コラム

【経営者や役員のための】経営管理VISA

2022.04.13[VISA]





【外国人経営者のためのVISA】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
日本に在留する外国人が、
日本で起業したい場合
VISAはどうすればよいのか

との相談をお受けすることがあります。
そんな在留外国人が、
会社を設立するために必要なVISAが

経営・管理VISA

です。

2020年12月現在、
VISAを取得している外国人のうち、
経営管理VISAを取得しているのは
在留外国人全体のわずか0.9%
と、
ほかのVISAに比べると、かなり少ないです。
法務省:在留資格取得外国人数

経営管理VISAは、
VISA申請の中でも、取得できる外国人が限られ、
審査の難易度も高いVISAです。
具体的な要件や申請方法をおさえて、
開業や業務引継ぎに支障のないように
申請をしたいところです。




【経営・管理VISAとは】

経営・管理VISAは、
日本で貿易その他の事業の「経営」
をおこなう、または
当該事業の「管理」に従事する活動
(法律・会計業務の経営や管理の従事活動以外)
のことです。

一般的に
このVISAを取得すべき外国人は、
①日本での起業、経営者
②日本企業で管理職や役員への就任者

となります。

万が一、
このVISA申請が不許可となった場合は、
会社の経営ができない
だけでなく、
融資の審査に通らない
会社名義の口座が開設できない

など、
会社に対するダメージはかなり大きいです。

取得要件は、
申請者自身だけでなく、
事業内容や会社概要と幅広く設定されており、
すべてをクリアすることが必要です。

<取得要件1⃣(申請者)>
申請者に求められる要件は、
次の①と②に分かれます。



①日本での起業、経営者
学歴要件については
特に設定されていません
が、
おこなおうとしている
事業の安定性や継続性
を見極めるために、
その経歴や資質が重要視されます。

ちなみに、申請者が
図の要件に該当しない場合であっても、
永住者
永住者の配偶者等
日本人配偶者等
定住者
高度専門職

といったVISAを取得して、
経営者となることも可能です。

ちなみに、個人事業主としても
経営管理VISAの申請は可能ですが、
新規のVISA申請(認定、取得申請)
では許可の可能性は低く、

VISA変更申請の場合の方が
許可は出やすい傾向
がみられます。

②日本企業で管理職や役員への就任者
管理者や役員としてVISA申請する場合は、

役職名にとらわれず総合的に審査される

ことを認識すべきでしょう。

申請者は、次のような書類を提出して
管理者であることの証明を
求められることが多いです。


ちなみに、
実務経験について、
大学院での経営管理科目の専攻期間も含める
ことはOKです。

<取得要件2⃣法人>
設立、または所属する法人は
以下のいずれかに該当すること
が求められます。


要件上、フルタイムで雇用すべき社員は、
日本人
と、
永住者
永住者の配偶者等
日本人の配偶者等
定住者

のいずれかをVISAを持つ外国人だけです。

ちなみに、
個人事業主の場合は資本金を設定しないため、
資本金または出資金500万円の代わりとして、
ビジネスに必要経費
(オフィス家賃・店舗、備品、商品仕入)
として500万円以上を使った証明
見積書や請求書、領収書
口座の出金履歴などのコピー

を提出しなければならない場合があります。

<取得要件3⃣オフィス>
最低限必要なのは、
法人名義の事務所や店舗がある
(=賃貸借契約などをかわしている)
その事務所や店舗が
事業目的で使用されている
こと
(=居住用物件NG)
必要設備(電話、FAX、PC、コピー機など)
が備わっている

ことです。

日本のマンションに関しては
あくまで「居住住宅」が使用目的であり
ほかの使用方法はNGという場合が多い

ですので、
オフィス使用がOKかどうかを確認
したうえで、
事前に賃貸借契約を結びたいところです。



<取得要件4⃣ビジネスの安定性>

経営者として経営管理VISAを取得したい場合、
事業の安定性を証明するために重要と考えるのが、

事業計画書

です。

VISAの審査では、事業計画の内容から、
事業を安定して継続できるかどうか
をチェックされます。
そのため、
事業をはじめた経緯や準備内容、
どのくらいの期間で、
どれだけ利益を出していくことができるか
どのように経営を安定させて黒字化していくか
を事業計画書に記載しなければなりません。

事業計画書の内容が、
将来の見通しが不透明またはずさん
と思われるような内容と判断されてしまうと、
経営管理VISAの要件にフィットするとは
認められなくなってしまいます。

まさに、

経営管理VISAの許可を得られるかは
事業計画書にかかっている


といってもおかしくほど
重要と考えてよいでしょう。
※事業計画書については、
 以前のコラムでもご紹介しています。
 ⇒
こちら
 ⇒事業計画書の作成サポートを承ります。
  当事務所にご相談ください。





【経営管理VISAに関するQ&A】

経営管理VISAの申請において
当事務所でもっとも多いお問い合わせを
5つピックアップしました。ご参考ください。

Q1 経営者は大卒者でないとだめなの?
A1 大卒者でなくても大丈夫です。

   学歴要件は問われませんので、
   経営者が大学を卒業されていないために
   不許可になるということはありません。

   ただし、日本で事業を営むにあたって
   職務経歴
   取得している資格
       習得した知識

   などを証明できれば
   VISA審査上、有利になると考えます。

Q2 来日してなくてもVISA取れるの?
A2 認定申請が可能ですが、
   現実として厳しいこともあります。

   たとえば、海外在住の外国人が
       日本で未起業の状態で
       経営管理VISAを取得するには、
   在留資格認定証明書交付申請をおこない、
   新規にVISAを取得します。
   許可が得られると、
   4か月期限の経営管理VISAの付与
     
を受けられます。
   この4か月の間に
   日本国内の銀行口座開設
   資本金の振込
       法人登記などをはじめとした
   会社設立にかかるひと通りの手続き
   を済ませる
ことが必要です。

Q3 資本金は400万円だとだめなの?
A3 500万円以上としましょう。

   現在の入管法では
       このような規定はありませんが、
   当事務所にて申請した実績から、
   この金額が一応の目安と考えてよいです。
   ちなみに、
   500万円を超える資本金の場合は、
   資本金の調達段や経緯を証明
   
しなければなりません。

Q4 雇用スタッフは派遣社員ではだめなの?
A4 フルタイム社員であることが必要です。

   常勤でフルタイム、直接雇用
   のスタッフ2名以上の雇用が必要
です。
   ただし、Q3でもふれた
   資本金額が500万円以上あることによって、
   常勤社員1名でも許可が下りた
       ケースもあります。

Q5 はじめて進出するビジネスでも
       VISAは許可してもらえるの?

A5 タフな審査となると考えます。
   提出書類のなかの事業計画書で
   収支の見通しや事業内容など
   を記載しアピールしていくことになります。
   ここで、注意したいのは、
       申請者の実務経験はノウハウです。
   日本でおこなう予定の事業が未経験
       の場合は、
   事業の継続が困難と判断され不許可
       となる可能性が高い
でしょう。




【経営管理VISAの申請は確実に】

経営管理VISAは、
事業計画の作成や
提出が義務付けられていない書類の添付
経営者さんであれば、
申請前に会社設立が必要であることなど、
要件にフィットした申請をするため、
独自のノウハウが求められます。
また、個人事業主でも申請はできますが、
審査の難易度は上がります。

せっかく会社を設立したのに、
VISAが不許可となり、
経営はおろか
営業していくことができなくなる
ということだけは
避けたいところです。
実現できる事業計画と必要書類で
しっかりVISAを取得できることの立証が、
確実な許可への近道となります。
 
事業計画書の作成をはじめ、
在留外国人の経営管理VISA申請でお困り、
お悩みの外国人の皆さま。
継続可能な経営のためのお手伝いを、
WINDS行政書士事務所が承ります。