【日本で職場体験】インターンシップのVISA
2023.08.09[VISA]
【インターンシップで拓く未来!】
こんにちは、西新宿の行政書士、田中良秋です。
学生さんが、学校を卒業して社会に出る前に
希望の業界や職場の仕事を体験してみる、
インターンシップ。
皆さまのなかで、学生時代にご経験のある方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
学生さんを受け入れる事業者側にも
将来的に有能な人材の確保や
企業のイメージアップにもつながる、
有効な制度です。
外国人の学生さんが
インターンシップを受けるためには
インターンシップにフィットするVISA
を取得しなければなりません。
今回は、
インターンシップに取得すべきVISAの種類や
定められる要件、注意ポイントを解説します。
【インターンシップVISAとは】
入管法上、外国人のインターンシップとは、
次のように定義されています。
※出入国在留管理庁:インターンシップに係るガイドライン
これにフィットするVISAが、
特定活動VISAとなります。
特定活動VISAには
さまざまな種類の在留目的が該当しますが、
インターンシップの場合は、
告示第9号と呼ばれるカテゴリーが該当します。
※特定活動VISAと各カテゴリーについては
以前のコラムで詳しくご紹介しています。
⇒こちら
このVISAの許可を得るための要件が
入管法上の定義にすべて集約されています。
日本の学生さん向けの
インターンシップとくらべると
条件面から比較的厳しい定義と言えるでしょう。
ちなみに、
このVISAの要件にマッチしない場合は、
特定活動VISAのなかでもほかのカテゴリー
あるいは
ほかのVISAが該当することになります。
【インターンシップVISAの要件】
入管法上定められる
インターンシップVISA
(特定活動VISA(告示第9号))は
要件をひとつずつ確認していきましょう。
①外国の大学の学生
VISAを取得すべき外国人は
外国の大学生で
入国時に満18歳である
また
その外国の大学に在籍していること
が必要です。
学位が授与される教育課程であれば、
短期大学や大学院の学生さん
も認められます。
通信教育課程に在籍
大学生であっても入国時典で18歳未満
といった学生さんは要件を満たしません。
また、1事業者あたりの
インターンシップ生の受け入れ可能人数も
制限がありますので、注意しましょう。
※インターンシップ先が介護施設の場合、
事業所の介護福祉士の人数などはさらに
詳細な注意事項があります。
⇒当事務所までご相談ください。
また、
事業者が1号技能実習中で、
である場合は、
インターンシップ生の指導体制やカリキュラム
を説明して
技能実習に影響が出ないことの証明
が必要となります。
もし、インターンシップを希望する外国人が
日本の大学に在籍する留学生である場合は、
資格外活動VISAを取得すべきです。
⇒この後に詳しく説明します。
②教育課程の一部とする活動
外国人が日本でおこなうインターンシップは、
外国の大学での履修科目と
関連した体験業務
に就くことをあらわしているため、
インターンシップで得る知識・経験は
大学における学業の一環として
適正に評価される必要があります。
たとえば、
大学で日本語を専攻している学生さん
の場合、
事業者での体験業務が、
学生さんにとって
日本語の学習やトレーニングになり得る
大学で培ってきた
日本語スキルと母国語を活かす
=学生さんの専攻学部や学科とマッチする
ことが必要です。
※当事務所のサポート事例としては、
リゾートホテルでのフロント、接客業務
農場での農作物収穫、選定業務
グループホームでの介護業務
がございます。
また、インターンシップ業務は
あくまで
学生さんが将来を見据えて
勉強してきた内容に関連する職場体験
の範囲を守るべきであり、
事業者の労働力として
扱われてはなりません。
ちなみに、
インターンシップが
教育課程の一部とならない場合は、
夏季休暇期間を利用した
サマージョブに該当する
特定活動VISA(告示第12号)
を取得すべきです。
※サマージョブ向けVISAについては、
以前のコラムについてご紹介しています。
⇒こちら
こうした要件をクリアするため、
事業者は
十分な受け入れ&指導体制の確保
が求められ、
インターンシップ計画書類
などで証明することが必要となります。
③大学とインターンシップ機関間での契約
大学が、在籍する学生さんを
日本の事業者のインターンシップに送り出す
ことにあたっては、
インターンシップ契約の締結が求められ、
VISA申請にあたっては、
インターンシップ契約書類を提出します。
④インターンシップ機関からの報酬
インターンシップ実施条件のひとつとして
事業者から報酬や手当を得なければならず、
その報酬を含めた待遇に学生さんが同意
していることが重要となります。
体験業務の対価とする報酬や手当の内容、
交通費、居住費、食費などの
実費弁償的な控除の有無と内容が問われます。
このような待遇面に関してはやはり
雇用または委託契約の締結が前提となり、
VISA申請にあたっては、
契約書(雇用契約書、業務委託契約書など)
を用意します。
雇用形態や報酬額
また発生するのであれば
報酬からの控除額と算出根拠を、
書類をもって明確にしておきましょう。
計画するインターンシップが
報酬を受けず、見学や就業体験だけ
の場合は滞在期間によって、
短期滞在VISA
文化活動VISA
取得を検討できます。
⑤期間=1年&通算修業年限の1/2以下
外国人の学生さんのインターンシップは
あくまで学業を大切にすべきとの考えから
認められるインターンシップ期間はMAX1年
と定められています。
MAX1年であれば、適当な期間の設定でOK
というわけではなく、
修業年限の1/2以内
という条件がプラスされます。
修業年限とは、
外国人の在学する教育機関が
学位取得のために必要な最短期間
のことで、
その学校が何年制でいつ卒業予定なのか
を明らかにし、
そのうえで
インターンシップ期間を決めなければなりません。
VISA申請では
これらを証明する書類として
在学証明書
修業年限証明書
インターンシップ計画書類
を提出することになります。
さらに、④の条件も考慮して、
滞在期間によっては、
特定活動VISAではなく
別のVISAを取得することも検討できます。
⑥事業者の業務に従事
インターンシップで
学生さんに体験していただく業務に
職種は限定されていませんが、
インターンシップ先の場所や業務は
あらかじめ定められていなければなりません。
定めた場所以外での業務
契約にない業務の体験はNGです。
【インターンシップにおける契約】
インターンシップ先となる事業者は
学生さんが特定活動VISAすることを前提に、
インターンシップでの体験業務や待遇において、
所属する大学とのインターンシップ契約
学生さんとの雇用(or業務委託)契約
を結ぶ必要があります。
インターンシップ契約書には、
次のような内容を記載しましょう。
※契約期間が2年以上となる場合でも、
許可される在留期間はMAX1年となり、
VISAの更新申請が必要となります。
もうひとつ、雇用契約書では、
インターンシップの内容と待遇詳細
を記載し、
事業者と学生さんの同意を証明する署名
を残すようにしましょう。
【インターンシップの実施計画】
インターンシップ実施機関となる事業者は、
大学と連携して
インターンシップ実施計画を策定し
大学と受入機関双方の署名を入れましょう。
また、
事業者が技能実習生を受け入れている場合
その違いの明記も必要です。
※インターンシップ責任者と
指導員や評価担当者は兼任OKです。
※インターンシップ指導員は
実施場所の事業所に所属する常勤役員or職員で、
インターンシップ業務1年以上の実務経験、
過去5年以内に出入国や労働関連法令に
違反していない者を任命します。
※インターンシップ以外の
学生さんの相談や苦情に対応する
相談役(メンター)の設定も有効です。
ちなみに事業者は
期間中のインターンシップの状況などを
定期的に大学に報告することが求められ、
インターンシップの実施状況、評価結果
に関する報告書を作成し、
3年間保存しなければいけません。
インターンシップ契約書や実施計画には
報告時期や方法のほか、
大学側からのフィードバックなど
も得られるようにすれば、
相互のコミュニケーションが
より良くなるでしょう。
ここまでの要件チェックを経て、
取得を検討できるVISAを
次のようにまとめてみました。
【外国人インターンシップの注意点】
事業者は
特定活動(告示第9号)VISAの取得
文化活動VISAや短期滞在VISAの取得
いずれの場合であっても、
インターンシップは教育課程の一部
であることを認識することが大切です。
※経済産業省:インターンシップ活用ガイド
実際に近年、
インターンシップとして在留する留学生が、
人材不足解消のための作業員として扱われ
業務の単純作業を命じられるだけ
といった事例が発覚しており、
出入国在留管理局側でも、
インターンシップのVISA審査上
厳しく取り締まっています。
私が行政書士として、
外国人のインターンシップ実施において
注意すべきと考える点は、次の3点です。
①受入と指導体制の確保
インターンシップ実施する事業者が、
外国人の学生さんを受け入れ、指導する
十分な体制が確保される必要があります。
実際の業務が体験なのか作業なのかあいまい
提供された生活環境が聞いていたものと違う
指導員や責任者以外のメンターがいない
報酬や支払方法、控除費目や額の説明が不十分
こうしたことが原因で
事業者と学生さんとのトラブルが頻発
していますので、
必ず説明のうえ、学生さんの同意を得ましょう。
②専攻科目と体験業務の関連性
外国人のインターンシップは、
単位習得などをはじめとし
学業の一環として実施されるべですので、
インターンシップの内容と
学生の専攻との関連性は
十分に留意する必要があります。
関連性の証明としては、
インターンシップで得られる単位科目や単位数
またはインターンシップの修了自体が卒業要件
とならなければなりません。
そのためには、
学生さんがスキルや知識を習得できる活動
でなければならず、
体験業務が
同一作業の反復=単純労働とならないよう
また、目標、指導体制、評価を
明確に盛り込めるよう
策定することが大切です。
③労働関係法令の遵守
インターンシップ活動は
教育課程の一環として実施されるもの
だとしても、
事業者とインターンシップ生との間に
業務遂行の対価として報酬が発生する以上、
使用従属関係が成立し、
労働関係法令を遵守する必要があります。
報酬は最低賃金を下回っていないか
法定休日の取得が守られるか
控除の費目と額は適正、明確か
こういった点に注意して
契約書や計画を仕上げていきましょう。
【資格外活動VISAの応用】
インターンシップ生となる
外国人の学生さんが
海外の大学に在籍中ではなく、
日本の大学に在籍する留学生である場合は
どのVISAを取得すれば良いのでしょうか。
この場合、
資格外活動VISAの取得によって
日本の事業者のインターンシップに参加可能
となります。
資格外活動VISAには
包括許可と個別許可の2種類に分かれますが、
インターンシップの場合は、個別許可を得ます。
※資格外活動の活動範囲については、
以前のコラムでご紹介しています。
⇒こちら
資格外活動VISAの個別許可
を得るためには、
原則、
次のいずれかの要件を備えることが必要です。
特定活動VISA(告示第9号)
の要件とは若干の違いがある
ことに注意しましょう。
留学生さんは、
日本の教育機関で勉強することが
本来の在留活動ですので、
本来の活動が阻害されない範囲内で
インターンシップの期間・活動時間を
設定されなければなりません。
また
特定活動VISA(告示第9号)とは違い、
就職活動の一環としてのインターンシップと
位置づけられる場面もあり得ますので、
就労VISAの申請と同じように
大学などで修得した専門知識・専攻科目や
インターンシップの活動内容との関連性
(いわゆる資格該当性)も求められます。
【入念な計画で確実なVISAの許可を】
外国人の学生さんを対象
とするインターンシップは
要件が厳しく設定されており、
インターンシップ用のVISAが存在します。
外国人学生のほとんどが取得する
このVISAを取得するためには、
それら定義のひとつひとつをクリアし、
入念な計画が欠かせませんが、
事業者と教育機関の連携も欠かせません。
WINDS行政書士事務所は
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