【唯一無二のスキルが命】技能VISA
2023.12.20[VISA]
【専門家、職人向けの就労VISA】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
外国人が
就労目的で日本に中長期間在留するためには、
就労VISAの取得が必要です。
※就労VISAはじめとするVISAの種類は、
こちらのページでご紹介しています。
そのなかでも、
熟練した専門スキルをもった
職人、シェフなどに用意されているのが、
技能VISAです。
該当の職種が多岐にわたる
このVISAの要件や注意点などを解説します。
【技能VISAとは】
技能VISAとは、
産業上の特殊で専門的なカテゴリーで
熟練スキルを必要とする外国人
のための就労VISAです。
入管法上、このVISAを持つ外国人は、
高度な外国人材として取り扱われています。
毎年、技能VISAを取得し在留しているのは
約40,000人ほどの推移をキープしています。
<最新のVISA別在留外国人数推移>
※出入国在留管理庁:在留外国人数推移
技能VISAを取得する外国人に
家族がいる場合は、
その配偶者や子どもに限って、
家族滞在VISAを取得して帯同が可能です。
【産業上の分野とは?】
申請する外国人に求められるスキルは、
産業上の特殊分野における熟練したもの
であることが必要となります。
ここでいう産業上の特殊分野とは、
外国のスキルレベルが日本と比較して高い
また、
このスキルで雇用できる日本人が少数
であることを想定して、
海外から優秀な人材を呼び寄せる
という制度目的につながっています。
この分野に該当するのは、
次のような3つのカテゴリーに分かれます。
これらの分野のなかで
技能VISAの取得がもっとも多くみられる職業
として、外国料理シェフが挙げられます。
それ以外の職業についても、
特殊と言えるスキルが求められる
ことがわかりますね。
【技能VISAと間違えられやすいVISA】
日本のVISA制度のなかには、
名前や要件など、
技能VISAによく似たVISAがあり、
混同しがちです。
それぞれの要件も異なります。
そんなVISAについても
あらかじめその違いを
把握しておきたいところです。
間違えられやすいVISA①特定技能
特定技能VISAは、
2019年4月に創設されたVISAで
14の特定産業分野と呼ばれるカテゴリー内の
比較的単純な業務に就くことができます。
外国人がこのVISAを取得するためには、
指定された試験にパスし、
一定レベルの日本語スキル
を備えることが必要です。
また、受け入れる機関も、
協議会への加入や定期的な届出
が義務付けられます。
創設目的が労働人材不足の解消
であることもあり、
技能VISAのような
高度なスキルを要する専門業務
とは異なります。
間違えられやすいVISA②技能実習VISA
技能実習VISAとは、
開発途上国を中心とした
海外諸国からの実習生が
日本で培われたスキルの習得
それらスキルを母国に持ち帰り
母国の発展に役立てる
ことを目的したVISAです。
就労VISAの一種にカウントされますが、
制度目的から、
厳密には労働力としての取り扱いはできない
ことになっています。
対象職種は建設や製造、農業や漁業など、
①で説明した特定技能に移行できる職種
も多くあります。
間違えられやすいVISA③特定活動VISA
特定活動VISAは、
現行カテゴリーのVISAにマッチしない場合、
法務大臣が、特別に在留を認めてくれるVISA
で、
さまざまな在留活動が定義されています。
技能VISAには
8号に該当するようなスポーツ関係者
も該当しますが、
企業スポーツにおける外国人選手の場合は、
技能VISAではなく、
このVISAを取得することになります。
※特定活動VISAについては、
以前のコラムで詳しくご紹介しています。
※企業スポーツでない、
国際的アスリートやその関係者の場合は、
興行VISAがフィットします。
⇒当事務所までご相談ください。
【技能VISAの要件】
技能VISAを取得するためには
次の3つの要件を備えていることが必要です。
①特定分野での豊富な実務経験
熟練スキルを持ち、
またその専門的な仕事を全うできるだけの
実務経験が求められます。
求められる実務経験は年数単位で、
以下のように具体的に求められています。
ちなみに、これら実務経験は、
単に法律上指定されている年数をこなし、
証明すればよいというわけではなく、
「産業上の特殊分野」対象の仕事の内容が
外国で考案され
日本でおこなうにあたって特殊なスキル
が求められるものであることが必要です。
たとえばシェフの場合、
料理が外国特有である証明として、
配属予定の店舗で展開しているメニュー
それらメニューを調理するために
店舗で備え付けられている設備や器具
などが挙げられるでしょう。
こうした証明が難しい場合は、
不許可リスクが高まります。
②日本人と同等額以上の賃金
技能VISAは、
外国人が日本人と同レベルの賃金待遇
を受ける必要があります。
その証明としては、
同レベルの日本人の同僚が受け取る賃金額や、
その設定に基づく社内規定がチェックされます。
外国人が受け取る予定の賃金が
日本人と比べて不当に低い場合は、
不許可リスクが高まります。
③所属機関・就業場所の受入体制
技能VISAの取得を目指す外国人が
所属内定している所属機関は
安定的継続的に給与を支払えることが求められ、
収支の計画や決算などの実績、
事業計画書などが求められる場合もあります。
所属機関は法人に限定されず、
個人事業主でもOKですが、
日本の機関
⇒日本で設立された法人
or日本人の個人事業主
or特別永住者の個人事業主
であることが必要です。
④雇用契約
技能VISAに限らず、就労VISAは
雇用や委任、嘱託などといった
労働契約が締結されなければなりません。
この契約で中長期日本に在留する
必要性と継続性を審査されますので、
3か月以内の単発作業は認められない
ことに注意しましょう。
【不許可となるケース】
技能VISAの取得を目指した申請で
不許可となった事例が確認されており、
次のような理由が大半を占めています。
不許可の理由①実務経験不足
指定実務経験の年数が足りないことから、
不許可となるケースが多く散見されます。
9年までしか実務経験がない場合は
認められませんので、
専攻科目などの例外カウントが適用されるか
確認をとりましょう。
不許可の理由②定義されていない仕事
技能VISAは、
産業上の特殊分野において
熟練スキルを持つ外国人のためのVISAですが、
そもそもこのVISAで指定された職務に従事する場合、
技能VISAとしての要件を満たしません。
たとえば、
外国料理のシェフして
実務10年の経験はあったとしても、
内定業務が寿司職人や板前であれば、
外国料理特有のスキルを活かす職務でない
と判断され、許可は得られません。
日本のラーメン屋さんも
中華料理と定義できづらい要素が強まっている
ことに、注意しましょう。
不許可の理由③低待遇
技能VISAに限らず、就労VISA全般において、
日本人と同等以上の待遇設定が必要ですが、
低賃金での人材確保を目指した所属機関が
この点で審査マークされ、
残念ながら不許可となるケースがございます。
※当事務所では
この点を改めて説明のうえリベンジ申請し、
無事に許可を得られた事例がございます。
【要件証明のために計画的な申請準備を】
技能VISAは、
就労VISAの中でも高度で専門的なスキル
が必要なVISAのひとつです。
求められる要件自体はシンプルではありますが、
その資質に見合う高いスキルや絶対的な待遇
が約束されなければなりません。
要件とその証明書類が問題なく準備できるよう、
計画的な申請をしたいところです。
WINDS行政書士事務所は、
技能VISAをはじめとして、
各VISAの申請サポートを展開しております。
VISA申請や要件チェック、
必要な書類など、お気軽にご相談ください。