コラム

【従来保険証廃止目前!】年末マイナ保険証本格スタート

2024.11.06[日々のあれこれ]






【来月本格スタート!マイナ保険証】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
マイナンバーカードに健康保険証を合体させる
という政府方針に基づき、いよいよこの冬、
マイナ保険証の運用がスタートします。
今後健康保険証は新規発行をストップし、
マイナ機能として完全移行していく
という、新しい取り組みです。

マイナ保険証の具体的な機能や特徴、
活用シチュエーションから、
マイナ未利用の場合の代替手段
など、幅広くご紹介します。




【マイナカード+健康保険証=マイナ保険証】

マイナ保険証とは、
マイナンバーカードを
健康保険証としても利用できるように
導入する仕組みで、
マイナンバーカードに健康保険証の機能を紐付け
マイナンバーカードと健康保険証を一体化
するものです。

この制度を導入による
医療機関や薬局などでの手続き効率化
を目的とし、
政府は、現在進行形で
手続きや情報管理のデジタル化戦略
を進めています。

<機能>
マイナンバーカードと健康保険証いずれも、
私たちの生活において重要なカードですが、
それぞれ以下のような
異なる役割、特徴を持っています。



これまでは
私たちが医療機関での診察や治療、手術や
薬局で処方される薬を受けるときに
紙orプラスチック製の健康保険証を
提示
していましたが、
マイナ保険証の利用に切り替えると
マイナンバーカードだけを提示するだけ

で済み、
利用者本人の利便性アップや
医療現場でのスピーディな手続き

が期待できます。

また、
ひとつのカードにふたつの機能が備わりますので
それぞれのカードを個別携帯する必要がなくなり
紛失や更新の際の煩雑な手続きが軽減、
最新の保険情報ステータスが
リアルタイムで確認
可能
となります。
まさに、
私たちのQOLアップに直結
することは間違いありませんね。
デジタル庁:マイナンバーカードの健康保険証利用

ちなみに、
紛失・盗難の場合には一時利用停止も可能
です。

マイナンバーカードと同様に設定する
暗証番号は、
一定回数間違うとロック機能が作動し、
不正に情報を読み取ろうとすると
機能が搭載されたICチップが破壊される

仕組みもあります。

<普及状況>
実は、運用自体はすでに
2010年10月からスタート
しており
私たちがマイナ保険証を利用するための
手続きはいつでもできる状態
です。
そして今回政府で、
2024年12月2日というスタートライン
をもって、
本格稼働することがが公表されています。

今年2024年からのながれとしては、
4月、すべての医療機関&薬局で
マイナ保険証利用システムの導入が義務付け
られるようになり、
政府から私たちにも
マイナ保険証としての一体化についての
手続き案内がおこなわれ、
2024年10月28日には
政府のシステム稼働もスタート
この秋からは関連報道も増え
私たちの間でも
徐々に認知されてきている状況です。

マイナ保険証の利用状況については、
2024年9月時点で
利用件数は2,715万件
利用率は13.87%
となり、増加傾向にある

ことが公表されています。

厚生労働省:マイナ保険証利用状況

<稼働スケジュール>
マイナ保険証制度の運用は
2024年12月2日より本格スタートし、
この日以降は、
現行の紙orプラスチック製の健康保険証は
廃止、新規発行もストップ
となり、
基本的には
マイナ保険証を提示する運用に移行します。

この結果、
たとえマイナンバーカードを持っていたとしても、
健康保険証の機能一体化の手続きを
おこなっていなければ、
医療機関での受診などの際に利用できなくなります


ただし、この日時点で
手元にある有効な健康保険証は、
離職などの理由によって
健康保険被保険者資格が喪失されない限り、
経過措置として
2025年12月1日までは使用することができます。
※有効期限が2025年12月1日より前の場合
 その期限まで有効となります。


それまでの間に
マイナ保険証としての利用手続きが済んだ場合は、
自分で破棄してOKです。
この経過措置が終了する
2025年12月2日以降は、
健康保険証自体も完全に利用できなくなります。

※被雇用者が
 退社などによって被保険者資格を喪失した場合、
 その健康保険証は回収されることが必要です。


<手続き>
利用者がマイナ保険証を使うための作業として、
利用登録手続きが必要です。

現在この手続きは、


 ①カードリーダーからの登録
 ②マイナポータルからの申請
 ③セブン銀行ATMからの申請


の3つの方法があり、

事前手続きとして②を選ぶ方が多いようです。

<厚生労働省:利用登録方法>

デジタル庁:マイナンバーカードの健康保険証利用
マイナンバーカード総合サイト:申請・受領方法




【マイナ保険証のメリット・デメリット】


マイナ保険証を利用することにおいての
考えられるメリット、デメリット
をまとめてみました。

<メリット>


①医療機関受付の自動化
これまで医療機関などでの受付や
処方された薬を受領するために、
私たちは従来の健康保険証を提示し、
医療機関や薬剤師が
健康保険証内容確認や
患者の個人情報の入力をアナログ対応

していましたが、
2024年12月2日からは、
医療機関や薬局の窓口に
顔認証付きカードリーダーが設置され、
利用者は
カードリーダーにマイナ保険証を提示
することによって、
システム経由でICチップ内の
顔写真や利用者情報を読み取り、
本人確認照合、認証作業が
自動的におこなわれます。

自動認証によって
受付が自動的&スピーディ
におこなえ、
加入健康保険内容も本人確認も非接触
また患者は
長い待機時間を強いられずに
受診や薬の受け取りができる
ため、
患者、現場ともに効果はテキメンと言えます。
デジタル庁:マイナンバー保険証の使い方

②ライフイベントの手続き不要orスムーズ化
マイナ保険証によるカード機能一体化によって
引っ越しや就職、転職、結婚
などといった、
ライフイベント後の手続きが簡単になります。

従来の保険証では、
住所や職場変更時に
保険情報を更新する際の手続きを
用途やシチュエーションごとに
何度もおこなう必要がありました
が、
マイナ保険証の利用によって、
オンラインで手間なく情報更新でき、
また、
国民健康保険で必要だった定期更新
後期高齢者医療制度における
高齢受給者証の持参も不要

となります。

利用者がこうしたライフイベントに当たる場合
または転院や医療機関を変える場合には
時間と労力を大きく節約でき、
医療現場側でも業務クオリティアップ
につながるでしょう。
厚生労働省:マイナ保険証利用可能医療機関・薬局

③マイナポータル上での診療&処方経歴の確認
マイナ保険証の利用において
データ提供に同意することによって、
薬の処方歴や特定健診結果のデータ
に基づき、
総合的な診断や重複投薬を避けた
適切な診療、薬の処方が受けられます。

旅行時や突然思いもよらないタイミングで、
かかりつけ以外のお医者さまにお世話になる
といった場合でも、安心です。

厚生労働省:マイナポータルでの資格情報画面


④高額医療費の手続きの簡単化

高額医療を受けた場合は、
事前の限度額適用認定申請
高額な立て替え払いなど
患者で一時的な負担が必要ですが、
マイナ保険証を利用すれば、
そうした手続きをスキップして
高額療養費制度が適用
され、
一定額以上の支払いも免除されます。
煩雑な手続きなしで、金銭負担も減るのは
とてもうれしいですね。
高額医療費制度

⑤医療費控除の確定申告が自動化
マイナ保険証を使って
マイナポータルとe-Taxに連携
すれば、
医療費控除が自動入力できます。
これまでこの控除作業に備えて、
1年間に支払った医療費分の領収書の管理は
大変だったのではないかと思いますが、
マイナ保険証には診療データが入っているため
この手間もなくなり簡単になることは大きいです。

⑥初診追加医療費の低減
マイナ保険証にすると、初診料が安くなります。
たとえば、医療費3割負担の場合、
従来の健康保険証の利用で
その初診料は12円かかりますが、
マイナ保険証を利用すると、6円まで下がります。
また、
再診料は据え置きとなり、追加費用はありません
ので、少額ながらコスパとして効果が出ます。
協会けんぽ:医療費の節約
 

<デメリット>


①まだ万全でない運用体制
マイナ保険証の本格稼働まで
残りひと月をきっていますが、
じつは、現時点ではまだ、
すべての医療機関が対応整備できている
わけではありません。

政府の調査によると、
マイナ保険証対応窓口の整備ができている
医療機関や薬局は全体の2割程度

さらにこの2割のうち、
顔認証付きカードリーダー設置完了した
医療機関や薬局は6割程度

であることが明らかになりました。

12月2日以降に
カードリーダー未設置の
医療機関や薬局を利用する場合は、
マイナ保険証が使えない
おそれ
がありますので、その際は、
従来の健康保険証との2枚持ちを
余儀なくされる場面もあり得るでしょう。

こうした医療機関や薬局のほとんどは、
小規模なクリニックや地域の診療所など
システム導入にあたっての
コスト、運用面での負担
エリアごとの対応状況の違い

などの課題がピックアップされています。
この点は
制度スタートが決まっていることもあり
今後急ピッチで体制整備される
と考えて良いでしょう。

②個人情報漏洩リスク
運用・管理がデジタルメインとなる
マイナ保険証を利用する際に
懸念事項として挙げられるのが、
セキュリティと個人情報の保護
でしょう。

多くの個人情報に加えて
医療情報も搭載されるマイナ保険証がもし、
紛失や盗難となった場合、
不正利用やプライバシー侵害のリスク

が高まります。
マイナ保険証の情報管理ベースである
オンライン上のサイバー攻撃や
システム脆弱性による情報漏洩リスク

も気になるところですが、
利用者自身もマイナ保険証の管理には
細心の注意を払いたいところです。

③一体化手続きの手間
従来の健康保険証から
マイナ保険証に切り替えるためには
利用手続きが必要ですが、
その時間や作業に負担がかかる
ことは否めません。
さらに、現時点で
マイナンバーカード未保有者は
マイナ保険証の前にマイナンバーカードを発行

しなければなりません。
ライフイベント後の手続きの手間が不要になる
というメリットを考えれば
本格スタートする前にできるだけ早く
マイナンバーカードの取得や
マイナ保険証の利用手続き
を済ませる方がベター
でしょう。

④登録解除NG
1度利用手続きを済ませ、
マイナ保険証として発行すると、
原則として登録解除はできなくなります。

これについては経過措置により、
マイナ保険証がない場合の対応方法
が用意されている
ものの、
2025年12月2日からは
マイナ保険証運用に完全移行
となります
ので、
個人事業主や被扶養者の皆さまは
この点を十分に注意ししたいところです。
厚生労働省:マイナ保険証の利用




【マイナ救済策⇒資格確認書】

マイナ保険証を利用するにあたっては
利用手続きが必要であることをご案内しましたが、
2024年12月2日以降、
マイナンバーカードを発行していない
or
マイナ保険証利用未登録
or
利用可能な医療機関で
システムトラブルなどの事情によって
マイナ保険証が使えない

という場合のために、
資格確認書
という書類が発行されます。

発行にあたっては、
 カード型
 はがき型
 A4型

の3つから、各保険者が選択でき、
紙orプラスチック製のものを入手できます。

<厚生労働省:カード型資格確認書サンプル>


マイナ保険証を提示できない
or利用できない方は、
2024年12月2日からMAX1年間
資格確認書を医療機関に提示することで、
現行通り保険診療を受けることが可能です。
ただしこれは、あくまで一時的な手段であり、
将来的にはマイナ保険証への移行
が求められることに、注意しましょう。
※資格確認書の有効期間は1年~5年、
 その後廃止(時期未定)の予定です。


外国人
の場合は、
保有するVISAの変更や更新の申請
が必要ですが、
今後、マイナ保険証を持っていない場合
VISAの種類によって
身分証明書類のひとつとして
この書類コピーの提出が必要となる

場合があることに、注意しましょう。
※将来的には、任意的な
 マイナンバーカードと在留カード一体化
 の構想も進んでいます。


<法務省:特定在留カード構想の概要>


気になる資格確認書の取得方法は、
被雇用者・公務員とそうでない場合
に分かれます。

<被雇用者・公務員>
会社員や公務員の方が加入している健康保険は
「協会けんぽ」または「健康保険組合」になり、
勤務先の人事部や総務部などの担当部署を通して
発行手続き
がおこなわれます。
通常は
本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
の提示が求められますが、
手続における期間や必要書類は
勤務先の手続きプロセスによって異なりますので、
担当部署に確認しましょう。

<国保・後期高齢者医療制度加入者>
国民健康保険や後期高齢者医療制度加入者は、
住民登録している=住民票を発行してもらえる
市区町村の窓口で発行手続きをおこないます。
一般的には
本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)と印鑑
が必要ですが、
必要なものや受付時間などを市区町村に確認しましょう。
※代理人による手続きも可能です。
 ⇒当事務所までご相談ください。




【行政書士が見る!マイナ保険証の注目事項】

今までご紹介したルールや
メリット・デメリットのほか、
私が行政書士として
このマイナ保険証を利用するにあたって
気に留めておきたいと思う点を4つ
ご案内します。

①早めの手続き⇒マイナポイントゲット
マイナ保険証として機能を一体化するためには
その利用登録をおこないますが、
この手続きまたは
マイナンバーカード未取得者の
マイナンバーカード新規取得
事前におこなうことによって、
政府から5,000円~7,500円相当の
マイナポイントが付与されます。

制度の本格スタート前に
できるだけ早く手続きをおこなって
マイナポイントをゲットしたいところです。
マイナポイントとは?


②しばらくのお薬手帳有効活用
マイナ保険証の利用によって
諸手続きスムーズ化は確実に実現される
と考えますが、
ここで不可欠なのが、利用者データのなかの、
 電子カルテ
 電子処方箋

です。

これらのデータは
現時点ではまだ普及が低い
ことが懸念事項と考えられます。
また、
利用者データはリアルタイムでアップデート管理
されなければならないものの、
体制整備途上という経緯から
利用者が確認できる情報は
本格稼働当初のみ1か月遅れとなる見込み

となっており、
頻繁に通院、薬の投与を受けている方は、
マイナ保険証で最新情報を確認できない
おそれが高い
ため、
これまで使用してきたお薬手帳などの
しばらく携帯、利用をおすすめします。

③スマホなどの端末搭載も期待
マイナ保険証は機能が一体化したものを
物理的に保有、利用することになりますが、
2025年春以降の政府の対応として、
スマートフォンにマイナ機能搭載も予定
されています。

厚生労働省:オンライン資格確認

デジタル庁:スマホ用電子証明書搭載サービス

ここで事前に注意しておきたいのが、
医療機関などでの情報読み取りエラー
であり、
モニタから情報画面をカードリーダーにかざす
という作業においては、
想定される懸念事項でしょう。

これに対して、
医療機関や薬局に設置される
カードリーダーなどの資格確認端末には
こうしたトラブルに備えて
目視確認モードを立ち上げる
などの対応策も用意されていますが、
利用者としては
使用している端末のスペックを
十分チェックのうえ、
できるだけ最新機能を備えられる準備
を整えておきたいところです。

厚生労働省:目視確認モード


ちなみに
一部の後期高齢者に対しては
マイナ保険証を持ちつつ、
資格確認書の同時持ちにおける対応
も準備
されているようですので、
該当の方は併用の必要性も
想定しておきましょう。

また、
マイナ保険証をすでに持っている場合は
資格情報のお知らせ
という書面が交付されます。
この書面は
健康保険加入者とその家族である扶養者へ
送付され、
記号番号や氏名など

資格情報を伝えるためだけに交付されるもの
です。
※被雇用者のお知らせは
 その勤務先に送付されます。


そのため、
資格情報のお知らせは
資格確認書のように
医療機関を受診できるためのツールとしては
機能しません
が、
スマートフォンでの提示などができない
などの場合に
マイナ保険証とともに
この書面を提示することで、
受診が可能です。

<全国保険医断端連合会:資格情報のお知らせ>


④例外的なマイナ保険証登録解除
マイナ保険証の登録解除は原則NG
という説明をしましたが、
特別な事情
によって
マイナ保険証を利用できない
or
どうしても利用しない

という方に対して
マイナ保険証の登録解除
という選択肢が用意されています。

厚生労働省:マイナ保険証登録解除のながれ


マイナ保険証の登録解除希望者は
加入する健康保険組合の窓口に書面申請
します。
利用登録時とは異なり、
解除の場合
マイナポータルなどで手続きはできません。


登録解除申請が受理された後、
健康保険組合は、
基幹システムに解除を依頼し
解除完了すると、
資格確認書が交付されます。




【本格導入は来月すぐ!準備はお早めに】

12月からいよいよ本格導入される、
マイナ保険証。
この新制度を利用することで、
さまざまなメリットが約束される一方、
デジタライズ制度の導入初期ならでは
の課題もあります。

もちろん、
新ルールとして浸透していくことによって、
少しずつ課題も解消され、その利便性は増し、
日常生活に欠かせないものとなっていくことは
間違いないでしょう。
特徴と手続き内容を事前に確認し
新たな国の制度を有効に活用していきたいですね。