【法人?それとも?】NPOをつくる
2021.11.17[行政書士・業務]
【事業をより良くするNPO】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
法人や団体を設立したい
困っている人を助けたい
特定エリアの問題を解決したい
とき、
皆さまは、
法人や団体を設立することができます。
そんな団体設立の選択肢のひとつとして
今回ご紹介したいのが、
NPOをつくる
ということです。
NPOという団体は、
株式会社をはじめとした法人と比べて
目的に沿った活動のしやすさ
が特徴的な団体です。
【NPOとは】
NPOとは、
Non Profit Organization
(Not for Profit Organizationともいいます)
を略したことばです。
Non Profit=利益がない
ということは、すなわち、
非営利(=収益分配を目的としない)活動
をおこなう団体
であることになります。
ボランティア団体などは、
代表的なNPOのひとつといえるでしょう。
NPOは、
社会貢献や地域独自の問題の解決活動
などといった事業にフィットしています。
事業者が大規模な活動をおこなうとなると、
許認可申請をベースとして
行政の力を借りることも多くなりますが、
フットワークや優先順位付け
などを考えると、
早い意思決定が難しい場合があります。
その点、
身近な問題をできることからなんとかする
といった場合には、
NPOの方が、
ミッションの方向性決めや
いち早いアクションが期待できます。
NPO自体が、
活動収益を目的とした事業をおこなうのは
問題ありませんが、
非営利活動ゆえに、
利益の分配をしない
=もうけたお金をみんなで山分けしない
団体として認知されているため、
非営利団体として事業で得た利益は、
社会貢献活動に投入(=公益化)
余った利益も次の事業に投入
しなければなりません。
※過剰な内部留保金や人件費の計上も、
メディアや一般からの批判の的となるので
注意が必要です。
ところで、このNPOは、
必ずしも会社であるとは限らず、
法人
任意団体
の2つのタイプが存在し、
それぞれメリットとデメリットが
はっきり分かれます。
※NPOには、
一般社団法人も広く含まれますが、
設立要件や運営面において
NPO法人とは大きく異なります。
※内閣府:NPOのイロハ
NPO法人の場合は、
特定非営利活動促進法に基づいて法人格を持った
特定非営利活動法人となります。
2021年7月現在、
およそ50,000を超える団体がNPO認証
され、
保健、医療or福祉増進活動
社会教育推進活動
子どもの健全育成活動
を目的とした団体が中心となっています。
<内閣府:NPO認定数推移>
<内閣府:定款に記載された特定非営利活動の種類>
【NPOのファーストステップ】
NPOを、
法人、任意団体、
どちらのタイプではじめるにあたっても、
最初に明確にすべき
4つの共通ポイントがあります。
①ビジョンとミッション
組織や団体の理想や最終的な目標、
そのためにすべきこと
を十分に検討したいところです。
設立後に、
決めた方針がぐらつかず、
メンバーや事業計画、日々の活動に
しっかり軸になることが大切です。
②参加メンバー
ビジョンをみすえて、日々活動してくれる
仲間やスタッフを集めます。
理事や監事、会計担当などを考えて、
最低3名以上は必要となる
のではないでしょうか。
ちなみに、
NPO法人を設立する場合は、
定款認証クリアのために
10名以上のメンバーが必要です。
※役員と社員兼務でカウントOKです。
③ルール
NPOが、ワンチームとして、
会則や定款などの組織や団体ルールを定めて
一緒にミッションを達成していけるよう
役割分担や組織体制をととのえます。
④必要な手続き
組織や団体が運営を続けていけるよう、
必要書類を準備して、
所定の申請や届出をおこなう必要があり、
あらかじめ申請ルールを把握しておく
ことも重要です。
【NPOのつくりかた】
NPOをはじめるための手続きは、
法人と任意団体のどちらを選択するか
によって異なります。
<任意団体のつくりかた>
任意団体は、
任意の意思で設立される団体です。
そのため、
特に大きな手続きというのはありません。
しかし、
団体としてしっかりとした運営をおこなう
ために、
最低限準備した方がよいと思うものを
リストアップしてみました。
これらの書類は、
公共施設の利用登録
補助金や助成金の申請
に必要となるなど、
非常に用途が増えています。
今後、継続的な活動をみすえている場合
必要となってくるものですので、
設立段階から用意しておくことをおすすめします。
※実際、2021年度エンタメ補助金で
任意団体の必要書類として
団体規約がリストアップされました。
⇒以前のコラム
<NPO法人のつくりかた>
NPO法人の設立にあたっては、
次のような認証基準を
クリアしていなければなりません。
※このほかにもいろいろな要件があります。
⇒内閣府:特定非営利活動法人の活動分野
また、
特定非営利事業活動は、
以下に定義されているものに限定されます。
NPO法人の設立プロセスは、
次のようなものとなります。
①定款の認証
会社法にしたがったルールに基づいて
記載事項をまとめていき、
定款の認証を受けます。
NPO法人の定款を認証してもらうためには、
最低限理事3名、監事1名の任命が必要です。
※定款の記載事項や認証については、
以前のコラムで詳しくご紹介しています。
⇒こちら
②NPO法人設立認証申請
所轄庁(原則、主たる事業所が所在する行政機関=都道府県知事)
に、次の書類を提出して申請します。
※提出書類のうち、
②、③、⑧、⑩、⑪は、
1か月間、市民に対して情報公開(=縦覧)されます。
③所轄庁の審査
所轄庁によって審査が行われ、
認証可否が決定します。
審査期間は申請の受理から3カ月以内
が目安とされています。
ちなみに、所轄庁は、
事務所が複数あるかどうかに関わらず、
メインの事務所(=本店)所在地の都道府県
となります。
※2021年9月時点の指定都市は、20都市あります。
⇒総務省:指定都市
④法人設立登記
③の認証を受けてから2週間以内に、
法務局などの登記所で、
法人設立登記申請をおこないます。
登記が完了すると、NPO法人が成立します。
この後も、
設立登記完了届出書
登記事項証明書
設立の時の財産目録
などの書類を提出する場面が発生します。
また、
すべてのNPO法人は、
毎事業年度終了後3カ月以内に、
以下の書類を提出しなければなりません。
※スタッフを雇う場合は、
労働保険や社会保険の申告、税務申告
などの手続きが発生します。
【目的と利益をみすえたNPOづくり】
NPOをつくる手続きは、
ふたつのタイプのどちらを選ぶか
によって異なりますが、
組織や団体として、
社会の課題解決や貢献につなげる活動
をおこなうにあたっては、
どちらもメリットはたくさんあります。
NPOとして組織を立ち上げ、
活動で得た利益を社会に還元するため、
なにを事業目的にすべきか
事業目的のためにどのくらいの規模や利益が必要か
誰のための、なんのための利益をあげるのか
をじっくり考えて
運営していくことが大切と考えます。
NPOをつくりたい
つくった任意団体をNPO法人化したい
NPOと株式会社の
どちらの法人を設立しようか迷っている
そんな事業者の皆さま。
WINDS行政書士事務所にて、
ご相談や手続きの流れの説明、
設立サポートを承ります。是非ご相談ください。