【アメリカ永住権】グリーンカードの取得
2024.04.10[VISA]
【ひと味違う!アメリカの永住者VISA】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
海外から外国人の皆さまが
日本に在留するときには、
VISAを取得する必要があります。
このVISAは、
身分や職業によってカテゴライズされ、
在留期限が設定されますが、
唯一、
職業選択や在留期限の制限がない
永住者も存在します。
こうした永住ルールはアメリカにもあり、
私たち日本人や外国人のように
アメリカ人でない者が外国人として
アメリカに永住できる制度がありますが、
期間限定でVISAを取得するのとは
異なるルールや手続きがあります。
今回のコラムでは、
アメリカで永住権の取得要件や
その手続き、注意事項について、ご紹介します。
【アメリカの永住権】
アメリカにおける永住権とは。
アメリカ国内での無期限に滞在、
すなわち永住を約束されるVISAで、
正式には
LPR(Lawful Permanent Resident)VISA
または
PR(Permanent Resident)VISA
と呼ばれます。
ちなみに日本では、
グリーンカードという呼び方が
広く知られているのではないでしょうか。
この呼び方の由来としては
1940年代当初から発行されていた
永住カードの色がグリーンであった
ことにあります。
その後、永住カードの色は白に変わったものの、
2023年にアップデートされた
最新デザインは再びグリーンとなり、
指紋表示の撤廃と強化セキュリティ
が施されています。
<グリーンカード(I-551)のデザイン(2023年1月30日改正)>
※USCIS:グリーンカードのデザイン変更
※グリーンカードは、10年ごとに更新が必要です。
アメリカ永住権は次のような特徴があります。
①無期限の在留OK
永住権という言葉のとおり、
期限を設定されることなく、
アメリカに在留を許されます。
ご自身の特別な事情や都合がない限りは、
永久にアメリカで暮らすことも可能でしょう。
②高い自由度
永住権を取得することができれば、
実質的にアメリカ人とほぼ同様の恩恵
を得ることができます。
たとえば、
通常制限がかかるはずの
アメリカへの出入国が無制限となり
空港でアメリカ入国時に
アメリカ国籍者と同レーンに並ぶ
ことができます。
また、
職業選択が自由となるため、
どのような職業にも就け、
スポンサーの有無も問われません。
※学生となることも自由に認められます。
③親族申請の融通
アメリカ永住権を申請する場合は
申請者本人だけではなく
配偶者と21才未満の未婚の子供も
同時に申請可能です。
④一部権利の制限
永住権はあくまで
アメリカに対しての外国人向けのVISAです。
VISAを取得することで、
基本的には居住が認められますが、
アメリカ国籍を取得するわけではありません。
この影響として、
選挙権・被選挙権が与えられない
陪審員に就任できない
などの権利制限があります。
また、職業選択の事由があるとはいっても、
アメリカ国籍の保有が就業条件になる職業
には就くことができません。
⑤兵役義務
永住権と市民権保持者には、
国家安全保障に関わる義務として、
セレクティブサービスすなわち、
兵役登録があります。
永住権と市民権を保持する18歳から25歳の男性
は、この兵役登録が義務づけられており、
学校などで登録を呼びかけられます。
セレクティブサービス未登録の永住者は、
将来市民権取得申請をする場合に
その審査に影響がおよびます。
また、登録後に兵役を拒否する場合は、
永住権保持者、市民権保持者に関わらず
刑務所に送致されてしまいます。
※健康問題や宗教関係上
この義務が免除されることはあります。
永住権は、一般的なアメリカVISAと違う
移民VISAのひとつと言えるでしょう。
移民VISAは
アメリカへ永住する外国人向けのVISA
です。
そのうち、永住権保有者であることを証明する
グリーンカードは
アメリカ国内でのみ発行され、更新が可能
⇒アメリカ国外では取得できない
となります。
そのため、
たとえば私たち日本人が永住申請する場合は、
いったんほかの移民VISAでアメリカに入国し、
その後アメリカに住まいをもうけて申請のうえ、
アメリカの住所で郵送にて
グリーンカードを受け取ることになります。
※アメリカの移民VISAと非移民VISAについては
こちらのコラムでご紹介しています。
【アメリカ市民権との違い】
グリーンカードの取得とならぶ永住条件
として存在するのが、
アメリカ市民権でしょう。
アメリカ市民権とは、社会的地位であり、
アメリカ市民に対して与えられるもので、
日本でいう帰化制度に類似します。
その付与方法は、
アメリカ国内での出生や申請で取得できます。
※日本の帰化制度については、
こちらのコラムでご紹介しています。
※日本人がアメリカ市民権を取得した場合
日本国籍は離脱しなければならず、
日本において選挙権は付与されません。
永住権と市民権の違いとしては、
次のようなものがあります。
①要件、コスト
永住権の場合は、
勤務先などのスポンサーを通す、
または企業への投資を経たうえで
申請が必要であったり、
抽選プログラムへの当選など
さまざまな要件と選択肢があります。
気になる申請手数料ですが、
現在の申請者のステータスに沿った申請別に
1,000~3,000ドルと幅広く設定されています。
対する市民権は、
次の要件を満たす必要があります。
申請で市民権を得るうえでの手数料は、
675ドルとなります。
※アメリカでの出生のみ、
市民権は自動的に付与されます。
②選挙権・被選挙権
永住権者には、アメリカ国内における
選挙権・被選挙権は付与されません。
一方、
アメリカ市民権取得者は
選挙権・被選挙権が付与されます。
③職業
基本的には、永住権も市民権取得者も
自分が希望するたいていの職業に
就くことが可能です。
ただし、
特定の職業・職務に就労する場合は、
市民権者でなければならず、
永住権者は就くことができません。
永住権者でなく、市民権取得者でなければ
就くことができない職業・職務は、
次のようなものがあります。
④渡航制限・更新の有無
永住権者は基本的に、
アメリカでの無期限の在留を認められています。
にも関わらず、
1年の半分以上をアメリカから離れ、
国外生活を送った場合
当局に永住意思なしとみなされ、
永住権剥奪のおそれがあります。
市民権取得者の場合は、
アメリカ国籍を約束されているという立場上、
海外滞在期間による市民権剥奪はありません。
⑤権利の更新
アメリカの永住権は10年の有効期間
が設定されており、
永住権をキープするためには
10年に1度、更新手続きが必要です。
※日本では7年に1度
永住者の「在留カード更新」手続き
が必要です。
これに対して、
市民権には有効期限はなく、
更新手続きは不要です。
⑥家族の呼び寄せ
海外にいる家族をアメリカに呼び寄せて
一緒に暮らしたい場合、
永住権と市民権では
家族の呼び寄せやすさが異なります。
わかりやすいのが、
呼び寄せのできる優先順位ルールです。
永住権者と、市民権取得者を比べてみた場合、
この優先順位に違いがあります。
永住権者が
配偶者と子ども(21歳以下かつ未婚)
を呼び寄せる場合、
その優先順位は第3位となり、
申請手続きには3年以上かかるケースが多いです。
対する市民権取得者の場合
配偶者と子どもを呼び寄せられる優先順位は
第1位となっており、
手続きにかかる申請期間も4か月~1年ほど
と早いですので、
優先順位の差がはっきりしていますね。
※在日アメリカ大使館:米国市民や永住者の優先家族
⑦強制送還
永住権取得者が、
重罪を犯した
市民権固有の権利を濫用した
というケースに該当する場合、
国籍の属する国へ強制送還される
おそれがありますが、
市民権取得者はアメリカ国民であり、
国籍をアメリカに置いているため、
アメリカ以外の他国に
強制送還されることはありません。
【アメリカ永住権取得の要件】
アメリカは
合衆国であるという国の特徴があり、
多種多様な国・人種の人々が暮らしており、
価値観や生活におけるいバランスを保っており、
政府も、一定の要件とルールをもって
移民が流入し過ぎないように
コントロールしています。
そのため、
要件を満たす申請者が申請すれば
誰でも自由に受け入れてもらえる
というわけではなく、
最終的には政府の裁量に委ねられる
という現状があります。
グリーンカードの取得条件としては
次のものがあります。
①アメリカ国籍者の家族である
アメリカ国籍の方の
配偶者または子ども、兄弟姉妹
または
21歳以上のアメリカ国籍の方の両親
であることが該当します。
※アメリカでは同性婚が認められているため、
同性でも配偶者と認められます。
⇒BBC: アメリカ同性婚の法制化報道
アメリカ国籍者と結婚した場合、
アメリカ人の家族がいる場合は、
そのアメリカ国籍者をスポンサーとして
永住申請が可能です。
取得条件や取得期間は、
アメリカ国籍者との家族関係
によって異なります。
※アメリカ国籍者との婚姻期間が
2年未満の場合は
永住権は2年間限定という条件付きとなり、
婚姻期間がこの期限を過ぎ次第、
通常の10年間の永住権にスイッチ可能です。
また、
必要書類の提出
当局のインタビュー通過
が求められ、
婚姻関係が偽装でなく、実態をともなう
ことを証明しなければなりません。
※婚約者と婚約者の子は
上記とは別の手続きで永住権を取得できます。
⇒当事務所までご相談ください。
②永住権者の家族である
アメリカで永住権取得者の家族においては、
配偶者や子も、永住権の取得が可能です。
①と同様、
必要書類提出
当局のインタビュー通過
が求められます。
※婚約者は配偶者とは認められないため、
婚約者用(K-1)VISAをを取得のうえ
アメリカに入国してから、
一定期間以内に結婚を経て永住申請します。
⇒当事務所までご相談ください。
※婚約者の子どもは、K-2VISAを取得し、
婚約者と同じパターンで永住申請します。
②専門的な知見や能力がある
アメリカにある企業のオフィスで就業予定
の
役員、特別なスキルや才能を持つ研究者
などが該当します。
勤務先であるアメリカ企業がスポンサーとなる
(=スポンサーの内定を取り付けている)
スキルや才能を裏付ける実績や資格の証明
が必要です。
このケースの永住申請では、
職業やスキルに応じて、
目指すVISAプログラムが
次のように異なります。
③アメリカの事業者へ投資する
当局指定のアメリカ国内の企業や団体に
一定額以上の投資をする投資家が該当します。
自身の投資で永住権を取得が可能であるため、
スポンサー不要、学歴やスキルが問われない
といったメリットがあります。
投資額としては、最低50万ドル必要です。
※この有効措置は期間限定となっています。
(有効期限未定)
代表的な投資先としては
ニューヨーク証券取引所やナスダック市場
などに上場するアメリカ企業
となります。
投資金融商ツールは、
アメリカ株式のほか、上場投資信託(ETF)
も認められます。
このケースで目指すVISAプログラムは
②と違うEB-5と呼ばれる投資家向けの
EBプログラムがあり、
次の2種類が存在します。
1回の投資実績で、
配偶者&21歳未満で未婚の子ども全員
永住権申請可能
というメリットもあります。
④永住権の抽選に当選する
アメリカ移民局は、永住権を募集する
DV=Diversity Programプログラム
というものがあります。
※こちらのコラムでも
DVプログラムについて
詳しくご紹介しています。
これは今までご紹介してきたような
要件にフィットするものではなく、
応募者の中から
永住権を抽選で決めるプログラム
となります。
①~③の要件にフィットしづらい場合は、
このプログラムに当選することで
永住権が得られます。
DVプログラムは、
1994年より運用スタートしているプログラムで
毎年10月から11月上旬の5週間の間で
1回のみ、応募がおこなわれ、
翌年の5月に
コンピューターでランダムで
55,000人に対して当選発表
がされています。
応募対象エリアは、
アフリカ、アジア、ヨーロッパ、
北米、南米、オセアニア
としており
アメリカ移民局は
過去5年間で
移民VISAの発給が少ない国を厳選
しています。
応募者は以下のいずれかの要件を満たすことが必要です。
また、例外として、
過去5年間に50,000人以上
アメリカへの移住実績のある国は
プログラム対象外となりますが、
現時点では、
日本は対象外となったことはありません。
当選者は、
改めて申請と在外公館でのインタビューを経て、
正式に永住VISAを取得できます。
グリーンカードの発給が拒否されるおそれがあります。
【アメリカ政府の独特の手続きをサポートします】
私たち日本人が
アメリカで永住したい場合は、
アメリカ永住権を取得する必要があり、
それを証明する形となるのが、
グリーンカードと呼ばれるものです。
アメリカ永住権を取得するためには、
スポンサーの準備やスキルの証明、
投資や抽選とさまざまな手段がありますので、
ステータスやバックグラウンドに合わせて、
フィットする方法をセレクトしましょう。
アメリカ永住権取得における選択肢に
迷う場合は、
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