1号から49号まで、じつに46種類も存在しており、
活動の定義も多岐にわたります。
現在、告示されている特定活動VISAを
一覧にしてみました。
在留目的の定義も非常に広いことがわかりますね。
※現在、11号、13号、14号はありません。
少しずつではありますが、
各告示活動をピックアップして、
概要をご紹介します。
<1号>
外交官・領事官の家事使用人
18歳以上で、
外交官等に当該外交官等が使用する言語によって
日常会話を行うことができる
個人的使用人として雇用された者が、
その外交官等の家事に従事する活動です。
<2号の1>
高度専門職・経営者等の家事使用人
18歳以上で、
次に掲げる外国人に
その外国人が使用する言語によって
日常会話を行うことができる
個人的使用人として雇用された者が、
月額20万円以上の報酬を受けて、
当該雇用した外国人の家事に従事する活動です。
※世帯年収とは、
申請時点において、
高度専門職外国人が受ける報酬の年額と、
その配偶者が受ける報酬の年額の合算額
です。
※②の場合は、
①のような世帯年収は問われません。
<2号の2>
高度専門職の家事使用人
18歳以上で、
申請人以外に家事使用人を雇用していない、
高度専門職外国人に
当該高度専門職外国人が使用する言語によって
日常会話を行うことができる
個人的使用人として雇用された者が、
月額20万円以上の報酬を受けて、
当該高度専門職外国人の家事に従事する活動です。
※この高度専門職外国人は、
世帯年収が1,000万円以上
であるものに限ります。
※継続して1年以上、
当該高度専門職外国人に
個人的使用人として雇用されている
者であって、
高度専門職外国人と一緒に
日本に転居し
かつ
高度専門職外国人の負担において
高度専門職外国人と一緒に日本から出国
が予定されているものに限ります。
(再入国許可を受けて出国の場合は除きます)
<5号の1>
ワーキングホリデー
日本文化及び日本国における
一般的な生活様式を理解するため
日本国内で一定期間の休暇を過ごす活動
ならびに
当該活動を行うために必要な旅行資金を補うため
必要な範囲内の報酬を受ける活動です。
<5号の2>
台湾人のワーキングホリデー
日本文化及び日本国における
一般的な生活様式を理解するため、
日本国内で1年を超えない期間、
休暇を過ごす活動
並びに当該活動を行うために
必要な旅行資金を補うため
必要な範囲内の報酬を受ける活動です。
以下の条件に該当する者が対象となります。
<6号>
アマチュアスポーツ選手
オリンピックや世界選手権などの
国際的競技大会への出場経験があり、
月額25万以上の報酬で
日本の公私の機関が雇用する者の活動です。
※プロのアスリートは興行VISA、
コーチは技能VISAを取得します。
以前のコラムでもご紹介していますので
ご参考ください。⇒こちら
<9号>
インターンシップ
学業の一環として、
日本の企業などで報酬をもらって
実習を受ける活動です。
活動期間は1年未満とし、
在籍している大学の修業年限の
半分を超えない期間内で従事します。
ちなみに
報酬なし(=無償)のインターンシップの場合、
取得すべきVISAは特定活動VISAではなく、
インターン期間によって次のように変わります。
<10号>
イギリス人ボランティア
イギリス国籍者に限定して
告示された特定活動で、
福祉関連のボランティア
に携わる活動です。
<12号>
短期インターンシップを行う外国の大学生
いわゆる、
サマージョブとも呼ばれている活動で、
学業の遂行、将来の就業
に資するものとして,
3か月以内の夏季休暇などの
期間を利用して、
日本企業などの業務を行うものです。
<15号>
国際文化交流を行う外国の大学生
外国の大学の学生が、
地方公共団体が実施する
国際文化交流を目的とした事業に参加し、
日本の公私の機関との契約に基づいて、
次の要件を満たす
国際文化交流講義活動です。
この活動において、
地方公共団体は、
次の3つの条件を満たす必要があります。
<25号>
医療・入院
日本の病院で治療を受ける活動です。
<32号>
外国人建設就労者
東京オリンピックの開催に伴って
建設需要の拡大が大いに見込まれましたが、
そのニーズに対応するため、整備された活動です。
※国土交通省:外国人建設就労者受入事業に関するガイドライン
<33号>
在留資格「高度専門職」
で在留している外国人の配偶者の就労
高度専門職VISAを持つ
外国人の配偶者が、
研究
教育
技術・人文知識・国際業務
興行
に該当する仕事
に携わることができる活動です。
<34号>
高度専門職外国人あるいはその配偶者の親
世帯年収800万円以上の
高度専門職外国人との同居、
またその外国人の7歳未満の子か、
妊娠中の配偶者をサポート
できる活動です。
<35号>
造船労働者
造船企業との雇用契約に基づいて
造船業務に従事する活動です。
企業は、適正監理計画を策定し、
国土交通大臣から認定を受ける
ことが必要です。
※法務省:外国人造船就労者受入事業に関する告示
<36号>
研究・教育者あるいは、研究・教育に関する経営者
高度の専門的知識を必要とする
特定分野の研究活動や、
研究の指導若しくは教育と関連する事業
を自ら経営する活動です。
研究活動は、
日本の公私の機関との契約に基づく
ことが必要です。
<37号>
情報技術処理者
IT業務に従事する活動です。
受け入れる企業は、
情報技術に関係する業界で
情報処理に関する技術、
また知識を活用するための
環境が整備されており、
在留に関わる管理体制がしっかりしている
ことが必要です。
<40号>
観光・保養
MAX1年間在留することができる、
富裕層のための活動です。
申請者の保有資産によって、
活動内容の幅が変わります。
※短期滞在VISAの滞留期間は
MAX90日間です。
<42号>
製造業に従事する者
製造業者の外国事業所の職員が、
その外国に設置している生産施設において
中心的な役割を果たすための
技術や知識を身に付けるため、
その業者の
日本産拠点において製造業務に従事
する活動です
製造業者は、製造特定活動計画を策定し、
経済産業大臣の認定を受ける
ことが必要です。
<43号>
日系4世
日本語の習得を含む日本の文化および
日本国における一般的な生活様式の理解
を目的とする活動、
またそういった活動を行うために
必要な資金を補う範囲内で
報酬を受ける活動です。
日系4世が、
親族やホストファミリー、雇用主などの
個人や団体から
活動の円滑な遂行に必要な環境の下で
その活動がスムーズに遂行できるよう、
必要なサポートを無償で受けること、
また、
活動する本人が
2年を超えて在留する場合には、
N3相当の日本語能力が必要です。
<44号>
外国人起業家
外国人起業活動管理支援計画に基づき、
起業準備活動計画の確認を受けた者が、
1年未満の期間で、
日本において活動計画にかかる
貿易その他の事業の経営を
開始するための事業所の確保や準備行為、
及びそれら活動に附随して報酬を得る活動、
経営開始後も引き続き事業経営を継続する活動です。
※法務省:外国人起業活動促進事業に関する告示
<46号>
4年制大学または大学院の卒業生で
N1以上の日本語力を有する者
2019年5月に告示された活動です。
この活動によって、
これまで外国人の就労が難しかった
飲食業や製造業へ就労できる
になりました。
次の要件を満たすことが必要ですが、
ほかの活動に比べて、
比較的やさしいものになっています。
<48号>
東京オリンピックの関係者
<49号>
48号で在留する外国人の扶養を受ける
配偶者あるいは子
東京オリンピックへの出場者や大会関係者、
それら外国人の配偶者や子
海外メディアやプレス関係者は、
90日以上の在留や家族の帯同
が認められています。
※以前のコラムにて、
くわしくご紹介しています。
⇒こちら
<51号>J-Find未来創造人材
2023年4月から創設された
J-Find制度を通した
就職活動や企業活動
これら活動に必要な資金補充のための就労
とMAX2年間の在留が認められます。
家族の帯同もOKです。
<52号>未来創造人材の帯同家族
51号の外国人が帯同を認める家族
について告示された活動です。
<53号>デジタルノマド
<54号>デジタルノマドの帯同家族
ITなどのデジタル技術を駆使する
リモートワーカーとその帯同家族
について、告示された活動です。
※こちらのコラムで詳しくご紹介しています。
【③告示外特定活動】
このカテゴリーの活動において、
当事務所では、次の5つの種類で
VISA申請をサポート事例がございます。
2020年からのコロナ禍で
先行きの見通しが立たないなか、
柔軟に設定された特例活動もあり、
人道面を考慮して、柔軟に対応されています。
①日本に在留する外国人の方の
高齢となったご両親や親の呼び寄せ
人道上の配慮を理由として許可される活動です。
明確な許可基準は公表されていませんが、
以下のような要件が想定されています。
※招聘者のVISAが高度専門職の場合は、
例外的に許可される方向です。
②就職活動生
たとえば、
留学中に就職先が決まらず、
大学や専門学校などを卒業し求職を続ける
活動で、
通常6か月の在留期間が与えられます。
学校を卒業後もアルバイトを希望する場合は、
資格外活動許可を得ることが必要です。
この活動は
1度だけ更新が可能ですので、
MAX1年間、就職活動できることになります。
③出国準備者
VISAの変更や更新の申請をして
不許可となった場合に得られる活動で、
出国準備期間として30日付与されます。
この活動が認められると、
通常はほかのVISA申請はできませんが、
合理的な理由、たとえば、
特定技能の試験合格
会社からの採用内定
などをもって、
特別に申請が認められる場合があります。
④帰国困難者
2020年より
広く認められるようになった活動で、
コロナ禍によって
母国のコロナ感染拡大が大きい
フライトチケットが高い
フライトが欠航している
といった理由で、
通常6か月の在留期間が与えられます。
合理的な理由が説明でき、
コロナ禍による影響を証明できれば、
何度でも更新可能です。
⑤特定技能準備
これも、2020年から認められるようになりました。
特定技能外国人として
在留資格申請をしたいが、
コロナ禍の影響で
試験の日程が決まらず合格できない
受入機関が受入計画を策定できない
との経緯から、与えられる活動です。
4か月間の在留期間が与えられます。
※特定技能VISAの各ルールについては、
以前のコラムでもご紹介しています。
⇒特定技能評価試験の国内受験資格
⇒ベトナムの特定技能に関するルール
⇒特定技能VISAの在留期間更新申請
⇒特定技能制度の現在
⇒フィリピンの特定技能手続き
⇒建設分野の特定技能手続き
⇒【特定技能VISA】登録支援機関になりました
特定活動VISAは、
その在留目的が日本の利益に資するのか
人道上、活動の必要性が認められるのか
という基準で、
多岐に活動目的が設定されています。
日本に在留する外国人の活動目的や国籍も
多様になり、
既存のVISAのカテゴリーにはおさまりきらない
という場面も増えてくるのではないか
と考えています。
実際、コロナ禍の状況下で、
法務大臣から発せられ告示も、
この1年間、高い頻度で更新がされてきました。
今後も内容の変更は十分にあり得るといえ、
特定活動VISAは日本のVISAのルールの中でも
ますます重要なポジションとなるでしょう。
WINDS行政書士事務所では、
VISAに関する法令の変更や最新の告示情報を
常にキャッチし、
外国人の皆さまの在留活動のための
申請サポートをお引き受けしています。