コラム

【2024年10月施行!】改正景品表示法「確約手続」と「直罰規定」

2024.08.28[契約]




【悪徳広告に対する規制が強化!】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
インターネットやSNSといったツールが
マーケティングや販売促進手段として
広告としても活用されている近年、
虚偽・誇大広告やステルスマーケティングなど
業者の悪質な行為も横行、問題視されています。

こうした問題に対応するため、
2024年10月に改正景品表示法が施行されます。
今回の改正の目玉として
私が注目したい導入ルールが、
確約手続直罰規定の拡充
です。

いずれも、
ネット広告における悪質行為の抑制
消費者を保護が大幅に期待できます。
この秋施行される最新法ルールを
事業者の対応方法も含め、ご紹介します。




【改正景品表示法の概要】

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)は、
過大な景品類の提供や、
商材内容や品質、価格などの虚偽表示の規制をして
消費者が自主的かつ合理的に
商材をセレクトできる環境を確保し、
消費者の利益の保護を目的とした法律です。
e-Gov:不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律

この法律が、
事業者の自主的な取り組み促進
違反行為への抑止力強化
円滑な法執行の実現に向けた各規定整備

といったレベルアップを目的として
2023年5月10日に改正案が国会で可決され、
2024年10月1日より施行となります。
景品表示法検討会:法改正検討報告書


この改正で整備された
おもなルールは、次の6つに集約されます。


消費者庁:景品表示法の改正法案概要

このうち、
事業者のビジネス実務において
特に大きく影響を及ぼすのが
今回ご紹介する、

確約手続の導入
直罰規定の拡充


です。




【重要改正ポイント①確約手続の導入】

注目したい改正ポイントのひとつである
確約手続とは、
景品表示法違反被疑行為について
事業者の自主的な確約手続を導入し
現行行政処分である
措置命令&課徴金納付命令が課されない

ようにすることで、
スピーディな問題改善、解決
を目指す制度です。

これまでは、
法律違反の疑いが発覚した場合に
調査をおこない、
その結果、違反行為が認められた場合に
措置命令課徴金納付命令
といった対応手段が用意されてきましたが、
懲罰措置が十分ではありませんでした。



そこで今回の法改正によって、
事業者自身の自主的な取り組みを促す
ことで、
より改善が進む可能性が考慮されるようになります。

事業者は、
意図しない不当表示など
法律違反被疑行為をおこなってしまい
消費者庁から是正措置などを求められた場合、
状況に応じて自主的に是正措置計画を作成し
認定申請することで、
行政庁からの
措置命令や課徴金納付命令を回避できる

ようになります。

この手続きは、消費者庁が
事業者の法律違反被疑行為が
一般消費者による自主的且つ合理的な商品
&役務の選択を確保するうえで必要がある

と認めるとき、
措置命令や課徴金納付命令の
弁明機会を付与する前にかぎって、
事業者に対する確約手続通知によって開始
(=確約手続対象かの判断を消費者庁が選別)

するとされ、
手続きに踏み切る場合は
事業者と行政庁が協力して問題解決する

という特徴があります。

消費者庁がおこなう確約手続通知は
次の法定事項が記載されています。



消費者からの確約手続通知を受けた事業者は、
違反被疑行為の影響を是正するために必要な
確約計画を作成し、認定申請することができます。
e-Gov:確約計画認定申請テンプレート

確約計画は、
是正措置計画
影響是正措置計画
の2種類が用意されており、
具体的な計画内容は
違反被疑行為の性質、規模、影響などによって異なります。

確約計画は、
次の2つの基準を満たす必要があります。



消費者庁長官がこれら基準に基づいて
確約計画を認定をした場合、
その効果としては、
認定が取り消されない限り、
違反被疑行為について
措置命令および課徴金納付命令が課される
ことはありません。


確約手続は、
以下フローのように進められていきます。



確約計画は、
消費者へ自主返金した方が認定を受けやすい
とも考えられていますが、
その一方、
消費者庁で返金の必須性までは想定しておらず、
個別案件に応じた折衝の実施も想定されます。
また、認定後も
状況に応じた確約計画変更が可能です。
※確約計画の変更の際には、
 再度認定審査を受けなければなりません。


消費者庁は、
確約手続に係る法運用の透明性
事業者の予見可能性確保

という観点から、
確約計画を認定時には
計画や違反被疑行為の概要、
事業者名その他必要な事項
を公表
します。
消費者庁:確約手続に関する運用基準




重要改正ポイント②直罰規定】

直罰規定とは、
事業者の悪質な違反行為が見受けられ場合
行政指導や行政命令を出して
自主的な改善を促すというプロセスを経ずに
即時に罰則を適用
するルールです。

対象違反行為は、次の2つとなります。



対象者は、
違反行為に関わった事業者であり、
故意かどうか、
また、直接的、間接的に
違反行為をしたかを問いません。

広告表示と実際の商品やサービスに
不当な乖離があり、
表現が法律違反であることを認識しつつ
これを認容したと認められる場合
に該当します。

この規定では、
措置命令や聴取などの手続きなく
100万円以下の罰金
という
大きなペナルティを科すことができます。

直罰規定の導入によって、
法律違反行為に対する抑止力が強化され、
消費者の保護が一層図られることが
期待できます。




【事業者はどう対応すべき?】

今回の景品表示法の改正で、
一定期間内に
違反行為を繰り返した場合
課徴金が増額
そして
悪質な誤認表示に対する直罰が新設
され、
法律違反行為に対する規制が強化されています。

事業者の皆さまは、
ご自身がおこなう
宣伝表現が法律違反となっていないか
より注意深くチェック頂く
必要があります。

また、万が一
そうした法律違反行為をしてしまったときは、
確約手続をすることで
適切な事後対応をおこなうことによって、
行政庁の措置命令や課徴金納付命令を回避できます。

法律違反とならないように注意することが
重要ですが、
違反してしまったときの対応方法についても、
事前に検討しておくことが大切です。




【改正は目前、最新ルールをチェックしましょう】

この10月にいよいよ本格スタートする、
改正景品表示法。
改正ルールのうち、
事業者の実務にも大いに関わる、
「確約手続」や「直罰規定」が導入され、
今回の改正の重要ポイントとなります。
事業者の自主的な改善によって
行政処分を回避できる一方、
不当表示に対する規制強化
もなされていきますので、
どのような場合に違反となるか、
違反した場合のペナルティや手続きなどを
事前に確認、準備しましょう。

WINDS行政書士事務所は、
景品表示法の最新ルールを踏まえ、
関わる契約や取引文書の事前チェック、
ガイドライン作成などの
リーガルサービスを提供しています。
改正前の今、是非お気軽にご相談ください。