コラム

【就業できる?!】ドライバー向けのVISA

2024.07.24[VISA]





【高まるドライバーのニーズは外国人にも】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
プレゼントや荷物、オンラインショッピング
などで、
配送会社さまで働くトラックドライバー
が活躍しています。
また一方、移動手段として
日常でタクシーを利用することで
タクシードライバーの方に
お世話になる機会も少なくありません。
私たちの日常生活はまさに、
たくさんのドライバーの皆さまに支えられている
といっても過言ではありません。

しかしながら、関連業界では、
労働条件や年齢制限の関係などから
ドライバーの人手不足が顕在化している
のが現状です。

<国土交通省:2022年までのトラックドライバーの就業状況>



国土交通省:我が国の物流を取り巻く現状と取組状況

<全国ハイヤー・タクシー連合会:タクシードライバー数推移>

全国ハイヤー・タクシー連合会:タクシー事業の現状

各業界ではこうした状況を解消するため、
外国人ドライバーの雇用を促進する動き
もありますが
ドライバーに沿ったVISA制度が整っていない
ことが課題となっています。

外国人はドライバーになれるのか、
ドライバーになるために必要なVISA
外国人のドライバー雇用における注意点
など、現在のVISA制度に基づいて
解説したいと思います。



【さまざまなフィールドのドライバー】

一概にドライバーと言っても、
配送ドライバー
旅客ドライバー

と、関わる業界や職種はさまざまです。



私たちの日常生活では、
オンラインショッピングが普及し、
非常に身近に存在となりました。
随時発注されるさまざまな商材を
日時指定で配送してくれるドライバーの確保は
必要不可欠で、ニーズも高いと考えられます。
また、
経済効果をうけた輸出入や重量物の配送
におけるビジネスニーズも欠かせません。

もう1種類、
私たちの日常でお世話になっているのが
タクシーやバスなどです。
指定された場所を目的地として走行する、
または、
大型車両を決まった導線を周回的に運行
するドライバーも
雇用ニーズが高いと考えられます。




【外国人はドライバーとして仕事できる?!】

外国人向けの就労VISAは、
職種や就労目的でカテゴライズされていますが、
ここで気になるのは、
ドライバーとしてカテゴライズされるVISA
は存在するか

ですが、
現在の結論としては、
ドライバーとしてカテゴライズされる
就労VISAは存在しません。

そのため、
外国人は配送、旅客を問わず、
ドライバーと言う職業に特化した
就労VISAを取得することはできません。


それでは、
現在、すべての外国人は本当に、
日本でドライバーとして
働くことはできないのでしょうか。

じつは、
ほかの種類のVISA取得によって可能
なのです。


【ドライバーを職業にできるVISA】

外国人はドライバーを職業にしたい場合、
就労制限のないVISAを取得する
ことで可能となるでしょう。

就労制限がないVISAは、
次のものが該当します。

永住者、配偶者VISA
職業や就労目的ではなく、
身分的な立場でカテゴライズされているVISAで、
職業や就労時間の制限がない
ことが特徴です。

定住者VISAは、
身分関係の中でも、
日系〇世や、年齢的に若い外国人の子
といった特殊なもの
に加えて、
日本での長い在留歴で認められます。

留学VISAでも、
ドライバー就業が可能ですが、
オプションとして資格外活動VISA
を備えることが必要で、
あくまでアルバイトとしての就業に留まります。
そのため、
週28時間以内という就業時間制限
といった条件が付きます。
※資格外活動VISAついては、
 以前のコラムで詳しくご紹介しています。
 ⇒
こちら

特定活動VISAについては、
さまざまな在留目的に合わせてカテゴリーが
分かれていますが、
そのうちの告示カテゴリーである
5号の1、5号の2、46号
が該当するでしょう。
アフターコロナの現在は、
インバウンドニーズ対応を促進するため、
告示46号の活用を検討される機会も多いですが、
VISA期限が短いというデメリットもあります。
※特定活動VISAについては、
 以前のコラムで詳しくご紹介しています。
 ⇒
【広い活動範囲】特定活動VISA
 ⇒
【日本のVISAのワイルドカード】特定活動46号




【人手不足解消へ!特定技能などの国の施策】

依然、
各種ドライバーの人手不足は社会問題
となっており、
国としてもさまざまな施策をもって
テコ入れがおこなわれていますが、
そのうちのひとつとして、
外国人人材の活用が挙げられます。

身分系VISAが
このドライバーという職業を
認められるようになった背景としては、
4年前に経済同友会が発表した、
物流クライシスからの脱却があります。

2020年6月当時はまさに、
特定技能VISAが創設された翌年でしたが、
経済同友会によって
ドライバー職の特定技能VISA対象職種
になる可能性を示唆、
それが可能になることで、
さらなる外国人の雇用機会の急増をうったえ、
政策提言としたことで、
現在の身分系VISAのドライバー就業可能
につながっています。

<物流クライシスからの脱却要点>

経済同友会:物流クライシスからの脱却

一方、旅客ドライバーにおいては、
2019年入管法改正によって
特定活動VISA告示46号が認められるようになり、
特にタクシードライバー人材として
活用が進むようになりました。
※特定活動VISA46号については、
 
こちらのコラムでご紹介しています。

そして今年3月にあった大きな動きが、
自動車運送業が
特定技能外国人受入分野として追加
されたことも大きいでしょう。

これまでは、
ドライバーを積極的に認めるVISA
がなかったところ、ここにきて、
外国人のドライバー雇用が
イメージしやすくなったと言えるでしょう。

特定技能VISAで認められる自動車運送業とは、
トラック運送業、タクシー運送業、バス運送業
の3カテゴリーです。
ドライバーをめぐっては、
2024年4月から残業時間上限が年間960時間まで
といった規制も始まっています。
特定技能VISAについては、
職種ごとに受入人数枠が決まっていますが、
2024年7月現在、
この分野の特定技能評価試験実施時期は未定
と、足踏みの状態です。

制度を把握したうえで、
枠が埋まるまでに外国人人材を確保する
ことが大切でしょう。
※現在の特定技能VISA受入分野については、
 
こちらのコラでご紹介しています。
厚生労働省:建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制 


 

【外国人ドライバーの雇用ポイント】

外国人がドライバーとして認められるVISA
についてはわかりましたが、
1番重要なのは、
異文化を備える外国人を日本で雇用する
ことにおいての問題点を念頭に置いて
準備のうえ、対応することと考えます。

私がVISAサポートの専門家として
特に大切だと思うことを
4つピックアップしてみました。

①人材確保と事業拡大計画策定
ドライバーとして、
外国人をすぐに雇用できる条件としては、
就労制限なしのVISA取得をご紹介しましたが、
近い将来は
特定技能VISAの運用も具体化していき、
制度として均衡がとれてくるでしょう。
外国人ドライバーの就労ビザが実質解禁後、
事業者の皆さまは
雇用拡大と同時に、事業拡大も視野に入れての
営業が重要になると考えます。

②文化の違い⇒ワークアプローチの違い
異文化で生まれ、育ってきた外国人の皆さまは
日本人とは違う価値観、国民性を備えています。
その違いは日常における価値観も違います。

それは、働き方にもあらわれるでしょう。
たとえば日本の運送・物流のサービスは
置き配や配送日時、配送物の丁寧な取り扱い
など、
世界的なクオリティの高さを評価されています。
これに対して欧米では、
置き配に天候を配慮しない
積み込みや運送などが雑

などのケースが多く見受けられます。

外国人ドライバーの雇用にあたっては
日本のサービスクオリティを
いかに理解し、実践していただけるかが、
大切となるでしょう。

③必要な免許の取得
車を運転するにあたっての条件として
私たちがすぐ思い浮かぶのは、
運転免許証の取得
ですね。
しかし、運転する車種によっては
必要な免許の種類が増えます。
たとえばトラックの場合は、
普通自動車免許だけでなく、
大型免許や二種免許が必要となりますが、
これらは原則、
普通自動車運転免許取得後3年の運転経歴
が必要です。
警視庁:運転免許の受験資格

またワールドスタンダードは
右側通行であるのに対して、
日本は左側通行
であったり、
有料の高速道路
日本語標識や独自の交通ルール

を理解することは想像以上にハードでしょう。

このように、ドライバーとなる外国人が
VISAと同様、運転免許証を取得するには
多くのハードルがあり、
ハイレベルな日本語能力も求められる
ことを念頭に置きましょう。

④日本人スタッフとの雇用バランス
事業者の皆さまで、雇用にあたって
外国人ドライバーが必要なのか
という点は、
雇用前に必ず立ち止まって考えていただくべき
と考えます。

ドライバーというポジションは、
求人をかけても募集が少ないと言われる
ことも少なくありませんが、
募集要項や仕事内容のアピールによっては、
日本人ドライバーの確保も可能です。
外国人ドライバーへのこだわりや
客観的な必要性を整理したうえで募集し、
雇用内定の際には、
日本人ドライバーとの雇用人数を調整していく
ことも視野に入れましょう。




【革新が進むVISAルールは最新情報を!】

ドライバーとして外国人を雇用することは、
VISAの観点からは十分可能であり、
今後も国の施策として
強化が進んでいくものと思われます。
ただし、
VISA以前に、雇用の必要性や
外国人に立ちはだかるほかのハードルがあり、
それらの対応策を工夫して対処することも
非常に重要です。
本コラムを参考にして頂いて、
外国人ドライバーの雇用に一歩前進
いただけると、嬉しく思います。

WINDS行政書士事務所では、
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