飲食店の受動喫煙防止対策
2020.03.11[風俗営業法]
【受動喫煙対策は万全ですか?】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
昨年末のコラムで、
健康増進法改正に伴う各施設の受動喫煙対策について、
お伝えさせていただきました。
改正健康増進法の適用まで、あとひと月をきりました。
2月以降、この記事をご覧になった事業主の皆さまから、
喫煙室の設置や経過措置についてのご相談、お問い合わせを多くいただいております。
当事務所へご相談頂いた方々の多くは、
スナックやバーといった、飲食店の経営者さまでした。
飲食店がこの受動喫煙装置を設置するのは、
いつまでに、どのようにして行えばよいのか?
また、経過措置の適用を受けられる要件は?
今回は、以前のコラムから、もう少し詳しくご紹介したいと思います。
【飲食店の受動喫煙対策と経過措置】
改正健康増進法は、2020年4月1日から適用となり、
対象の施設に合わせて、受動喫煙対策措置をとる義務が課せられます。
これらの義務を怠った飲食店は、法律違反として行政処分の対象となります。
※以前のコラムで、概要をご紹介しておりますのでご参考下さい⇒こちら
飲食店は、対象施設としては、第二種施設というカテゴリーとなり、
「屋内を禁煙とする」
「喫煙専用室を設置する」
のどちらかを、選択しなければなりません。
※この飲食店に、シガーバーやスナックは含まれません。
※東京都の条例では、「従業員の雇用」がされている時点で、対象の飲食店となります。
また、店内の喫煙状況を店頭に表示する義務も発生します。
※2019年9月から義務づけられています。
ただし、以下の要件を満たす飲食店であれば、
第二種施設としての義務を行うにあたり、経過措置として、1年間の猶予が与えられます。
・資本金が5,000万円以下
・客席面積が100㎡以下
それでは、
飲食店がこれらの要件を満たせば、経過措置の適用を受けられるでしょうか?
また、
飲食店の全室を喫煙禁止と表示すれば、なにも行わなくてもよいでしょうか?
結論としては、必ずしもそうとは限りません、と言わなければなりません。
【経過措置が適用されるためには】
対象の飲食店が、経過措置の適用を受けるためには、
以下の義務を果たしていることも必要です。
<設置・表示すべき標識の例>
技術的基準のひとつである、
「室内に流入する空気の気流」については、
飲食店の換気扇やファンだけでは実現できないと言われており、
風速計などで、
気流を測定し、確認する
ことを要します。
また、定められた気流の要件を満たすためには、
排気機能を強める
入口を狭めたり欄間を塞いで開口面積を狭める
などの工夫も必要であり、
また、
脱煙機能付き喫煙ブースの設置
も有効であると考えられます。
※喫煙ブースは、たばこの煙を十分に浄化でき、室外に排気するために必要な措置をとれば、
構造上排気が難しいと思われる建物であっても設置することができます。
※喫煙ブースに気流要件が課されている以上、設置するドアのサイズにも注意が必要です。
【管理権原者】
受動喫煙装置を設置する場合は、保健所へ届け出なければなりません。
この届出は、店舗の「管理権原者」がおこないます。
管理権原者は、たばこの煙を飲食店の外に排気するためのダクトを設置したり、
改修工事といった、施設設備改修等の「権原」を持ちます。
※「権原」=権限が使える理由や根拠があること
保存・利用・改良などの行為ができる能力である「権限」との違いに注意しましょう。
たとえば、その飲食店がテナントビルに入っている場合は、どうでしょうか。
管理権原者は、テナントビルのオーナーさまにあらかじめ、
設備の設置や改修をすることの同意を得ることが必要であること、
また、オーナーさまの持つビルにかかわる権利をおかさないことに留意することに、
注意する必要があります。
【受動喫煙防止対策を進めましょう】
飲食店が義務付けられている受動喫煙対策は、
すでに定めと告知がなされています。
1年間の猶予という経過措置は、どの飲食店でも適用されるのではなく、
一定の要件を満たすことが必要であることがわかりました。
受動喫煙防止対策の義務化にしたがって、
設備投資の費用増大や従業員の要件をはじめとした、
営業形態やオペレーションの変更、
テナントオーナーとの契約内容の見直し、
といった、様々な問題が発生すると想像できます。
オーナーさまは、
営業中の飲食店における方針を固め、早めに対策をとることが必要と考えます。
WINDS行政書士事務所では、受動喫煙防止対策について、
設備の設置や経過措置の対応方法、関連施策についてのご提案など
引き続きサポートをさせていただいております。