特別家賃支援給付金
2020.06.10[事業支援]
【新たな救済制度の基軸!特別家賃支援給付金】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者に対する支援として、
国や自治体、金融機関からさまざまな救済措置がほどこされています。
代表的なものとしては、
当面の運転資金を確保するための、
経済産業省の持続化給付金
日本政策金融公庫の制度融資
(新型コロナウイルス感染症特別貸付やセーフティネット保証4号)
感染拡大をふせぐための、
各自治体の休業要請協力金
人件費をおさえるための、
厚生労働省の雇用調整助成金
といった制度があります。
これらに加えて、さらに手厚いサポートを望む声は高く、
日本政府は、支援対策の拡充のため、
第2次補正予算を成立しました。
そんな中、新たに運用がスタートする制度のうち、
注目すべきもののひとつとして挙げられるのが、
今回ご紹介する、「特別家賃支援給付金(家賃補助)」の制度です。
【特別家賃支援給付金とは】
「特別家賃支援給付金」とは、
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、
自粛要請などにより、売上ダウンに直面する事業者をサポートする制度です。
事業者にとって、固定費としての割合を大きく占める、地代家賃。
この、地代家賃の負担を軽減することが目的です。
です。
これまでに創設された、コロナ対策のための支援制度は、
補正予算が成立次第、運用が開始され、
当初から現在にいたるまで、申請と問い合わせが殺到している状況です。
また、申請要件を満たす事業者に対して、
申請に応じて、随時支給がなされていたものの、
事業者が事業を継続するための額としては、決して充分ではない
との印象も残りました。
実際、ビルに入って営業をしているテナントの場合、
制度によって支給を受けたものの、
そのほとんどや全部が、テナント賃料の支払いにあてられることとなり、
4月上旬の時点で、家賃に関してもサポートを望む声が多数あがっていました。
こうした要望や意見に対して、
政府与党(自民党)は、賃料支援プロジェクトチームを立ち上げ、
令和2年5月8日、
政府に対して提言した新型コロナウイルス感染症に関する支援策(案)として、
特別家賃支援給付金の制度が提言されることとなりました。
そして、令和2年5月27日に閣議決定され、
同じくして国会で提言されている、家賃補助制度を含めて、
現在も審議が進められています。
※2020年6月10日現在、第2次補正予算は衆議院案は
衆議院本会議で可決されましたので、
正式な制度運用の詳細な公表は、
すでにカウントダウンが始まっています。
この制度が、新たな救済策として加わることによって、
売上が大幅に落ち込むなど特に厳しい状況にあるテナントが、
持続化給付金に加え、
無利子・無担保融資の元本返済にも活用でき得る給付金として活用でき、
事業継続に直面する問題を解決できます。
【特別家賃支援給付金の支給要件】
現在、閣議決定や報道の情報で確認できている支給要件は、
次のとおりです。
持続化給付金の要件とも類似している点が多いため、
比較表としてまとめましたので、ご参考ください。
支給要件は、持続化給付金にはなかったもの(=②)が加わっています。
支給対象者は、
飲食店や小売店に限定されず、事務所オフィスも対象となります。
また、
持続化給付金との併用が可能
2019年から2020年開業者も支給対象
です。
対象業種については、
各自治体の休業要請にしたがっているものとは限らず、
幅広い事業者を対象とすることが予想されます。
※各自治体独自のサポートが運用されており、
「休業要請の対象事業者」の定義は、自治体ごとに違う可能性もあります。
各事業者さまが対象事業者かどうかは、
事業をおこなっている地方公共団体へ
確認、お問い合わせをいただくことをおすすめします。
令和2年5月29日時点で公開されている情報では、
『申請時の直近の支払家賃(月額)に基づき算出される給付額の6倍(=家賃6カ月分)を支給する』
とされています。
※上限額については当初、
それぞれ月50万円(個人事業主は月25万円)
を給付上限額とする案で審議されていましたが、
複数店舗を経営する事業者への支援額を大幅に拡充することを目的に、
一覧に示した給付額と決定しています。
申請方法については、政府与党より、
「給付にあたっては、従前の賃貸借契約書(家賃額・契約期間)
を確認の上、家賃への使用を確保しつつ、
数か月分をまとめて支給するなど、実務面で簡易な方法とする。」
との説明がされています。
申請に必要な書類については、
売上ダウンを証明する書類
本人確認書類
通帳のコピー
賃貸借契約書
直近での家賃の支払い状況がわかる書類
が必須になるのではないかと考えられます。
【計算方法は複雑】
家賃支援給付金における、実際の給付額の計算方法ですが、
対象事業者の要件によっては、
基本金額と上乗せ金額に計算が分かれるなど、複雑な箇所がみられます。
上記の図でご紹介しました計算方法をもとに、
いくつかシミュレーションをしてみましょう。
(例)毎月の家賃の合計が75万円の法人
①¥750,000 × 2/3 = ¥500,000
②① × 6ヶ月 = ¥3,000,000(最大給付金額)
となります。
(例)毎月の家賃合計が180万円の法人
①¥750,000 × 2/3 = ¥500,000(基本金額)
②(¥1,800,000 - ¥750,000)× 1/3 = ¥350,000(上乗せ金額)
③(① + ②)× 6か月 = ¥4,800,000(最大給付金額)
となります。
※ひと月分の支給額には、個人事業主が25万円、中小企業が50万円
の支給限度額があることに、ご注意ください。
【正式な運用ルールの公表】
閣議決定された、特別家賃支援給付金のスケジュールについては、
6月12日までに、国会にて補正予算の議決が行われ次第、
運用がスタートする予定ですので、
現実的には、
6月下旬以降申し込み、支給は7月以降
となるのではないかと考えられます。
契約内容の整備が足りていなかったり、不備が心配という方は、
運用がスタートされ次第、すぐに申請ができるよう、
書類の事前チェックをされることをおすすめします。
【申請のほかに検討できること】
事業売上がダウンしているなか、
家賃をはじめとする固定費が経営を圧迫している場合は、
テナントが現状や売上ダウンの幅を丁寧にお伝えすることによって、
オーナーとの家賃交渉をおこなうということも、
有効な手段のひとつではないかと考えます。
東京都新宿区では、店舗等家賃減額助成の制度もスタートしています。
固定費を少しでもおさえていくため、
家賃支援給付金の申請と並行して、
こうした地域での制度情報をご確認のうえ、
選択肢としてご検討いただくことをおすすめします。
<東京都新宿区店舗等家賃減額助成制度のイメージ図>
※新宿区:店舗等家賃減額助成の実施
閣議決定以降、その運用ルールは大幅に緩和され、
法人でも、最大600万円の給付が決定している、この特別家賃支援給付金。
複数店舗を展開している中小企業の皆さま、
高額のテナント料を支払っていらっしゃる事業者さまにとっては、
かなり大きなサポートとなるのではないでしょうか。
WINDS行政書士事務所では、最新情報を逐次確認するとともに、
コロナウイルス関連の支援制度の申請サポートをさせていただいております。
制度の要件に少しでもあてはまると感じる事業者の皆さまからの
お問い合わせ、ご相談を引き続きお受けしております。