【リスク予防、有効な取引に】契約書のリーガルチェック
2024.11.20[契約]
【契約は見直し、カスタマイズできる!】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
ビジネス、日常生活での
申込みや手続きのときに作成され、
その契約内容を確認できる、
契約書。
契約当事者それぞれの条件や立場が
明確に記載されているこの書面ですが、
その内容は
作成しても永久に変わらないわけではなく、
リーガルチェックをおこなうことで
状況に応じて変え、整えることが可能です。
すべての契約に共通して有効な
この作業にフォーカスして、
契約チェックの重要性をご紹介します。
【契約書のリーガルチェック】
契約書のリーガルチェックは、
契約書にひそむリスクや問題点の有無を
法的な目線でチェックする作業です。
ビジネスや日常生活のあらゆる場面で
契約や申込み手続きのひとつとして
作成される契約書は、
その取引条件が詳細に設定され
内容に問題がないかを
契約当事者が相互に確認、合意したものを
書面の形で残すことが目的となっています。
事業者は、この契約書の
内容が適法・有効か
契約当事者の意向を反映しているか
立場が守られ、リスクを抑えられているか
といった観点で
契約書に記載される契約条件を
確認、検証することで
自社の利益を守ることができます。
リーガルチェックの結果、
契約書を修正しなければならない場合は、
細心の注意を払っておこなう必要があり、
最後まで気も手も抜くことができない、
大変重要な作業と言えます。
リーガルチェックにおける
留意事項やポイント、作業頻度は
契約パターンや当事者の立場・事情
によって異なります。
【リーガルチェックの効果】
定期、スポットに関わらず、
契約書のリーガルチェックをおこなう
ことによって、
次のような効果が見込めます。
①法令違反の回避
契約書に法令違反条項があると
その条項に記載されるルールはもちろん、
場合によっては契約内容のすべてが無効
となってしまい、
ビジネスにも影響がおよびます。
そのような内容の契約書のままですと、
取引先も取引合意、
契約書への署名や捺印をためらう
ことになるでしょう。
最新の法律ルールに合わせた
リーガルチェックをおこなうことによって
法律違反となる取引を未然に防ぐ
ことができます。
ちなみに、法律の内容は、
強行規定
任意規定
のふたつに分かれますが、
強行規定に反する内容の契約条項は
無効となってしまいますので、
該当すると修正が必須です。
加えて、
建設業法や旅行業法などの業種別にも
法律が存在し、
その業種のビジネスにおいて
契約書に規定必須の事項も定められています。
規定必須となる条項の抜け漏れ
とならないように気を付けたいところです。
②有利な取引条件設定
ビジネス成立に向けて
契約書は、当事者のいずれかが用意する
ことになることが想定されますが、
事前に準備された契約書の記載条件が
必ずしもスムーズには合意にいたる
とは限りません。
たとえば
相手方にとって
不合理な契約条項が含まれている
または、
作成、提示した契約書に対して
相手方から
自社に不利となるような契約条件の
追加や修正のリクエストを受ける
といったこともあるでしょう。
ここで、
なんのアクションのまま契約を締結し、
契約書に署名や捺印をすると
取引は契約書のルールにしたがって
処理されていき、
自社は不利な条項が残っていた場合、
その条件に従わざるを得なくなります。
契約締結前の段階で
リーガルチェックをおこなうことによって、
自分自身に不利益になると思われる条項
を洗い出し、
相手方とのスムーズな合意交渉を準備
したいところです。
③スムーズなビジネスの実現
契約書が作成されると、
ビジネスが実際に進むためのルールブック
として機能します。
この書面に記載される契約条件に
あいまいな表現や誤記、記載漏れ
があると、
再協議の必要性が発生し、
ひいては
取引成立の難航を引き起こす
こともあります。
リーガルチェックで
こういった不備事項を修正することで
取引実態を適切に反映でき
自社が望むビジネスをスムーズに実現できる
でしょう。
④トラブル発展リスクの軽減
ビジネスが進むなかでも、
トラブルのリスクははらんでいます。
そうした場合に備えて、契約書に、
トラブルが発生時の対応手順など
を記載するのが一般的ですが、
契約書に想定トラブルが網羅されていない
発生時の対応手順やルール自体に不備
などがあると、
ビジネスが機能不全となりかねません。
リーガルチェックをおこなうことで
こうしたトラブルリスクを軽減できます。
反対に、
契約書のリーガルチェックを怠ってしまうと
次のようなリスクが高まります。
①相手方の信頼度ダウン
もし
契約書に法令違反や不足事項があり
それらをリーガルチェックすることなく
見逃してしまえば、
該当事項に気付いた相手方から
指摘を受けるだけでなく、
ビジネス継続における信頼を失い
貴重なビジネスチャンスが無駄
になってしまいます。
場合によっては
相手方から訴訟や損害賠償請求
といった大きな事態にも発展するでしょう。
②ビジネスにおけるダメージ
契約書上、
自身に不利な条件が提示されたまま
契約書のリーガルチェックを怠ると、
その不利な条件に合意して
取引を進めざるを得ないばかりか、
トラブルの際に想定しなかった
時間や労力、コストの負担
取引がスムーズに進まない
などのダメージを被ることにもなるでしょう。
③ペナルティの誘発
契約書上の不備があり
それらをリーガルチェックしておかないと、
相手方からだけではなく
行政からも
罰金、社名公表といったペナルティ
を受けることがあります。
近年、そうした
行政上のペナルティ事実は公表される
ことが多く、
ビジネス機会や信頼の損失
にもつながってしまいます。
【こう進める!リーガルチェックの手順】
リーガルチェックは
自社や契約状況を把握し、
法令の知識、適切な表現ノウハウなど
フル活用しながら、
スケジュール厳守でおこなわなければならない
ハードな作業と考えています。
行政書士として、私の場合は、
次のながれでリーガルチェックを
おこなうようにしています。
もし皆さまがご自身ックされる場合に、
ご参考ください。
まず、
契約当事者で成立を目指すビジネス
を確認します。
ビジネスの中身が明らかになった時点で
契約当事者や関係者の相関関係
当事者の意向や事情
契約成立スケジュール
などを確認のうえ、
現行の契約書の内容をチェックします。
STEP2:加筆修正点の洗い出し
STEP1での確認事項に
関連する法律の規定を加えて、
現行の契約書を精査し、
必要箇所の加筆修正点を整理していきます。
紙・データ問わず、
チェック箇所がわかるように
明示することも大切です。
WORDやPDFなどのオフィスツール
に合わせて、
チェック箇所をわかりやすく表示設定
すると、後のSTEPに有効です。
STEP3:フィードバック、加筆修正
STEP2のリーガルチェック結果を
関係者にフィードバックのうえ、
内容の確認依頼をします。
フィードバックでは
想定できる効果やリスク
おすすめの整備プランとその理由、根拠
も添えておくと
契約当事者で判断しやすいと考えます。
フィードバック後に発生した要望や
承諾事項に合わせて、
契約書の加筆修正作業をおこない、
契約当事者が必要な時期に合わせて、
最終的に契約書の加筆修正がなくなるまで
工程を続けていきます。
STEP4:アップデート版契約書の完成
STEP3で加筆修正が完了した後、
契約当事者間でドラフトの最終確認の後、
捺印や署名、印紙の貼付
(電子契約の場合は電子署名やメール認証)
などの必要な処理を経て
契約上有効な契約書に仕上げ、
契約の締結完了までを確認します。
ご紹介した4つのSTEPを通した
必須チェック項目をまとめてみました。
【ドラフト面でのチェックポイントは?】
スマートなビジネス実現のためにも、
リーガルチェックを経た契約書は
簡潔で抜け漏れのない内容
のものにしたいところです。
リーガルチェックサポートを
日々おこなっている行政書士として、
ドラフト面からのチェックポイントを
まとめてみました。
【リーガルチェックで取引の見える化、有効化を】
契約書のリーガルチェックは
ビジネスを実現するためだけでなく、
有効に続けていくための重要な作業で、
この作業が機能することによって
当事者の利益や取引関係のバランスを守る
こともできます。
契約書のひな型や過去に作成したもの
があるので少し手直しすればいい
といった単純なものではなく、
その時の契約当事者の事情や条件
に目線を合わせ、
改正有無も含めた最新の法ルール知識
も求められるため、
細心の注意を払わなければなりません。
ビジネス規模や事業戦略に応じて、
良識に基づいた丁寧な契約書の整備
をおこなっていきたいですね。
WINDS行政書士事務所は
契約書のリーガルチェック、
新規ドラフティングはもちろん、
ビジネス内容に応じた契約のコンサルティング
も承っております。
判断に迷う場合は、
プロの法務コンサルタントに
お気軽にご相談ください。