【ゲームセンターじゃないの?!】eスポーツの施設
2021.10.27[風俗営業法]
【人気高まるeスポーツ】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
近年、その人気が高まっている、eスポーツ。
プレイの観戦はもちろん、
実際に施設に立ち寄って
プレイを楽しむ方も増えています。
最近では、
その魅力がIOCの目にも留まり、
今年5月から6月にかけて
IOC自らが主催に乗り出した、
Olympic Virtual Series
が記憶に新しいところです。
eスポーツがオリンピック正式種目となる
カウントダウンも始まっているかもしれませんね。
※Olympic Virtual Seriesオフィシャルサイト
ところで、
eスポーツ施設と聞いて、
皆さんはどのようなイメージを持ちますか。
ゲームをプレイする場所ではあるものの、
その定義や用途はあまり認知がされていません。
【国内eスポーツの現在地】
eスポーツとは、Electric Sportsの略称で、
ビデオゲームやコンピュータゲームを
スポーツ競技ととらえるものです。
代表的なジャンルとしては
次のようなものがあります。
日本では近年、
大都市圏で大型イベントが開催される一方、
地方でもローカル色を活かした
小中規模イベントの開催も活発化しており、
自治体やローカル企業からは
地方創生を担う一役としての期待も高まっています。
※東京都:STAGE 0、eスポーツフェスタ
※富山県:ToyamaGamersDay
※大分県:BEPPU ONSEN LAN
※コロナ禍前、
新宿区でもeスポーツイベントがおこなわれました。
取材の模様をコラムでご紹介しています。⇒こちら
【eスポーツ施設とは】
eスポーツ施設と定義される施設は、
次のように分類することができます。
①eスポーツの「観戦」施設
たとえば、
eスポーツの大会やイベントが開催され、
それを一般の皆さまが観戦する施設
がこれにあたります。
こうした施設は、
eスポーツアリーナと呼ばれ、
現在、全国に10か所以上あります。
※東京都:LFS池袋
※兵庫県:eスポーツアリーナKOBE三宮
②eスポーツの「トレーニング」施設
プロゲーマーやプロゲーマーを目指す方が、
eスポーツを練習する施設にあたります。
最近では、
ゲーマーやゲームクリエイターの
コミュニティプレイス、シェアハウスとして、
ゲーミングハウスというものも生まれています。
※TOKYOゲーミングシェアハウス
③eスポーツの「プレイ」施設
一般の方々が、
気軽にeスポーツを楽しむ施設にあたります。
※東京都:GALLERIA esports Lounge
※埼玉県:e-PS Sports Cafe
従来からある「ゲームセンター」は、
オンラインでプレイできるゲームから、
オフラインで楽しめるゲーム、UFOキャッチャーやプリクラなど、
eスポーツゲームの定義に当てはまらない種類の娯楽を
幅広く楽しめるのに対して
eスポーツ施設は、
オンラインゲームのみを取り扱う要素が強く、
また、ゲーミングPCやオンラインを利用して、
世界規模でゲームのプレイができることが特徴です。
【eスポーツ施設に対する法対応】
eスポーツ施設を運営するにあたっては、
さまざまな法律との関係が問題となります。
これらのなかでも、
通常営業上チェックが最重要なのは、
風俗営業法
です。
風俗営業法第1条には、
制定された目的が定められています。
第1条
この法律は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、
風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。
わかりやすく言うと、
風俗営業法は、
風俗営業をするにあたって、
営業時間や営業場所、入場規制
などのルール設定によって、
善良な風俗と清浄な風俗環境
少年の健全な育成の実現を目指す
法律です。
この法律によって
規制を受ける施設に該当する場合、
施設を営業していくためには
公安委員会の許可を受けなければなりません。
【明確な風俗営業法の規制】
風俗営業に該当する営業スタイルと、
eスポーツ施設に該当するであろう施設は、
風俗営業法第2条第1項第5号
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則第3条第2号
から読み取ることができます。
第2条第1項第5号
①店舗その他これに類する区画された施設に、スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができる遊技設備が存在すること
②遊技設備により客に遊技させる営業を行っていること
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則第3条第2号
二 テレビゲーム機(勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有するもの又は遊技の結果が数字、文字その他の記号によりブラウン管、液晶等の表示装置上に表示される機能を有するものに限るものとし、射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く。)
これらには、
営業スタイルやテレビゲーム機が定義されており、
大半のeスポーツ施設が風俗営業法の規制対象となり
営業の許可を受けなければならない
と考えられます。
ただ、実際は、事情によって、
風俗営業法による許可を受けないで
営業しているeスポーツ施設も存在します。
【規制対象外の可能性があるeスポーツ施設】
eスポーツ施設の中には、
風俗営業法による規制対象から外れる
と考えられる施設もあります。
そのキーポイントとしてチェックすべきなのは、
営業スタイル
です。
風俗営業法の規制対象とならない
と考える余地があるeスポーツ施設は、
次のような施設と考えられます。
①プレイスペースを提供するだけの施設
風俗営業法による規制を受けない施設とは、
第2条第1項第5号の①、②の要件にに該当しない施設
であるといえる必要があります。
そこで、
テレビゲーム機のプレイする場所だけを提供する施設
であれば、②の要件に該当しない可能性があります。
たとえば、
携帯端末を使ったゲームを、
ゲーマーが持ち寄って、
そのゲームスペース内でプレイする施設は
遊技設備により客に遊技させる営業をおこなっている
という評価までは到達しないと考えることができます。
②インターネットカフェ
PCを使ったオンラインゲームは、
PCが存在していればプレイできます。
これを逆に解釈してみると、
オンラインゲームの端末を置かない営業
たとえば、
eスポーツのプレイ施設としてではなく、
単なるインターネットカフェとして営業
をおこなうことで、
風俗営業法による規制から外れる可能性はあります。
ただし、
建前上、インターネットカフェであるとしても、
ゲーミングPCだけが完備されていて、
ゲームのプレイに特化しているような施設
と評価できるようであれば、規制対象となる可能性が高まります。
③単発のeスポーツイベントを開催する施設
eスポーツ施設が風営法の規制を受ける前提として、
その施設が、
遊技設備により客に遊技させる営業を行っている
といえる必要があります。
ここでいう営業については、
警察庁が、
「財産上の利益を得る目的で、
同様の行為を反復継続して行うことを指す。」
という定義を公表しています。
※警察庁:令和2年12月28日風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について
(通達)
この定義から、
eスポーツ大会や協議会を
1回限りのみ開催するための仮説施設の設置
にとどまる場合であれば、
風営法の規制を受けない可能性があります。
【しっかりした法対応でeスポーツを盛り上げましょう】
eスポーツは
世界でも新しい文化であり、
日本の風俗営業法の定義と明確にマッチする
とは言い切れない部分はあります。
しかしながら、
eスポーツ施設としての特徴をふまえて
想定され得る法規制に備えることで、
施設のオペレーショントラブルを
未然に回避することもできます。
WINDS行政書士事務所は、
eスポーツ施設の営業や取り交わす契約の
リーガルチェックはもちろん、
風俗営業の許認可サポートも承っております。
事業者の皆さまが迷われるポイントも熟知のうえ
すみやかに対応いたしますので
是非ご相談ください。