未成年者にとっての法律行為
2020.02.19[行政書士・業務]
【未成年者が1人でできない手続き?】
こんにちは。行政書士の田中良秋です。
日本では、20歳未満の方を、未成年者と定義されています。
未成年者が、ひとりで何らかの手続きを行いたくても、
それがかなわないことがあります。
たとえば、
日本人へ帰化申請したい
相続手続きをしたい
なんらかの契約を結びたい
といった場合です。
「なんらかの契約」とは、たとえば、
起業したり、スマートフォンを利用することなどが、
わかりやすいのではないかと思います。
未成年者がこれらの手続きを1人でできないのは、なぜでしょうか。
それは、日本の法律(民法)が、
「未成年者は、法律行為を行うことができない」
と規定しているためです。
これは、
法律行為を行うために物事を判断する力が、未成年者はまだ十分には備わっていません、
との考えがなされています。
【未成年者が法律行為をするためには】
そんな未成年者でも、ある条件を揃えることができれば、法律行為ができる場合があります。
それは、
代理人をたてること
代理人の同意を得ること
です。
通常、未成年者にとっての代理人は、法定代理人をさしますが、
この法定代理人とは、親権者であるご両親にあたるのが一般的です。
※ご両親が不在の場合は、未成年後見人が法定代理人となります。
法定代理人が持つ役割は、以下のとおり法律で定義されています。
未成年者の法律行為の代理権、同意権を行使すること(民法第5条、第824条、第859条)
未成年者が同意なしで行ってしまった法律行為を取り消す、追認する(民法第120条、122条)
【中国での法定代理人の役割】
法定代理人の役割も、海外では少し定義が変わります。
たとえば、お隣の中国では、以下のような定義がされています。
未成年者を監護する(民法通則第18条、未成年者保護法第11条)
14歳未満の未成年者で、孤児や棄児などの養父母に就任する(養子縁組法第6条)
8歳未満の未成年者が行う、制限民事活動の代理権、同意権、追認権を行使する
(民事通則第19条、20条、22条、145条、163条)
民事行為無能力者及び制限民事行為能力者の後見人に就任する(民事通則第23条)
※中国では、18歳未満が未成年者とされます。(民法通則第11条)
国によっては、昔からあるルーツや価値観から、要件が若干違っていて、
新鮮な印象を受けますね。
【未成年者の法律行為の例外】
また、次のケースでは、未成年者が代理人の同意を立てずに、法律行為ができます。
上に挙げた「その他」には、相続における「遺産分割協議」があげられます。
具体的な例をあげてみましょう。
ある方が亡くなられた場合、その配偶者(旦那さままたは奥さま)と子は法定相続人となります。
この場合、子が不利益なく十分に遺産を相続できるよう、
子は親以外の人を「特別代理人」としてたてなければなりません。
(子が2人以上いる場合、その人数だけ特別代理人が必要、ということになります)
この「特別代理人」は、家庭裁判所へ申立てることにより、たてることができます。
ご本人の意志や、それを取り巻く環境、ご家族やお知り合いの方の関係によって、
未成年者ができる法律行為はいろいろなルールに則って行われます。
場合によっては、契約書や協議書の作成、法令のチェックも必要となり、
ライフイベントの際に思わぬ影響をおよぼします。
未成年者の法律行為についての素朴な疑問、お手続きのご相談は、
WINDS行政書士事務所まで、お気軽にお問い合わせください。