コラム

【福祉ビジネスで地域社会に貢献!】社会福祉法人

2025.03.12[事業支援]





【地域福祉の充実と発展を担う法人】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
法人にはさまざまなスタイルがあるなか
生活上のサポート、サービスを提供するのが、
今回ご紹介する、社会福祉法人です。

このスタイルの法人は現在21,000社を超え、
一時的に鈍化したものの
現在も引き続きその数を伸ばしています。


厚生労働省:令和5年度福祉行政報告例の概況

非営利となるこの法人は
事業内容に制限がかかるほか
自治体の認可が必要であり、
一般的な株式会社よりも
設立のハードルが高いと言えます。
その設立要件や法律、事業内容などを
ご紹介します。




【社会福祉法人とは】

社会福祉法人とは、
非営利法人のひとつで、
社会福祉法を根拠法律として
社会福祉事業をおもな目的とする法人です。

社会福祉法人は非営利でありながら、
公益事業や収益事業をおこなうこともでき、
活動を通して、
社会や地域への貢献の役割を果たします。

一般的な株式会社と決定的に違う点として
非営利団体ゆえに
法人税、法人住民税、法人事業税が
原則非課税
となるなど
税制優遇措置が設けられる一方、
株式発行がおこなわれないため、
資金調達手段が寄附金や補助金などに限定
されます。
厚生労働省:他法人との比較

近年では、
収入格差や少子高齢化拡大の懸念が広がり、
日本の社会福祉サービスを拡充させるためにも、
従来の公的制度以外にも
民間の組織や団体が社会福祉法人となることで
地域住民の悩みやお困りごとを受け止め
行政が届きにくいであろう
福祉サービスの展開が望まれます。

この社会福祉法人を設立するための要件は
次のとおりです。
各要件はさらに定義分けされ
入念にチェックしていく必要があるでしょう。







【マスト要件①:目的事業】

社会福祉法人の対象事業は、

社会福祉事業
公益事業
収益事業


の3つとなります。

社会福祉事業
特別養護要人ホームの運営に代表される
高齢者や障がい者などの生活動作支援
子どもの生活動作支援
災害などの被災者の支援

といったサポートが挙げられ、
社会福祉法で
第1種第2種に区別されています。

この法律において「社会福祉事業」とは、第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業をいう。
(社会福祉法第2条)

e-Gov:社会福祉法

第1種社会福祉事業は、
利用者への影響が大きく見込まれ
そのために
経営安定と利用者保護の必要性が高い事業
で、
国や自治体、そして社会福祉法人だけ
がおこなえるものです。

たとえば、
保護施設や養護老人ホーム、
特別養護老人ホームの運営については
これらの者だけに許されるもので、
このカテゴリーの事業に
関わりたい民間組織や団体は、
社会福祉法人の設立が必要となります。

厚生労働省:第1種社会福祉事業


対して第2種社会福祉事業は、
利用者への影響が小さく見込まれ
そのため
公的規制の必要性が低い事業
で、
届出だけで誰でもおこなうことができます。

厚生労働省:第2種社会福祉事業


残るふたつの事業、
公益事業は、
社会福祉事業に関連、付随する公益性が高いもの
と定義されます。

社会福祉法人は非営利法人
であることから、
営利目的でビジネスを展開しない
ことを前提として、
収益事業も、
得られた収益を公益事業運営に充てるため
のものでなければならない

と、利益の使い道が制限されます。

厚生労働省:社会福祉法人の概要


3つの目的事業を
具体例をまじえて、次のようにまとめてみました。
明確に定義された事業ラインナップにのっとって
公益的な活動と安定した事業のキープが
望まれることが、わかります。




【マスト要件②:資金】


株式会社の資本が資本金
であるのに比べて、
社会福祉法人の財源は寄附金となります。

ちなみに
安定的な経営や事業を確保するため
基本財産としては
施設運営のための不動産(土地や建物)
定期預金
が求められ、
さらに不動産はすべて
所有権保有
or
国自治体の貸与・使用許可されたもの

が求められます。
※国や自治体から
 不動産の貸与・使用許可を受けるには
 1,000万円以上の基本財産が必要です。
 ⇒厚生労働省:参考資料




【マスト要件③:組織構成】

一般的な株式会社であれば、
最低1名、取締役を設置して
定款作成のうえ登記で設立が可能ですが、
社会福祉法人の設立にあたっては


 理事(理事長含め6名以上)
 監事(2名以上)
 評議員(理事人数の2倍を超える人数)


の役職を最低限設置する必要があります。

厚生労働省:社会福祉法人の経営組織


理事は、
社会福祉法人の業務執行の決定
理事トップとなる理事長の職務監視
理事会の構成の役割を果たします。

厚生労働省:理事


監事は、
その理事の職務執行を定期的に監査します。

厚生労働省:監事


評議員は、
評議員会を構成し
社会福祉法人の運営にかかる重要事項
を議決決定します。
そのため、

理事&監事との兼任ができません。


厚生労働省:評議員・評議員会

※ほかにも、兼務NGルールが存在します。
 ⇒
厚生労働省:役員兼務について


【マスト要件④所轄庁の認可】

社会福祉法人を設立するには、
ご紹介した①から③までの要件
を満たすことを申請において証明し、
行政庁の認可を受けます。
この認可を得るための申請が
設立手続きの集大成となり
時間・労力ともにウェイトが高いと考えます。

具体的な所轄庁は、
原則法人のメイン事務所がある自治体
となります。
たとえば、
都内各区にオフィスがあり
新宿区に本店扱いのオフィスがある場合、
認可所轄庁は東京都
ということになります。



所轄庁向け認可申請の第1段階として、
窓口相談と称する
所轄庁による事前確認のアポイントを取り、
このタイミングで
基本要件のすり合わせをおこない、
社会福祉事業計画をかため、
定款(案)や申請書類一式を
作成、提出します。

設立までの対応シミュレーションを、
次のとおりまとめてみました。



実際の申請前に
事前相談や協議対応(要アポイント)をとること
多くの書類準備が必要であること
所轄庁の認可を受けるのは登記申請前
であること

を、注意し、
申請者となる法人は、
余裕を持ったスケジュールで
認可申請に臨みましょう。
厚生労働省:社会福祉法人の設立について





【私たちの「生きる」を後押しする法人設立】

社会福祉法人は、
私たちや身近な皆さまのなかに
生活アクションの支援が必要であるときに
福祉サービスを提供する法人で、
私たちが安心して暮らせる日常生活を実現
まさに私たちの「生きる」を後押し
してくれる法人です。

その公共性と安定した経営は必要不可欠で、
一般的な法人とは異なるルートで
その設立が認められます。

認可申請においては煩雑な手続きも多く、
書類不備などがあれば
所轄行政庁とのやりとりも多くなりますので
堅く余裕を持ったスケジュールで対応しましょう。

WINDS行政書士事務所は、
社会福祉法人をはじめとした
法人の特別な許認可サポート、
また設立コンサルティングも承ります。
これから社会福祉ビジネスをご検討の
事業者の皆さま、
お気軽に当事務所までご相談ください。