コラム

「わかりました」は難しい?

2020.08.19[日々のあれこれ]




【「わかりました」の表現】

こんにちは。 西新宿の行政書士、田中良秋です。
たとえば、職場で上司の方から業務の指示があったとき、
または、クライアントから案件対応の依頼をされたとき、
私たちは、「わかりました」と伝える場面が多くあります。

この、「わかりました」という意味をあらわす言葉は、
 
 了解しました
 了承しました
 承知しました
 承りました
 かしこまりました


と、思いつくだけでもたくさんあります。

これらそれぞれの言葉に、意味が変わり、
使い分け方があることは、ご存じでしたでしょうか。


【「わかりました」のニュアンス】

「わかりました」を表す言葉は、それぞれ意味が分かれます。
使うにあたって適切と考えられる相手や、英語のニュアンスを合わせて、
一覧にしてみました。



①了解
事情を思いやって理解、納得するという意味合いの言葉です。

もともとは、目上・目下両方に使えるフラットな表現で、
本来は失礼な言葉ではありませんでした。
実際私自身も、社会人になって間もない頃は、
上司に対してよく使っていましたことを思い出します。

ちなみに最近のビジネスマナーの書籍では
その意味合いから、
目上の方や取引先に使うことは不適切だと説明されるようになり
一般の方でもその認識が浸透し始めているのが現状です。

そのため、
目上の方や取引先の相手の中には、
敬意が感じられないと受け取る方がいらっしゃる可能性が高く、
できるだけ控える方が良いのかもしれません。

②了承
この言葉も、了解と同じような意味合いを持ち、
それでいい、大丈夫と、何かを聞き入れるときに使う言葉
と認識されており、聞いてあげるよというニュアンスが高い表現です。
目上の方に使うことは不適切と感じる方もいらっしゃることを
念頭に置いた方が良いです。

③承知
「了解」とは反対に、
自分がへりくだり、相手を立てるときに使う言葉として
認識されています。
そのため、ビジネスにおいては、
「承知しました」と返事することが無難
とされています。
承るも、「承知」と同じニュアンスです。

④かしこまる
「承知」と似ていますが、
相手の依頼や指示、命令に対してわかりましたと承るときに
使われます。


【場面に応じた「わかりました」】

「わかりました」の表現の使い分けを、場面ごとに想定してみました。

【SCENE1】
同僚「申し訳ありません、
   待ち合わせの時間に10分遅れます!」
自分「了解しました(わかりました)。」

【SCENE2】
お客さま「このVISA申請の取り次ぎをお願いできますか?」
行政書士「承知しました(承りました)。」

【SCENE3】
上司「取引先のA社に、後で電話の連絡をして下さい。」
部下「かしこまりました。」

【SCENE4】
発注者「発注品の内容を確認しました。発送をお願いいたします。」
受注者「商品の納品は翌日になりますので、ご了承ください。」

「わかりました」のいろいろな表現について、
考えてみましたが、

「了解」を目上の方や取引先に使ってはいけないのか?

という疑問も残ります。

もちろん、職業によっても、
敬語の表現の受け取り方は、
ケースバイケースということはありますが、

私個人としては、

現在の風潮を十分に念頭に置いたうえで、
表現を使い
分けることが、

余計な誤解や悪印象を不特定多数に与えるリスクがなく、
自分自身も無用な心配をせずに済む


そう考えています。





【どう「わかりました」と伝えるか?】

言葉、特に敬語は、場面によって使い分けがされますが、
その表現の多さゆえに、情報がはんらんしていて、
間違った認識で使ってしまい、
日常生活で定着してしまうことあります。

敬語の持つ意味合いは、その由来から微妙な違いがあります。
使い方を間違えると、ビジネスや対人関係で、
トラブルに発展してしまうこともあるかもしれません。

私も行政書士として、
文書の作成を業務のひとつとしておりますが、
お客さまや相手方に誤解を与えないよう、
ひとつひとつの言葉の使い方に、
十分に気を配るように心がけています。

これからも、その瞬間で使われている言葉の適切な使い方に、
日々注意を払っていきたいと思う、今日のこの頃です。