【特定技能VISA】支援責任者と支援担当者
2022.08.31[VISA]
【特定技能VISAにおける2トップ】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
2019年4月に創設された、外国人の特定技能制度。
2022年3月現在、特定技能VISAを持って
日本で就労している外国人は、
64,000名を超えました。
今後も、特定技能VISAの取得が見こまれます。
<出入国在留管理庁:2022年3月現在特定技能外国人数>
※特定技能2号VISAを持つ外国人は
現在いません。
特定技能外国人が
日本で安心して在留、就労するため、
サポート機関として
登録支援機関が存在しますが、
このサポート業務の要を担っているのが、
支援責任者と支援担当者です。
また、雇用主である所属機関は
登録支援機関にサポート業務を委託せず、
自社で両者を任命することもできます。
それぞれの役割や任命要件
を知ることによって、
特定技能外国人のサポート内容が
より明確にわかるようになります。
【支援責任者とは】
特定技能制度においては、
法務省によって定められた
特定技能外国人受入れに関する運用要領
というグランドルールが存在します。
この運用要領に、
支援責任者と支援担当者が
定義されています。
まず、
支援責任者とは、
支援担当者を監督する立場にあるポジションで
特定技能支援計画の作成と
サポート実施進捗の統括管理、
支援担当者がおこなうサポートの管理や
帳簿の作成・保管、関係機関との連携など
をおこないます。
非常勤でも就任可能で、
就任要件さえ満たすことができれば、
支援担当者との兼任も認められている
ことが特徴です。
支援責任者が統括管理する業務は、
次に関するものと定められています。
支援責任者になるためには、
次の要件をクリアする必要があります。
これらのうち、③は
特定技能外国人へのサポート業務が
中立的な立場からおこなわれること
を担保する要件となります。
※登録支援機関は、
特定技能外国人のサポート業務を
受入機関から全部委託
(=一部だけの委託NG)
される立場にあります。
⇒登録支援機関については、
以前のコラムでもご紹介しています。
【支援担当者とは】
支援担当者とは、
受入機関で就労する特定技能外国人の
サポート業務の実施を担当し、
情報提供や行政手続きの同行
定期的な面談など
幅広くサポート業務に携わります。
ひとりの支援担当者が
複数の外国人労働者をサポートすることも
可能です。
支援担当者になるためには、
次の要件をクリアする必要があります。
随時外国人のサポート業務を遂行すべき
という理由から、
支援責任者とは違い、
①の常勤用件
が定められていることに
注意したいところです。
【支援責任者と支援担当者の共通事項】
支援責任者と支援担当者、
両方に共通しているのは、
1号特定技能外国人を監督しない立場
サポートにおいて中立公平なスタンス
非欠格事由者
という点です。
特定技能外国人のサポートには、
必ずしなければならない
義務的サポートが定められています。
雇用する側の受入機関と
雇用される側の特定技能外国人
の間にたって
どちらかが有利、不利になる管理
どちらかに遠慮してサポートがおろそかになる
ということがなく
一貫してニュートラルな立場
であることが求められます。
欠格事由者とは、
入管法や労働関係法令などの法令違反や
5年以内に刑罰・罰金を課せられた者、
過去に虚偽申請をおこなった者
などが該当します。
ここで、
きちんと適切なサポート管理ができる
ことも、求められます。
これらを裏付ける申請書類として
支援責任者、支援担当者となる者は
就任承諾書
誓約書
履歴書
を、出入国在留管理局に提出します。
【支援責任者と支援担当者を設置できない場合】
特定技能外国人を雇用する受入機関
サポート業務を委託される登録支援機関
いずれも、
当然のようには
支援責任者と支援担当者を設置できない
場合があります。
①設置NGの受入機関
特定技能外国人の勤務先となる受入機関が
自分自身で外国人のサポートも担う場合
に立ちはだかるのが、
サポートにおける適正性や中立性
外国人のサポート経験
です。
受入機関に求められる
サポートの適正性や中立性は、
次の要件を備えた人材の存在
が判断ポイントとなります。
具体的にたとえると、
受入機関のなかで、
外国人に対して
実質的に指示や命令ができる
⇒組織図上、縦ラインのポジション
立場の人であれば
たとえ違う部署の社員であっても
支援責任者や支援担当者の就任NG
ということになります。
そのため、
支援責任者と支援担当者の所属部署は、
人事総務部門や管理部門といった
外国人の所属部署とは
外形的実質的に異なる部署の所属かどうか
が審査されます。
小規模の事業者で特に多いパターンとして、
営業や現場作業と管理の部署が同じ
or
部署が少なく(or作ってなく)
部署別に職務を区別できない場合
マルチタスクをこなさなければならず
中立的な目線で問題解決能力を
立証できないため
これら要件をクリアすることは難しい
でしょう。
こうした受入機関は、
自社サポートではなく
サポート業務を全部委託できる
登録支援機関に頼らざるを得ない
でしょう。
※受入機関が
新しい団体や会社を設立して
登録支援機関を設置する場合は
この次の②のパターンに該当します。
そのほか、受入機関として
両者を任命するにあたっては
以下の要件のいずれかを満たす
ことが求められます。
2年間の実績の要件を満たせるかどうか
を確認したいところです。
※③のカテゴリーについては、
以前のコラムで詳しくご紹介しています。
⇒こちら
※就労VISAの種類については、
こちらのページでご紹介しています。
②設置NGの登録支援機関
特定技能外国人のサポート業務を担う
登録支援機関であっても、
やはり、
サポートの適正性や中立性
を保てることが必要です。
まず、登録支援機関は
以下の者を支援責任者、支援担当者に
任命できません。
ちなみに、
支援責任者、支援担当者が
以下の登録拒否事由に該当するときは
登録支援機関にすらなれません。
スタートアップする企業
受入機関の関連会社が
登録支援機関となる場合なども、
サポート業務をおこなえるように
注意したい要件です。
【支援計画の策定】
特定技能外国人の雇用にあたっては
法令で定められたサポート
をしなければなりません。
ここで、
支援責任者や支援担当者が関わるのが、
1号特定技能外国人支援計画の策定
です。
この計画によって、
特定技能外国人が安定的にスムーズに
就労と在留ができるよう、
10にカテゴライズされた対象サポート
にもとづいて、
日常的社会的なサポートを実現します。
※10の対象サポートは
以前のコラムでもご紹介しています。
⇒こちら
支援計画の策定は
次の条件を備えられることが大切です。
このなかで、
自社でサポート対応をする受入機関
初めてサポート業務をする登録支援機関
にとってのハードルと考えられるのが、
①②④ではないかと考えます。
①については、
外国人の生活や価値観、
要望と高い思われるものや
必要なもののサポートを把握し、慣れている
ことが求められるでしょう。
②については、
社内で外国人の母国語対応ができる社員がいる
翻訳者や通訳者がリアルタイムで手配できる
かどうかが重要でしょう。
④については、
受入機関、外国人両方の間に立ち
相談しやすい環境
公平でフラットな目線から
サポートができるスタンス
キープされなければなりません。
ちなみに、
サポート業務を開始してから5年以内に、
支援計画に定めるサポートを怠った場合は
サポート体制が万全でなく、
支援責任者や支援担当者に求められる要件を
満たさない
と評価されてしまいます。
【協議会への加入】
受入機関と登録支援機関は、
14の対象業種分野別に設置されている
協議会へ加入します。
協議会の加入においては、
受入機関は必須
登録支援機関は業種別に必須/任意
となります。
支援責任者や支援担当者は、
受入機関に
積極的に協議会加入の案内をすべき
といえます。
※これら登録支援機関の協議会加入可否は
制度変更により変わる可能性もあります。
【サポート体制を整えてスムーズな任命を】
一定の作業や日本語のスキルを備える,
特定技能外国人
事業者にとってまさに即戦力となります。
これら貴重な人材をサポートする
支援責任者と支援担当者も、
高い要件をクリアしていなければなりません。
両者の業務は
誰でも簡単にできるものではなく、
業界の見識と中立のスタンスも
求められます。
任命要件がクリアできれば、
自社での任命も十分可能ですが、
通暁業務とのバランスを考えて
登録支援機関へサポートのすべてを委託
という選択肢も検討したいところですね。
WINDS行政書士事務所は、
特定技能VISAをはじめとする
外国人VISAのサポートを承っております。
VISAそれぞれに定める要件や
書類作成、申請において
プロの専門家に是非ご相談ください。