コラム

【在留特別許可のカギを握る】口頭審理手続き

2023.01.18[VISA]




【在留特別許可の最重要プロセス】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
日本に在留する外国人が
退去強制事由に該当し
強制送還の対象となる場合であっても、
特別な事情や理由や要件に該当すれば
在留特別許可を得ることが可能ですが、
一連の手続き上、非常に重要視されるのが、
口頭審理です。

前回のコラムで
在留特別許可についてご紹介しましたところ、

口頭審理についてもっと詳しく知りたい!
入管で口頭審理を受け付けてくれなかった
この場合は口頭審理を受けられる?


など、
非常に多くのお問い合わせ、ご相談を
いただきました。

そこで今回は当事務所での対応事例をもとに
口頭審理にフォーカスして、ご紹介します。




【在留特別許可のながれを知る】

まず、口頭審理を理解するには、
在留特別許可の手続き全体を
把握しなければならないでしょう。

在留特別許可の手続きは、
退去強制事由に該当と判断される外国人
を対象とする手続きで、
申請ではなく、うったえかけやお願い
という前提でおこない、
 
 ①違反調査(入国警備官)
 ②違反審査(入国警備官)
 ③口頭審理(特別審理官)
 ④裁決(法務大臣)

と、大きく4つのプロセスに分かれます。

各プロセスの担当官はすべて
出入国在留管理局在籍の職員となります。



まず、
①にあたる違反調査
②にあたる違反審査では、
調査対象や審査対象となる
外国人に対するインタビューや家宅捜索
警察や裁判所から証拠書類の取り寄せ

などをおこない、
法律上強制送還となる
事実や理由があるかどうか

情報収集し、
情報収集で得られた証拠から
確認できる事実を認定、

認定した事実が
退去強制事由に該当するか

を判断します。

この
①②の時点では、
在留特別許可をするかどうか
判断はおこなわれません。


次のステップにあたる
③が口頭審理となりますが、
ここでは
法律上、外国人が
強制送還対象となり得る事実と理由があり
強制送還と判断されることに対する
不服申立てをおこなう場面でおこなわれる

手続きです。

この手続きは
①②から
自動的にスライドしていくわけではなく、
外国人自身が
②の認定通知を受けてから3日以内に
請求をしなければおこなわれない

ことが、重要ポイントとなります。




【口頭審理でおこなわれること】

口頭審理は、
②で登場する入国審査官よりも上位の
特別審理官によっておこなわれる手続き
です。
※特別審理官は、
 法務大臣が指定する上級審査官です。


具体的には、
①や②で収集された
証拠や事実に間違いがないか確認し、
対象の外国人に対して
在留特別許可を認めるべきかどうかの
判断材料のヒアリング
をおこない、
②の認定に誤りがないかをチェック
します。

この審理で
外国人と特別審理官間で交わされた内容は、
通訳担当を通して
調書にすべて記載されます。

ヒアリングの結果、
事実に間違いないようであれば、
在留特別許可の判断に関するガイドライン
に沿って
口頭審理の結果は
①と②の審査に誤りがない

と判断されることになります。

審査に誤りなしという結果を受けて
引き続き日本での在留を希望したい場合は
異議申立てをおこない、
国の最終決定である
④法務大臣の裁決を求めることになります。

そうすると、
この口頭審理が
裁決の前に
外国人がアピールできる最後のインタビュー

となります。




【口頭審理で大切なこと】

口頭審理で
在留特別許可につながる判断ポイント
としては、

強制退去事由に該当する事実の認定

のほかに

外国人が
日本に在留しなければならない
特別な事情や重要性


もあります。

外国人のアピール次第では、
裁決の結果にも十分影響がおよびま
ので、
外国人は

どれだけ日本での在留が必要か
どのような理由で
特別許可を希望するのか


を明確に伝えることが大切です。

口頭審理にいたるまでに
話さなかったような内容は
在留特別許可の
基礎的な判断材料とはなりません。

また、
在留特別許可の判断に関するガイドライン
には、
在留特別許可を認めるべき事情と
加点・減点ポイント

が存在します。

そのため外国人は、
口頭審理の場で特別審理官に対して
特別許可を得るうえで有利な事情を
積極的に伝えなければなりません。

また反対に、
特別許可を得るうえで不利な事情があれば
詳しく弁明しなければなりません。


特に注意が必要なのは、
強制退去事由が刑事事件で起訴され
有罪判決を受けた場合

となりますが、

その事件においてどのように考えているか
再犯とならないために
おこなっていることや心構え
被害者の存在や示談などを有無


などの事情を詳しく話す必要があります。




【在留特別許可のラストチャンス】

在留外国人が在留特別許可を受けるため
必須の手続きである、口頭審理。
この手続きは、
外国人が在留するためにアピールできる
ラストチャンスとなります。
そのアピールの方法は、
決してマニュアルどおりとはならず、
外国人の状況や事情に応じて
ケースバイケースとなります。

強制送還手続きや口頭審理の手続きで
不安な外国人や関係者の皆さまも、
WINDS行政書士事務所が
豊富な対応実績をもとに
ベストなサポートをいたします。
あきらめずに、是非お早めにご相談ください。