【関係者必見!】在留カードとその確認方法
2025.01.29[VISA]
【外国人在留のための重要アイテム】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
外国人の皆さまが、
初めて中長期間日本に在留したいとき
日本の法律に基づいて
必ずVISAの審査を受けなければなりません。
この審査をパスし、査証発給を経て、
日本への入国時に必ず与えられるのが
在留カードです。
このカードには
外国人のさまざまな情報が登録されており
パスポートに匹敵するほどの
身分証明力を持つ重要なものです。
今回は、在留カードの内容や
その役割とリスク、
実際に外国人に関わる皆さまが
チェックすべき項目、対策など
深堀りしてご紹介したいと思います。
【在留カードとは】
在留カードとは
VISAを保有して
日本に中長期間在留する外国人
のための
オフィシャルな身分証明書
です。
法務省出入国在留管理庁
が発行をおこない
次の場合に外国人に発行されます。
カードには
対象のVISAや外国人情報のほか
また偽造などのトラブル防止のため
ICチップも内蔵されています。
<出入国在留管理庁:在留カードとは?>
条件のひとつである
中長期間とは3か月間オーバー
を指し、
3か月以下の滞在者は短期滞在者には
在留カードは発行されません。
この在留カードが発行されている外国人は
2024年6月現在で358万8,956人
と、過去最高人数更新
の統計結果が出ています。
反対に、
次の条件に該当する外国人は
在留カードを持ちません。
※VISAの種類については、
こちらのページでご紹介しています。
※特定活動VISAについては、
こちらのコラムでご紹介しています。
在留カードを交付された
16歳以上の外国人は、
カードに顔写真が掲載され、
また常時の携帯を義務付けられます。
もし
警察官などから提示を求められた際は、
速やかに応じなければなりません。
中長期在留者は、出入国在留管理庁長官が交付し、又は市町村の長が返還する在留カードを受領し、常にこれを携帯していなければならない。(出入国管理及び難民認定法第23条2項)
また必要に応じて、
VISA期限内に申請を経て
在留カードの内容変更or更新
も求められます。
※事情なく
在留カードの不携帯、提示を拒否した場合、
それぞれ罰金が科されます。
(入管法第75条の2、3、第76条)
【偽造在留カードも急増】
中長期間日本に滞在する外国人は
適法に在留カードを持つわけですが、
じつは近年、
在留カードの偽造急増が問題になっています。
当局の調べによると、
偽造カードは
中国などの海外サイトで購入募集され
工場から指示役など組織ぐるみで
巧妙に展開されているようで、
国内でも
実際に拠点や関係者摘発の報道
も相次ぐなど、
社会的にも深刻な影響をおよぼしています。
※法務省:2022年犯罪白書
※神戸新聞の記事
行使の目的で、在留カードを偽造し、又は変造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
2 偽造又は変造の在留カードを行使した者も、前項と同様とする。
3 行使の目的で、偽造又は変造の在留カードを提供し、又は収受した者も、第一項と同様とする。
4 前三項の罪の未遂は、罰する。
(出入国管理及び難民認定法第73条の3)
行使の目的で、偽造又は変造の在留カードを所持した者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(出入国管理及び難民認定法第73条の4)
もし、事業者が
偽造カードを保有する外国人を雇った場合
不法就労をあっせんした場合は
不法就労助長罪に問われ
3年以下の懲役or300万円以下の罰金
が科されることがあります。
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
1 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
2 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
3 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者
(出入国管理及び難民認定法第73条の2)
在留カードの重要性の把握は
コンプライアンス上必須と言えます。
そのため、
外国人を雇用する事業者は
細心の注意を払って
自社で働く資格を満たしているか
把握しておく必要から、
応募してきた外国人の
在留カードやパスポートなど
身分証明書の確認が求められます。
事業者側も細心の注意を払い、
カード情報の確認
そして
偽造でないかどうか
のダブルチェックをもって
外国人の適法な在留や就労を担保
したいところです。
【STEP1:最低限確認!在留カード情報】
最初のステップとして、
まず外国人の在留カード情報を確認してみましょう。
私がVISA申請サポートをする際には
必ず次の点を確認するようにしています。
①本人情報
やはり最初に確認すべきなのは、
外国人ご本人の名前と顔でしょう。
カード保有者がご本人で間違いかどうか
氏名を実際に紙に書いていただく
写真の顔が対面するご本人と同じか
などを確認しましょう。
住所はオモテ面に記載されますが、
カード発行以降に住所変更をしている場合は
裏面に新住所が市区町村によって記載されます
ので、両面チェックしてみましょう。
②VISA期限
VISAの期間満了日や有効期限の情報は
事業者が外国人と関与するにあたって
重要な情報のひとつです。
在留カードは、運転免許証と違って
VISA期限が迫った際にお知らせ通知はありません
ので、
外国人と対面した日、
また入社内定時期とすり合わせて
VISA期限が間近であれば、
VISA申請をしなければならない
ことに留意しましょう。
万が一、
VISA期限が過ぎてしまっていた場合は
オーバーステイ=不法在留
と取り扱われ、
雇用した場合は不法就労となってしまいますので
至急最寄りの入国管理局に
申告し、必要な対応を心掛けましょう。
⇒当事務所までご相談ください。
※オーバーステイについては、
こちらのコラムでもご紹介しています。
※在留カード上、
VISA期限が過ぎていたとしても、
在留が特別に認められる場合があります。
⇒当事務所までご相談ください。
③就労可否
外国人が就労を希望し、
事業者が入社内定をしたとしても、
法律上、
外国人が取得したVISAに就労が認められない限り
外国人は就労することを認められません。
在留カードに記載されている
VISAの種類を確認し、
就労できることを確認しましょう。
また、VISAの種類(特に特定活動VISA)
によっては、
カードオモテ面の就労制限欄に
就労不可
在留資格に基づく就労活動のみ可
就労制限なし
など記載されている場合があります。
内容によっては
その外国人の雇用形態見直しに
つながりますので
合わせて確認してみましょう。
※特定活動VISAについては、
こちらのコラムで詳しくご紹介しています。
④資格外活動可否
仮に、
③で就労ができないと判断されていたとしても
外国人に資格外活動が認められていれば
限定された就労時間内での就労が可能です。
資格外活動が認められる場合は
カード裏面下の欄に
その旨記載されていますので
確認してみましょう。
※資格外活動については、
こちらのコラムでもご紹介しています。
<出入国在留管理庁:在留カード記載内容>
【STEP2:ここで見破る!偽造在留カード】
在留カードが存在し、
記載されている外国人情報が確認できた後も
次のステップとして私は
法律上正当な在留カードであることを
確認することをおすすめします。
実際、
警察がこれまで押収してきた偽造カード
のうちのおよそ8割が、
出入国在留管理庁が正規に設定した
在留カードとVISA期限が記載されていた
という報道も出ており、
STEP1での情報確認だけでは
見逃してしまうこともあるようです。
偽造カードでないかのチェック方法として、
私は次の3点をご紹介します。
①目視で偽造ビジュアルを確認
在留カードは国が定めた方法で製作されます
ので、特定の組織が偽造しようとしても
なかなかパーフェクトに似せることは
できません。
これまで発覚してきた偽造パターンをもとに、
当局では
偽変造防止措置が5つも施されており、
次のような偽造ビジュアルの特徴
も紹介されていますので、
事業者の目で
在留カードがこれらに該当しないか
実際にチェックしてみましょう。
<出入国在留管理庁:偽造在留カード等の特徴>
②チェックアプリケーションを活用
出入国在留管理庁からは
在留カード等読取アプリケーション
がリリースされています。
このアプリケーションで、
在留カードに内蔵されているICチップを読み取り、
登録情報が偽造・改ざんされたものでないこと
を確認することが可能です。
パソコンやスマートフォンで手軽に使えるので
非常に便利ですね。
<出入国在留管理庁:読取アプリケーションサポートページ>
ICチップの登録情報は
在留カード発行時点のものですので、
万が一
違う写真やおかしな情報が読み取れる場合
ICチップの読み取りができない場合
は、偽造が疑われます。
③WEBチェックページを活用
万が一
確認している在留カードが失効していると
その時点で不法滞在の疑いが強くなりますので、
雇用契約を結ぶことはもちろんのこと、
就労させれば不法就労となってしまいます。
これについて、実は、
出入国在留管理庁のホームページにも
在留カード等番号失効情報照会
というページが存在します。
このページでチェックできるのは
在留カードの有効性です。
カード番号などの情報を入力する
ことによって
失効していないかを確認できます。
このWEBページでのチェックまでおこなえば
対応はより確実となります。
<出入国在留管理庁:在留カード等番号失効情報照会>
【さまざまな外国人情報の正しい把握を】
在留カードは、
日本に中長期滞在する外国人の
身分証明ツールです。
その登録情報は、
外国人本人はもちろん、
外国人を雇う事業者や
入所・入学させる所属機関など
にとっても非常に重要であります。
現在も偽造カードや不法就労に関する
報道も取り沙汰されており、
うっかり不法就労に加担してしまった
といったことがないように。
正しくカードの重要性を認識したいですね。
在留カードの確認のしかたや
万が一のトラブルにおけるご相談
VISA申請サポートなど
WINDS行政書士事務所がご相談に応じます。
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