コラム

【閣議決定!4月スタートも!】特定技能ルール改正

2025.03.19[VISA]





【閣議決定!特定技能ルール改正】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
先週、特定技能VISAに関わる
重要なニュースが飛び込んできました。
それが、

特定技能制度における、
全体運用要領改正&4月スタート
分野別運用方針改正閣議決定


です。

特定技能外国人や関係者の皆さま
にとっては、
前者は直近の、​​​​後者は今後の
運用に関わる重要事項となります。

先週オフィシャルリリースされたばかりの
最新情報をもとに、
VISAサポートのスペシャリストが
その内容を徹底解説します。




【2025年4月スタート!運用ルール改正】

特定技能ルールの運用のため、
政府によって
制度自体の基本的な考え方や方向性となる
運用方針定められ、
これに基づき
全体ルールの規程や細則、
そしてその制度実務をおこなう
各省庁のオペレーションマニュアル
の位置付けで、
運用要領が定められます。

つまり、
運用要領こそが、
特定技能VISAの許可要件がが明確に記載
されるもので、
外国人や所属機関、登録支援機関
などの関係者がすぐ把握すべきマニュアル

と言えます。
出入国在留管理庁:現行の特定技能運用要領

今回、
特定技能運用要領の改正バージョンが
2025年4月1日より本格スタート

となることが、正式に発表されました。

具体的な改正ポイントは次のとおりです。



①定期届出時期の変更
特定技能外国人の所属機関は
出入国在留管理庁に
4半期に1度(=年4回)
外国人の受け入れや活動状況、
支援実施状況についての届出義務

がありますが、
4月から
定期届出に
所属機関の適格性チェックが加わり

届出時期は年に1回に変更
となります。

この届出時期変更と連動して、
VISA申請においては
所属機関の受入実績に応じて
提出する必要書類が少し変わります。



※提出省略できる要件である
 「一定事業規模」についても要件があります。
 
当事務所までご相談ください。
※VISA申請時に
 書類提出省略対象の所属機関であっても、
 審査状況によっては
 提出要請を受ける場合もあります。


②自治体との共生協力義務
この春、特定技能制度は
2019年4月創設から6周年を迎え、
特定技能外国人数は毎年増加、
今後も一層の増加が見込まれています。

出入国在留管理庁:特定技能外国人数推移


こうした状況を踏まえて
地域と外国人の共生社会を実現すべき
というガバメントビジョン
のもと、
今回の特定技能基準省令が改正され
4月から
所属機関は、
自治体から
共生政策に対する協力を求められた場合

要請に応じて協力義務が発
します。

出入国在留管理庁:改正省令施行パンフレット


この義務に基づき
所属機関
自治体要請に対する協力義務を負うほか、

VISA申請でも義務対応する旨申告
共生施策に対応した支援計画書の作成
VISA申請前には自治体に協力確認書を提出


といった対応をおこないます。



出入国在留管理庁:協力確認書


<VISA申請書UPDATE版サンプル>


③受入れ困難届出ケース見直し
所属機関の随時届出のひとつである
受入れ困難に係る届出において、
現行ルールでは
雇用契約期間満了前に契約終了する場合
申し出を受けてから14日以内におこなう

ものとされているところ、
4月からは、
特定技能外国人が所属機関に対して
自己都合退職申し出&退職は
受入れ困難事由からは外す

こととなり、
当該届出も不要
となります。
※ただし
 退職事実による
 雇用契約終了届出は従来通り必要
 です。


またこのほか、当該届出要件として
雇用契約締結有無に関わらず
1か月以上特定技能活動ができない場合

も加わり、
関連様式書類も新設されます。

④所属機関不正行為パターン追加
改正によって
4月から
現行の所属機関の不正行為類型に
所属機関による事実隠蔽行為が追加
されます。



これに伴って、
不正行為にかかる届出は
支援計画基準不適合にかかる届出に変更

となります。

⑤登録支援機関不正行為パターン追加
登録支援機関もまた、
不正行為が発覚する際には
登録拒否事由に該当するものとして
登録の取消しなどの措置対象になりますが、
4月から
次の以下3パターンがこの事由に追加
されます。



⑥登録支援機関の外国人送迎要件UPDATE
所属機関から支援業務の委託を受けた
登録支援機関
その義務的支援として
初来日する特定技能外国人を
空港から住まいまたは事業所まで送迎

する際、
車両を利用すると道路運送法違反の懸念
がありました。
車両送迎における外国人雇用協議会の要望書

この点、
4月からは、
生活支援サービスなどとの一体運送
であれば送迎OK

と、この判断基準が緩和されます。

⑦定期面談方法の拡充
所属機関or委託を受けた登録支援機関
がおこなう定期面談
現行ルール上直接対面が要件となっていますが、
4月から
原則オンラインツール
(テレビ電話、オンライン会議など)
を使用した実施OK

となります。

ただし、
オンラインによる定期面談実施の際には
次の点に十分注意しましょう。



⑧様式書類の改廃
①から⑦までご紹介したような
ルール改正に伴い、
所属機関や登録支援機関の届出や
外国人のVISA申請
において
一部の様式書類が新設、UPDATE、廃止

されます。

4月以降は
新設orUPDATE版の様式
を使って届出やVISA申請をおこない

廃止様式の書類は提出不要
となることに、注意しましょう。

改廃対象の様式書類は、次のとおりです。


※VISA関連で使用される各書類は、
 あくまで参考様式となります。





【3分野改正!運用方針】

3月の政府閣議決定事項としてもうひとつ、
特定技能の3分野における運用方針が改正
されました。

この運用方針改正は、
今後3年以内にスタート予定の育成就労
そして先ほどご紹介した地域共生
の両制度との連携を見据えるもので、
元々あった
特定技能制度運用基本方針をいったん廃止
され、代わりに
各受入分野別に運用方針を個別策定
することになり、
すべての分野のうちまずは、
介護
工業製品製造業
外食業

の3分野運用方針のカスタマイズ
が発表されました。

出入国在留管理庁:基本方針の概要


出入国在留管理庁:制度運用方針アプローチの変更


気になる
3分野の改正ポイントは次のとおりです。
ちなみに
改正運用方針の内容は
運用要領改正を経て
ルールとして本格的にスタートの予定です。




<介護>
介護分野における
特定技能外国人ができる業務は現在、
身体介護と付随業務に限定されています。

しかし、
訪問サービスニーズの高まりから
介護業界による強い要望が受け入れられ、
訪問介護業務も対象業務に追加されます。

改正ルールが本格スタートとなれば、

特定技能外国人は
1年以上の実務経験&訪問介護研修の受講


がマストとなることに注意しましょう。
※現時点で、この改正による
 技能評価試験内容は見直されない
 予定です。


出入国在留管理庁:介護分野運用方針改正


<工業製品製造業>
金属やコンクリート、段ボールなどの
製品製造や組立て、製品の破砕成形
印刷製本や織物製造・縫製など、
多岐に渡る業務範囲を誇りますが、
元々は、
素形材・産業機械・電気電子情報関連
の3種製造業が統合

されたという経緯があります。
この巨大化した対象業務全般の
生産性アップ、サービス拡充
を目指すべく、今後は、
特定技能外国人の
適正&円滑な受入れ推進を担う
民間団体が設立
されます。

改正ルールの本格スタート以降は、

所属機関はこの民間団体に強制加入

となることをご注意ください。

出入国在留管理庁:工業製品製造業分野運用方針改正


<外食業>
飲食品の調理、接客、ホール業務や
店舗管理や付随事務と、
飲食店オペレーションに関わるほとんど
が対象業務であり、
所属機関・外国人ともに人気分野のひとつです。

飲食店は
通常の飲食から冠婚葬祭まで
私たちの生活に濃厚に密着するのに加え、
インバウンドニーズのさらなる高まり
も見込まれていますが、
現行ルールでは風俗営業法がネック
となっており
飲食店を経営する旅館やホテルは
この分野業務を十分に活用できず
人手不足に陥るという課題があり、
その解消のため、
対象業務が
風営法許可を受けた旅館・ホテル
での飲食提供全般まで拡大

されます。

改正ルールの本格スタートにおいては、

所属機関における宿泊分野との活用分け
接待業務は現行通りNG

に留意しましょう。
風営法上における「接待」の定義
 については
 
以前のコラムで詳しくご紹介しています。

出入国在留管理庁:外食業分野運用方針改正






【見逃せない!さらに加速する特定技能制度】

今回の特定技能ルール改正は、
現行ルールのさらなる拡充はもちろん、
3年以内に運用スタートを控える
育成就労制度に備えたものです。
アッパーチェンジとなる特定技能制度
を通して今後、
特定技能外国人のさらなる活躍を、
そして事業者の皆さまにとって
さらなる事業拡大を後押しするもの
になるでしょう。
外国人と関係者の皆さまは
直近と近い将来の両ルール変更を
十分にチェックしていきましょう。

WINDS行政書士事務所は
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