コラム

【委託と違うの?!】仕事を「委嘱」する

2024.10.02[契約]




【仕事をお任せする表現のひとつ、「委嘱」】


こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
ビジネスで相手にお願いごとをするにあたって
さまざまな形の契約が結ばれますが、
そのなかでも、委託や請負が
もっとも認識が強いのではないでしょうか。

そのほか、実は日本では、
委嘱(いしょく)というお願いの形が存在し、
委託などとは少し毛色が異なることは
ご存じでしたでしょうか。

委嘱の意味や活用場面、
類似や関連する言葉との比較をご紹介します。




【委嘱とは】

委嘱とは、
専門的な知識が必要な
特定の業務や役割を
一定の機関や外部の者に任せる

ことを意味します。

私たちが委嘱を活用するためには、
委嘱対象となる仕事がどのようなものか、
正しく認識することが大切です。

委嘱の対象となる業務や役割は、
次のような条件を満たす必要があります。



①外部に依頼するもの
委嘱対象業務における
もっともわかりやすい特徴として
社内ではなく外部への依頼となるもの
が挙げられます。
社内のどなたかに仕事をお願いする際は、
依頼アサイン指示
といった表現がフィットするでしょう。
ちなみに外部者が仕事の依頼を受ける際、
特定のポジションが用意される場合は
就任という表現がフィットします。

②臨時発生するもの
委嘱は、その対象業務が
常時定期的に発生する場合には使用せず、
あくまで
一定期間の臨時発生業務
に対する表現となります。

③専門的知識が求められるもの
委嘱という表現でお願いする業務かを
判断するにあたっては、
私たち行政書士(監査、コンサルティング)
をはじめ、
弁護士(訴訟代理)大学の教授(学術研究、講義)
行政機関(特定分野の審議、調査)
などといった、
専門性を持つ者の知識が求められるかどうか
の要素も重要になります。ーーー




【委嘱と似てる?違う?関連用語】

委嘱に似た、あるいは関連する用語は
さまざまなものがあります。
私が行政書士として
日常やビジネスで業務使用する用語
をいくつかピックアップし、
委嘱との違いをまとめてみましたので
ご参考ください。




【委嘱状の作成】


対象の仕事を委嘱する際には、
依頼する仕事依頼先である部外者を示す、
委嘱状
を作成します。

通常は
委嘱者が受嘱者に対して
委嘱状をを発行します。
対象業務については、
手続きの簡素化などの理由から
実務の詳細をブレイクダウンするよりも、
対象業務の概要などの基本的な記載
がされる方法が多く見受けられます。

一方、委嘱状には
契約詳細条件が定められないことが多いため、
委嘱状に代えて委嘱契約書、秘密保持契約書
などを別途用意するケースもあります。
秘密保持契約については
 以前のコラムで詳しくご紹介しています。


ただし、
委嘱状を発行しただけでは
委嘱を通知するに過ぎないため、
あくまで受嘱者の承諾で、
初めて委嘱が成立します。
そのため、契約の成立を明確にするため、
受嘱者が、承諾書などを発行することが
望ましいでしょう。

委嘱の場合は、
法律行為を委託し、代理権授与の契約書類
となる委任状は使用しません。





【ビジネス表現や書類をスマートに使い分け】

法人や事業の運営にあたっては、
社内スタッフだけではなく、
外部に業務を依頼することもあるでしょう。
そんなとき、
専門的な仕事を外部に依頼する委嘱は
委任や委託、請負とは異なる
意味合い、条件で
仕事のお願いごとをする際に活用できます。

日本語ならではのさまざまな意味合いを
十分に確認しながら、
ビジネスや日常生活において
契約、申込みごとを効果的に進めたいですね。

WINDS行政書士事務所は
委嘱をはじめとする
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