【2022年秋から!】外国人美容師のVISA
2022.06.22[VISA]
【外国人が美容師としてVISAが取得できます】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
日本に在留する外国人は、
その在留目的や職業に合わせて
VISAを取得します。
日本のVISAは29種類ありますが、
必ずしもすべての職業や生活形態に
フィットしているわけではなく、
残念ながらほかのVISAを取得する外国人も
まだまだ多いです。
※VISAの種類と在留目的については、
こちらのページでご確認ください。
そんななか、
今年の秋から
正式にVISAを取得することができる職業が増えます。
それが、
美容師
です。
日本政府が新たに定めた、
外国人が美容師としてVISAを持つことができる
背景やスキームを、ご紹介します。
【外国人美容師のためのVISA】
これまでのVISA制度では、
美容師という職業のためのVISAは
存在しませんでした。
そのため、
外国人は美容師として、
就労VISAの取得が認められず、
外国人が美容師として就業するためには、
活動内容が問われない次のようなVISAを
取得するしかありませんでした。
※「身分・地位に基づくVISA」は
在留活動に制限がないため、
VISAがキープできる限り
就業にも制約がありません。
※これら5種類のVISAは、
アルバイトやパートとしても
美容室で就労可能です。
これが、
2022年10月より、東京都で
外国人はそのスキルや経験が認められれば、
美容師として
特定活動VISA
を取得できるようになります。
※東京都は国家戦略特区を活用。
国家戦略特区エリアは
神奈川県、千葉県千葉市、成田市もあり、
今後も広がっていく可能性があります。
【外国人美容師育成事業】
外国人が美容師を職業と認められ
VISAの取得が可能となる背景としては、
2021年より始まった
外国人美容師育成事業
の存在なくして、語れません。
外国人美容師育成事業は、
2つの事業目的を柱として
日本国内で5年間
美容に関するスキルや経験を積ませる
ことを目的とした制度です。
取り組みの成果としては、
美容師人材の育成
雇用の確保
につながりますが、それらに留まらず、
将来、外国人が母国に帰国した後も
日本で培った美容スキルや文化を発信する
という前提条件がこめられています。
また、この事業は、
外国人の在留期間がMAX5年
さらに、
育成機関(=受入機関)による研修計画の策定&実施
監理実施機関と呼ばれる機関によるサポート
関係自治体との連携が必要
という、
一般的な就労VISAとは
毛色の違うスキームが用意されており、
特定技能制度に類似しているルール
も特徴的で、
外国人美容師
育成機関
監理実施機関
関係自治体
の4者で、展開されていきます。
<内閣府:外国人美容師育成事業概要>
【外国人美容師の要件】
外国人美容師育成事業に沿って、
外国人は
完全自由な就労ではなく
研修などの一定の制約のもとに
スキルや実務の習得と将来の海外発信
を目的として、就業します。
外国人美容師が
この制度を利用するためには、
次の要件をクリアしている必要があります。
要件②の日本語検定N2というのは、
日本人からみても、高い日本語スキル
と認識されています。
加えて、
美容師免許は日本の国家資格として
厚生労働大臣が指定する
養成学校の必要課程を修了
しなければなりません。
これらだけでも、
外個人美容師に求められる要件は
かなり難関であることがわかります。
また、私は
要件⑤の成績優秀・素行善良
について注目しています。
たとえば、
留学生が美容専門学校に通う場合、
就学状況(成績や単位の取得、出席率)
生活状況(納税、アルバイト就業)
についてチェックが入り、
問題があると判断される場合は、
留学VISAから特定活動VISAへの変更が
許可されない場合があります。
※資格外活動については、
以前のコラムで詳しくご紹介しています。
⇒こちら
【外国人美容師ができる業務】
外国人美容師育成事業によって、
外国人は
将来、海外でその経験を活かすことを目的に
育成機関の指揮監督のもと、5年間
育成計画に基づいて
次の美容関連業務をおこない、
日本のヘアカットや美容についての
知識や実務能力を習得しなければなりません。
育成機関と外国人美容師は、
最終ゴールを意識合わせすることによって
育成がおこなわれることによって、
外国人のモチベーションをキープ
できたり、
不法就労の疑いをもたれることを防ぐ
ことができます。
ちなみに、育成計画は
外国人美容師ひとりひとりに合わせて
作成され、
監理実施機関を通した申請を経て
関係自治体の認定を受ける必要があります。
また、育成計画に沿った研修の進捗や、
監理実施機関による習得状況の評価
も受けることになります。
【育成機関とは】
育成機関は、
公私の(=法人・個人問わない)事業者
であり、
外国人美容師と雇用契約をかわして
労働者として受け入れ、
実践的な美容関連知識やスキルを
習得させるため、
監理実施機関と連携して
外国人美容師に特定美容活動に従事させます。
外国人美容師の育成進捗を
定期的に確認するため、
習熟度に応じた
適切な指導やアドバイスをしつつ、
外国人美容師の業務日誌を作成し
事業所に備え付け
受け入れ後1年以上は保存しなければなりません。
また、
監理実施機関にておこなわれる監査では、
育成計画の実施状況や就労環境を報告します。
もし、育成計画に変更が発生した場合は、
速やかに監理実施機関を通して
関係自治体に申請をおこない、
再度認定を受けなければなりません。
ちなみに、
育成機関が受け入れることができる
外国人美容師は
1事業所あたり3人までとなります。
事業者が育成機関になるためには、
次の要件を満たす必要があります。
育成機関に求められる要件で
重要なもののひとつが、
管理美容師の配置です。
特に、
事業規模の小さい美容室の場合は、
要件⑤で求められる
健康保険や労働保険、厚生年金などの
社会保険加入の徹底
にも、十分に気を付けたいところです。
【監理実施機関とは】
監理実施機関とは、
外国人美容師育成事業によって
日本の美容に関するクールジャパンの推進
インバウンド需要への対応に資する人材育成
に必要な事務を実施する者として、
外国人美容師の育成計画や適切な就労、
日本での在留生活をサポートする機関です。
メインとなるサポートは、
外国人美容師の適切な在留
育成計画に基づく研修の実施
となります。
半年に1回、監査を実施し、
や
外国人美容師との面接
を通して育成活動内容を確認し、
育成計画通りに進んでいるのかチェックのうえ
関係自治体に報告をおこないます。
また、
外国人美容師が在留生活を送るうえでの
困りごとや育成機関とのトラブルなど
における外国人美容師からの相談窓口
も引き受けます。
育成計画に変更が発生する場合は、
計画をもとにコメントや意見を付けて
関係自治体に変更育成計画を提出します。
また、監理実施機関は
育成機関からリクエストがあれば、
無料で職業紹介をおこなうことが可能です。
監理実施機関は、
次の要件を満たしている必要があります。
【育成計画の認定】
外国人美容師が
美容スキルや知識を積んでいくために
育成機関が計画する育成計画は
関係自治体による認定を受けることが必要です。
関係自治体の認定を受けるために
育成計画の策定において
チェックすべきポイントをまとめました。
はっきりとした事業目的や
これら具体的な認定要件からわかるように、
清掃だけなどの
単純労働が前提の雇用は認められない
ことに注意したいところです。
外国人美容師育成事業のゴールは
育成計画の認定や
外国人美容師がVISAを取ることではなく、
あくまで、外国人美容師を育成です。
そのために、
監理実施機関は育成機関と連携しながら
外国人美容師の在留・スキルの習得を
サポートしていきます。
【雇用契約】
育成機関が外国人美容師とむすぶ
雇用契約の前提条件は、
次のようなものが軸となります。
労働基準法上、
給料などの待遇を国籍や性別などで
差別することはNG
であることにも、注意したいところです。
【日本発信のビューティ文化を海外へ】
2021年からスタートしている
外国人美容師育成事業は、
インバウンドニーズを満たすだけでなく、
ジャパニーズビューティ文化を
海外へ発信する先駆けとなります。
この事業を
事業者さまのビジネス目線で考えれば、
事業者の競争力を高めることのできる
壮大な取り組みといえます。
現在も増加傾向をみせている在留外国人の
ファッションや美容の好みの多様化
また、
母国出身の美容師に施術してもらいたい
というニーズもあり、
潜在的なマーケット開拓にも最適と考えます。
外国人の美容師を採用したいが
雇用経験が少ない
美容室を海外でチェーン展開したい
外国人のお客さんをもっと増やしたい
日本ならではのオリジナルヘアーヘアメイクを
発信したい
そんな想いをお持ちの、事業者の皆さま。
WINDS行政書士事務所は
外国人美容師のVISAはもちろん
キャリアアッププランの策定や労働関係、社会保険
にいたるまで、様々な方面のサポートを承ります。
もし、
外国人美容師育成事業の活用をご検討でしたら、
是非当事務所にご相談下さい。