コラム

【日本のVISAのワイルドカード】特定活動46号

2024.07.03[VISA]





【さまざまな業務に対応する特定活動VISA

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
昨年より、
外国人を取り巻く労働環境には変化が見られ、
就労外国人が取得すべき就労VISAにおいても
育成就労ルールの法案可決など
法整備が進んでいることも記憶に新しい
ところです。
※VISAの種類については、
 
こちらのページでご紹介しています。
※育成就労ルールについては、
 以前のコラムで詳しくご紹介しています。
 ⇒
こちら

こうしたながれを受け、
外国人、関係者の皆さまから
もっと幅広く働けるVISAがないか
と言う問い合わせを
よく受けるようになりました。

そこで今回、ご紹介したいのが、
特定活動VISA46号
です。

原則職業やライフスタイルによって
VISAの種類が分かれるところ、
このVISAは、
多岐にわたる接客が可能で、
オプションとして単純労働も認められます。
特定活動46号の特徴や要件、注意点などを
VISAサポートの専門家が徹底解剖します。




【特定活動VISA46号とは】

特定活動VISA46号とは、
2019年5月に新設され、
日本の教育機関などにおいて修得した知識

留学経験を通して得た
高レベル日本語スキルの活用

を要件に、
他のVISAで許可されていない活動を
法務省が特別に認めるVISAです。

一般的な就労VISAでは、
技術・人文知識・国際業務VISA
がありますが、
基本的にこのVISAでできる業務は
教育機関などで学んだ
専門技術や知識を活かしたものだけ

で、現場的な実務は認められていません。

これに対して、
特定活動VISA46号は、
特定技能VISA以外の就労VISA
には認められない
現場的な業務も幅広く認められ、
大学や大学院で学んだ内容を応用できたり、
コミュニケーションを必要とされる仕事
にもフィットします。

対象業務の幅広さがわかる
もうひとつの特徴としては
単純作業ができることが挙げられ、
外国人材の活動の範囲や活動の場が
さらに広がることに寄与するでしょう。
また、このVISAは
家族の帯同OKであり、
将来のキャリア次第では永住権の取得も
視野に入れることもできるでしょう。
※特定活動VISA46号外国人の帯同家族は
 特定活動VISA47号を取得します。
※特定活動VISA全体については
 以前のコラムでご紹介しています。
 ⇒
こちら

このように、
条件としての幅広さはVISAの中でも随一で、
インバウンドニーズにマッチするVISA
とも言われています。




特定活動VISA46号の取得要件】

特定活動VISA46号は、
次の要件を満たす外国人を対象とします。



まず、明確に求められるのが
バックグラウンドです。
学歴は、
日本の大学、大学院卒業&学位修了
を条件としており、
最高学歴が
海外の大学卒業
日本の大学や大学院の中退
日本の短期大学や専門学校の卒業

の場合は、要件を満たしません。

日本語スキルについては、
具体的な試験名が示されており、
そのスキルレベル
技能実習VISAや特定技能VISAよりも高い
ものとなっています。
※日本語能力試験については、
 旧試験制度1級も対象とされています。
※大学や大学院で日本語専攻&卒業の場合も
 求められる日本語スキルにフィットします。


従事する業務については、
フルタイムの雇用契約を結び、
担当業務に関連した学歴に応じて
修得した一定レベル

日本語での双方向コミュニケーション

が必要とされます。
※上記業務が今後見込まれる場合でもOKです。




【これもできるの?特定活動VISA46号の業務】

特定活動VISA46号を取得することで、
外国人は次のような業務に従事できます。



ただし、要件を満たせば
どのメイン業務にも従事できるのではなく、
法律上有資格者でないとできない業務
風俗営業法上定義されている業務
には従事できません。


また、
営業や管理職技術・人文知識・国際業務VISA
ホテルや旅館のスタッフ特定技能VISA
など、
すでに運用中の就労VISAが存在しますので
これら就労VISAではなく
あえて特定活動VISA46号を選ぶ理由

明確に説明できることが大切です。




【特定活動VISA46号における注意点】

特定活動VISA46号の申請、取得
にあたっては、どのような点に注意すべきか。
私が行政書士としての目線で
厳選してピックアップしてみました。

①転職時のVISA申請
特定活動VISAにおいて、
就労を伴う在留を希望する場合は
出入国在留管理局から
その活動と所属先を指定され、
外国人のパスポートにはそれらが記載された
指定書が貼られます。
※指定書は、
 出入国在留管理局の指示が出るまで
 勝手にパスポートから剝がしてはなりません。


そのため、
外国人が指定の勤務先から転職する場合は
必ずVISAを変更しなければなりません。

⇒当事務所へご相談ください。

②外国人の在留状況
今回ご紹介している
特定活動VISA46号に限らず、
外国人が無事にVISAの許可を得るためには
やはり、
 素行が善良(=ノーオーバーワーク、前科なし)
 定められた届出などの義務を履行している

といったことをクリアし、
善良な在留状況をアピールすることが大切です。
VISA申請時に、
これらの点に不安材料がある場合は、
事前に説明対応を検討すべきと考えます。

⇒当事務所へご相談ください。
※外国人がおこなうべき届出については、
 以前のコラムでご紹介しています。
 ⇒
こちら

③可能な仕事
特定活動VISA46号で従事できる業務を
先ほどご紹介しましたが、
メイン業務は、
あくまでVISA取得要件に基づくもので、
単純作業は、付随的発生を条件に認められます。
従事業務が単純作業だけの場合は
VISAは許可されず
発覚した場合はVISAの取り消し
などのペナルティが課せられます
ので、
気を付けましょう。

特に、ドライバーについては、
誤った認識が広がっていると感じます。
ドライバーの業務は
旅客業務の一部としては従事可能ですが、
運送や物流業務
(配送トラック、宅配ドライバーなど)
としては単純作業とカテゴライズされ、NG

であることに注意しましょう。
※現在、国土交通省は
 出入国在留管理庁など関係省庁と協議し、
 特定技能VISAの対象に
 自動車運送業を追加
する検討に入っています。
​​​

④待遇
外国人の待遇においては、
特定活動VISA46号の要件にしたがって
適切な設定のうえ、
次のような点に気を付けて
雇用契約を結びましょう。



⑤在留期間
特定活動VISAで付与される在留期間は、
3か月、6カ月、1年、3年、5年
のいずれかとなります。
初回で就労に関わるVISAを取得する場合、
原則は1年からスタートする傾向が高いです。
こうした傾向をふまえて、
④の雇用契約を取り交わすと良いでしょう。
※在留期間については、
 以前のコラムで詳しくご紹介しています。
 ⇒こちら


⑥専門知識や資格
取得要件を満たし、
仮に特定活動VISAの許可を得られる
外国人人材であっても、
その担当業務に資格が必要であれば、
有資格者でなければ、就業できません。
たとえば、ドライバーの場合、
最低限持っているべき資格として
運転免許が挙げられます。
さらに、運転する車両スペックによっては
普通ではなく、第2種、大型など
条件が加わります。

外国人が運転免許を取得するにあたっては、
道路交通法上、
1種、2種いずれも問題ありませんが、
特例ルールがないことも事実です。
さらに対象車両がタクシーであれば、
運転免許の保有だけでなく、
日本語スキルや日本の道路、地理の知識など、
幅広い知見も強く求められるでしょう。




【要件をおさえた適切なVISAの準備を】

就労VISAではないものの
一定の広い範囲での就労が認められる、
特定活動VISA46号。
就労VISAでは通常認められない
単純作業までOKとなっており、
まさにインバウンド対応VISAと呼ばれる
特殊なVISAで、
キャリアアップの選択肢としても活用できます。
取得するための必須要件をクリアし、
VISA申請上の注意事項も存在しますので、
これらを確認したうえで、
万全の状態でVISA申請することが大切です。

WINDS行政書士事務所は、
VISAサポートの専門家として
特定活動VISAをはじめとした
さまざまなVISAのサポートを展開しております。
外国人本人のバックグラウンドや
所属機関の雇用条件など、
コンサルティングも承っていますので
ご不安なところがございましたら
是非1度、お問い合わせ、ご相談ください。