【住所とも地番とも違う】建物の『家屋番号』
2025.02.12[日々のあれこれ]

【国が定める建物固有の情報】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
建物が建ったとき
その持ち主、権利が変わったとき
に、その建物は法律上、
具体的に特定がなされますが、
その特定情報として、家屋番号が発生します。
この番号で、
建物の場所や所有者、権利が明確になるため
不動産が関わる相続やビジネスに便利です。
実は私自身も、
さまざまな許認可をサポートする行政書士として
目を通すことの多いこの情報。
定義やその決められ方や調べ方、
地番などとの違いについて、
幅広く解説したいと思います。

【家屋番号とは】
家屋番号とは
不動産登記法上、
建物を識別するためのユニーク番号
を指し、
法務局によって
建物ひとつひとつに採番されます。
基本的には、
土地の地番をベースにナンバリングされます。
たとえば
新宿区新宿11番地11
という土地のうえに建った建物の場合
家屋番号も11番11となるように、
原則地番と同じ番号が付られますが、
土地の分筆や合筆による地番変更
などによって
家屋番号とのアンマッチが発生する結果、
地番と家屋番号が異なる
こともあります。
※家屋番号に町名は含みません。
建物といっても、
その構造、床面積などはさまざまで、
地番のあるひとつの土地に複数建物が建つ場合
元々あった建物を解体し別の建物を新築
というシチュエーションに応じても、
家屋番号は明確に割り振られますので、
どのような建物であっても
この番号ではっきり建物を区別できる
ことになります。

家屋番号は、
不動産登記簿上「表題部」
に表示されます。

【ほかの情報との違い】
不動産としての建物のための
家屋番号には
よく似た情報、混同しやすい情報
もあります。
それぞれの違いをご紹介します。
<似ている情報①住所>
住所は、
住居表示に関する法律上、
住居表示と呼ばれ、
市区町村が付ける番号で、
私たちが日常生活で把握する情報
としては最もポピュラーなものですが、
不動産登記法上、
法務省が定める
家屋番号とは異なり、
家屋番号とは違う数字が採番されます。
<似ている情報②地番>
建物を識別する家屋番号に対して、
地番は、土地を識別する番号で、
法務省が土地1筆に対して
ひとつずつ採番します。
※地番と家屋番号のふたつを総合して
不動産番号と呼ばれることもあります。
※1筆とは、
登記簿上の土地ひとつあたりの単位で
複数の土地をひとつに合わせることを合筆
ひとつの土地を分けることを分筆
と言います。
※田畑は1面or1枚
道路は1本or1車線
山は1座
などとカウントします。
【重要!家屋番号を把握しない影響】
ビジネスや取引において建物を取り扱う場合、
その家屋番号を正しく確認しないことによって
次のような懸念点があります。
①取引に不動産を使えない
建物が
目に見える形で、現実に存在していたとしても
家屋番号がわからなければ
売買契約を正式に結ぶことができない
不動産を担保にローンが組めない
などのリスクが高まります。
また、
ひとつの地番が設定された土地上に
複数の建物が存在する場合でも
家屋番号で取引対象の不動産を
個別に識別する必要があります。
建物の家屋番号を正しく把握し
取引対象の不動産をはっきりさせる
ことが重要です。
②権利移転が困難
家屋番号が特定できないことにより
不動産における権利の主張や行使ができない
場合があります。
たとえば、
複数の建物が建つ土地で
借地権付き建物の取引が発生する場合、
土地の地番だけでは建物を識別できません。
また、
建物の建て替えがなされた場合
昔の建物が滅失登記されていないと、
その家屋番号はそのまま残っている状態
と判断され、
すでに所有しているはずの当事者は
建物の所有権などの主張や移転が認められない
ことになってしまいます
現実に建っている建物はもちろん、
その建った経緯についても
できるだけ確認をとり、
家屋番号を特定しておくことが大切です。
※法務局:建物滅失登記
③納税額アップ
②でご紹介したような建て替えのパターン
でもうひとつ懸念されるのが、
固定資産税の増額です。
建て替えがあった不動産の家屋番号を
古い情報のままで把握し、登記簿にも未反映
であると、その登記簿上、
解体した建物と新築の建物方の建物が存在する
とみなされ、
新旧2棟分両方の固定資産税納税義務が発生
といったリスクも高くなります。
この場合は、登記簿上古い建物の情報をなくす
(=滅失登記)をしておくことが大切でしょう。
※登記申請の代行業務は
司法書士の独占業務となります。
⇒日本司法書士会連合会
⇒当事務所提携司法書士をご紹介できます。
【こうやって確認!家屋番号情報】
家屋番号は、
次のようなツールで確認することができます。
①不動産登記簿
家屋番号を調べる方法として
もっとも確実でポピュラーなものが、
法務局で不動産登記簿を取り寄せることです。
登記簿取得申請をして登記簿を得たら
(建物)のページの表題部
をチェックして
家屋番号を確認しましょう。
※法務局に直接行くことができない場合でも
インターネットで確認が可能です。
⇒登記情報提供サービス
②納税通知書
建物や土地などの不動産を所有する場合、
毎年5月から6月にかけて所有者に送付される
固定資産税・都市計画税の納税証明書
をチェックしてみましょう。
納税証明書には、
土地の地番のほか、
課税対象となる建物の家屋番号
が記載されています。
③契約書類
建物を所有、または賃貸借している場合に
売買や賃貸借にともなう契約書
が作成されるはずです。
契約書には、契約物件としての
建物の家屋番号が明記されている可能性
が高いため、チェックしてみましょう。
これら契約を取り交わしている場合は
契約書の記載内容をチェックしてみましょう。
④登記済権利証
不動産を所有する場合、
②や③以外にも、法務局から
登記済権利証(登記簿識別情報通知)
が交付されていると思われます。
建物の所在や家屋番号が記載される
この書類も、
確認書類として有効と考えます。
⑤共同担保目録
不動産に抵当権が設定された場合
担保対象の不動産登記簿には
共同担保目録が付けられる場合があります。
この書類には
金融機関が住宅ローンを決定するとき
担保の不動産情報がすべて記載されます
ので、確認書類として有効です。
⑥そのほか:地番から逆チェック
①から⑤までご紹介してきた書類は
家屋番号の記載が確認できる
またはその可能性が高い
と言えますが、
そうした書類を確認できない
または
家屋番号が特定できない
場合は
地番から紐付け情報を確認する
方法もあります。
たとえば、
通常の住宅用地図上に
不動産詳細情報が表示される
ブルーマップはご存じでしょうか。
ブルーで表示される地番情報をもとに
①から⑤までご紹介した書類を取り寄せる
などの方法をとることもできます。
【確認しにくい?!マンションの家屋番号】
不動産としての建物は
ひとつのビルや一戸建ての住宅
だけとは限らず
たとえば、
ひとつの建物に複数の住居表示が設定される
分譲マンションなども存在します。
分譲マンションは、
建物自体はひとつでありながら
部屋ごとに住居や所有世帯が異なり
住戸ごとに家屋番号の採番がされる
ことになります。
こうした場合、
対象の部屋の家屋番号は
どのように確認すればよいでしょうか。
よくあるパターンとしては、
マンションの各部屋番号がそのまま
家屋番号として利用されていることです。
この情報をキーとして
関連書類をチェックのうえ
正しい家屋番号を確認することができます。
もっとも最近では、
部屋番号と全然異なる家屋番号が採番される
ケースも少なくありませんので
想定パターンのひとつとして把握しつつも
法務局などで実際に確認を徹底する
ことがおすすめです。
【家屋番号を正しく確認⇒間違いのない取引、ビジネス】
建物の家屋番号は土地の地番と同じく、
法律ルールによって付けられ、
住所の番地や地番とは個別の情報です。
建物の取引や手続きにおいては
この情報を正確に知ることが
非常に重要です。
採番パターンはさまざまですが、
身近な書類から公的な書類まで
確認することのできる方法がありますので
詳しくチェックしたい場合は
本コラムをご参考いただき、
正しく把握しましょう。